軽めの話題で

うちの診療所に届いた郵便物をチェックしていると中央社会保険医療協議会からのものがありました。まあ郵便物は私がチェックするより先に職員が先にチェックするので、普段はほとんど私のところまで回ってこないのですが、大層な差出人の名前と複雑そうな書類に困惑したのか珍しく私にブツの判断の依頼が回ってきたという次第です。

「先生でもわからへんと思うけど」とほとんど期待されていない依頼でしたが、ひょいと見るとなんと「医療経済実態調査」じゃないですか。もちろんよ〜く存じております。まさか生きているうちに調査書の実物を見るとは思わなかったのが本音です。中の説明を読むと全医療機関の1/25が無作為に選ばれるらしく、その上この調査は4年に1回ですから、単純計算で百年に1回の確率になります。ラッキーなんかアンラッキーなんかよくわかりませんが、このブログ的にはラッキーでしょう。

もっともラッキーと思っているのは私一人で、医療経済実態調査のアンケートの項目は非常に細かく、正直なところ素人にはチンプンカンプンなところばかりです。ずらっと並ぶ会計用語のヤマ、ヤマ、ヤマ。依頼された他の医療機関はどうやってこれを埋めたのか感心するぐらいです。当然私もよくわかりませんし、用語を知っていたとしてもすぐに数字が出るわけでもありません。そういう訳で専属税理士に連絡を取ってお願いしましたが、税理士の方も「そんな調査なんか聞いた事が無い」と目を白黒させていました。

いちおう調査に協力すれば「薄謝」があるとなっていましたが、こういう場合の薄謝って文字通りの薄謝でしょうから、図書券1000円分ぐらいくれるのか、それとも調査協力感謝状みたいなものでも頂けるのかぐらいと考えています。調査票についてご質問がある方はどうぞ、私が読んで分かる範囲ならお答えします。ほとんど分からないような気もするのですが、珍しいものなので報告までです。



医療経済実態調査のお話だけではえらく寂しいので麻疹の話題を追加します。5/21付けで神戸市医師会から「成人に対する麻疹ワクチンの対応について」のファックスが回ってきています。そこに「次の注意点を是非お守りください」として、

  1. 原則的に40歳以下の市民を対象とする(接種漏れや、自然免疫が十分に獲得されていないケースが少なくない)
  2. 患者と接触歴のあるケースを優先とする
  3. 麻疹に罹患歴のある場合は除外する
これらの注意点を挙げた上でさらに
  • すでに予防接種済みの方や上記以外で接種を希望する場合は血液検査で抗体価を確認の上是非必要とされる場合にのみ接種してください
注意点の40歳以下が対象はうちの診療所では私と受付の職員が対象外になってまず苦笑。私は罹患した事があるそう(亡父の証言)ですからとりあえず構わないのですが、受付職員はやや不安そうでした。それでもこういうお達しが来たので、出来るだけ遵守しようと院内の対応を決めたのですが、たった4日のうちに事態はドンドン進みます。

周知の通り麻疹抗体検査の試薬が全国的に払底し始めています。うちが使っている2つの検査会社のうち一つは、HIもEIAも品切れ、もう一つもHIは品切れで、おそらく近日中にEIAも品切れになるのは確実です。全国的な品薄状態ですから、一旦なくなると当分補充は無理でしょうから、お達しの「血液検査で抗体価を確認」が出来なくなるのは時間の問題です。

ワクチンも麻疹単独ワクチンは全国的にほぼ払底状態で、当院も残りはわずか1本で無くなるのは時間の問題です。比較的余裕があるとされているMRも、もともとの計画生産量が小児の接種用プラスアルファしかなく、成人が大量に接種すると、すぐに供給に支障を来たします。来たしますどころかもう来たし始めています。

今週に入って成人の接種希望が増えているのですが、わざわざ小児科に来た理由が「他のところになかったから」です。近所の内科はもちろん、小児科まで電話しまくって、あったのがうちだけだったようです。うちだってそんなにある訳じゃありませんから、神戸でもう少し流行して、マスコミがセンセーショナルに書き立てたらアッと言う間に無くなります。6月が怖いと言うところです。

ワクチン品切れ、検査も出来なくなっても、きっとマスコミは

    「不安な方は検査をしてもらい、必要ならワクチンを接種しましょう」
と書くでしょうね。ツケが押し寄せるのは医療機関ですから、またウンザリしてきました。