新物証発見

昨日から一人で興奮しているのですが、新たな物証が発見されました。物証について検討する前に問題のカルテの行方の事実関係を先に整理しておきます。

まず絶対の信用を置いてよい遺族及び遺族側弁護士の発言です。

  1. 入手していたカルテはほんの一部
  2. 全部を入手したのはごくごく最近
  3. 公開したのは昨年8月7〜8日の『看護記録』のみ
  4. 外来カルテも公開していない
1.、2.については公開シンポジウムで遺族側弁護士が明言(日々のたわごと・期間限定特別ブログ)し、3.、4.については4/30付日刊スポーツに明記されています。

さらにカルテ本体の動向ですが、


日付
カルテの動向
報道記事
2006.9.21遺族がカルテ開示を請求10/18付産経奈良版
2006.10.17病院記者会見10/17付毎日新聞
2006.10.18警察にカルテを任意提出10/19付産経関西


簡略ですが、9/21に遺族が看護記録だけ開示を請求したのは遺族発言から明らかですし、10/17の毎日報道後、速やかに警察が動きカルテを任意提出で確保したのも間違いありません。病院側の記者会見には病院側弁護士が同席していましたし、おそらく毎日報道以前から遺族と緊張関係にあった病院側は、この日が来るのをある程度予想して準備していたと考えます。予想していたのならカルテ管理は弁護士の助言の下、厳重に行なわれていたと考えるのが当然で、警察への任意提出前にコピーは取られたと考えますが、この管理も非常に厳重であったと考えます。

また遺族側弁護士が「全部を入手したのはごくごく最近」と発言したのは、警察が立件を断念しカルテ本体が病院に返却されてようやく入手したものと考えれば辻褄は合います。この事実関係から報道陣に公開されたのは遺族が入手していた「ごく一部」のカルテである「看護記録」だけであり、他の部分のカルテは警察捜査もあり入手は事実上不可能な状態であった事がわかります。

ここでm3通報者がある第3者からカルテ情報を得た事は明らかです。ある第3者が単数か複数か分かりませんが、その中に新聞記者が含まれていたことが書かれています。さらにその新聞記者は看護記録だけではなく、入院の医師記録、さらには外来カルテまで入手しm3通報者に適宜情報を提供していた事が分かります。

直接の投稿者はm3通報者ですが、通報者にカルテ情報を提供し、さらに「自由に転載してもらって結構です」までの承認を与えたある第3者がカルテ流出でもっとも責任が重いと考えます。m3通報者は「既に公開されている情報であるから問題ない」とある第3者に騙された事になります。

このある第3者である事が疑われる最大の条件は、遺族および遺族側弁護士が公開した範囲を越えるカルテを所持している事です。つまり看護記録以外のカルテ、具体的には入院時医師記録であり、もっとも決定的なのは外来カルテを所持している事です。入院時医師記録については2006.10.31付の読売新聞大阪朝刊が堂々と報道しているから、まず読売新聞が容疑者の一人に挙げられます。

今日は昨日発見された新しい画像が新物証です。これは2006.11.2に毎日放送が放映した画像です。不鮮明な画像でありますが、断片も含めて10枚のカルテが映されており、そのうち9枚は内容が推測できる状態です。枚数が多いので便宜的にナンバーを割り振ります。




昨日からこの事件のウォッチャーを騒がせている画像です。

衆目の一致すところでは、1.のカルテは毎日放送の断片画像が右半分最下部の右側に認められ、TBSの拡大画像が同じく右半分最下部の左側に認められます。つまり毎日とTBSは同じカルテの違う場所を映していた物だったのです。さらにカルテ全体の書式は当該病院の入院2号用紙に一致し、カルテへの記載方法も看護記録ではなく医師記録の特徴を濃厚に備えています。かなりの確率でこれは入院時の医師記録であると考えられます。

1.の画像も衝撃的だったのですが2.はさらに衝撃的なものです。2.のカルテの特徴は、左半分に細かく罫線で仕切られた多数の記入欄があり、最下部に上の欄と異なる様式の記入欄があります。右半分は入院医師記録と同様の書式であり、記載方法は看護師よりも医師が記載する特徴をこれも濃厚に備えた書面になっています。

とくに左半分は医療関係者なら見覚えのある非常に特徴的な書式で、病名欄(病名転帰欄)である事は間違いありません。最下部の様式の異なる記入欄はたしか労災とかなんとかの記入欄です。そうなるとこれは1号用紙の裏側であるとしてよいと考えます。1号用紙の裏側を病名欄の続きとして使うのは良くありますが、下端までビッシリ使うやり方は外来カルテの特徴と言えます。

そうなるとこの2.のカルテは外来1号用紙の裏側とそれに続く外来2号用紙の1枚目の可能性が非常に高いことになります。外来2号用紙は左右2分割式が多いのですが、奈良医大系列では分割しない入院2号用紙と同じものを使う情報は既に入手しており、外来カルテである可能性はさらに裏付けられます。

実に大変な新物証です。不鮮明であるが故に読売新聞に較べると絶対とは言いきれませんが、

  • 読売だけではなく、毎日もTBSも入院医師記録を入手している可能性がある。
  • さらに毎日は外来カルテも入手している可能性がある。
去年の毎日報道前後の病院側のカルテ保管状態は相当厳重であったろう事は容易に想像がつきます。コピーについても同様かと思います。またカルテ本体は報道後すぐに警察に提出されています。つまり報道後はカルテ本体のコピーは不可能であり、コピーのコピーも事実上不可能に近いことになります。入手するには警察から漏洩するか、病院でコピーに触れる事が可能な院長ぐらいしか入手ルートは無い事になります。

にも関わらず読売だけではなく毎日、TBSにも、遺族が絶対入手しておらず、報道陣に公開配布する事さえ物理的に不可能な入院医師記録や、外来カルテらしいものを短時日で入手しているのです。またそれを遺族の了承もとらずに堂々と画像付で報道しているのです。読売に至っては「家族提供」などという真っ赤な嘘まで書いてです。

報道機関には取材源の秘匿というルールがあるそうですが、それでも悲劇的な産婦の死亡という遺族の悲しみを踏みにじる行為としか私には思えません。これは報道倫理に関わる重大な問題だと考えます。