推理は続く

カルテ流出シリーズも長くなってきていますが、ここまで書いたので事実関係の整理も含めて今日も続けます。

まず遺族が昨年時点で入手し、報道陣に公開したカルテの範囲です。

  1. 入手していたカルテはほんの一部
  2. 全部を入手したのはごくごく最近
  3. 公開したのは昨年8月7〜8日の『看護記録』のみ
  4. 外来カルテも公開していない
1.、2.については公開シンポジウムで遺族側弁護士が明言(日々のたわごと・期間限定特別ブログ)し、3.、4.については4/30付日刊スポーツに明記されています。この4つがカルテ流出についての揺るがぬ大前提です。この事実を疑う根拠はどこにもありません。最愛の家族を失い、さらに意図せぬ情報流出への心の叫びと受け取るべしです。この怒りは告訴まで検討すると公言されています。

カルテ情報の流出はm3からであるのは周知の通りです。m3情報には医師記録も参照にしていた事を明記していただけではなく、よく読むと次の文章があります。

主治医か大学からの派遣当直医かについては、私も不思議に感じたので、昨日担当の某新聞記者に逆に聞いたところ、大学からの派遣医だと思いますという答えでした。また、カルテのコピーも持っているから確かだとのことでした。しかし、まだ納得がいかなかったので、きょう当該病院の看護師にその友人を介して聞いたところ、産婦人科には、平日に大学の派遣医は火曜日と水曜日しかきておらず、この日は産婦人科部長が一人で当直していたとの返事を得ました。病院で働くすべての人がこの問題について知ってしまったので確かです。カルテには主治医、担当医、○○Dr.等複数の記載方法で書いてあったそうだし、別の看護師にきいたところ、月曜日も定期的に別の医師が来ていたように思うという返事でしたので混乱してしまいました。申し訳ありません。

重要な点をピックアップすると

  1. 新聞記者が事件当夜の担当医を大学の派遣医と勘違いしていた。
  2. その新聞記者はコピーを持っていた。
  3. その新聞記者が担当医を勘違いした理由は「カルテには主治医、担当医、○○Dr.等複数の記載方法で書いてあった」ため。
この事件で公開されている範囲は看護記録のみであるのに、新聞記者は医師記録部分を読み、当夜の担当医についての特定に一時混乱していた事がわかります。遺族からは入手できるわけがない医師記録部分を新聞記者が入手していた一つの証拠です。さらに当夜の担当医は常勤の産科医であり、当然ですが担当医が一人で入院の医師記録を書いています。複数の医師の記載があるとは考えられず、複数の医師の記載があるとすれば外来カルテでなければならないはずです。このm3情報はおそらく10/18夜に投稿されています。そうなると、
  • 新聞記者は10/18より以前に入院カルテだけではなく、外来カルテも入手していた。
もちろんm3投稿者の自作自演説も残りますが、以後の投稿の内容からしてそこまでの演出を行なうには相当綿密な計画性が必要であり、私も何回か読み直しましたが、そこまで作為的なものとは感じませんでした。またこの時点では投稿者も告訴騒ぎとは無縁であり、何らかの根拠により「転載OK」としているので、そこまでの防御策が必要か疑問が残ります。

そうなるとm3投稿者が情報を得た新聞記者が属する新聞社がもっとも情報流出源として怪しい事になります。ここで現時点で確認されている報道各社のカルテの内容は、

ここで天漢日乗様が提供していただいた4枚組の内容解析が昨日の焦点でした。不鮮明な画像ですが現時点での一番有力な推測は、
  • 左端:母体搬送用紙(看護計画説もあり)
  • 左から2番目:診療情報提供書
  • 左から3番目:看護記録(おそらく入院時アナムネ
  • 右端:指示簿か?
右端の指示簿説については外来カルテ説もあり、奈良医大系統の外来カルテは一般的な左右2分割式ではなく、読売報道の医師2号用紙と同じであるとの情報があり、本家奈良医大では外来も入院も同じ2号用紙を使っているとの事です。そうなればなんですが、もし入院後の医師2号用紙の使用法が外来と同様であれば、指示簿は存在しない事になります。これもまた経験していないのでわからないのですが、左右2分割方式でない外来カルテでは指示簿も別という説もあり、結局現時点ではよくわからないが結論とせざるを得ません。

右端の書式は看護記録とも医師記録とも異なっており、現時点では画像が不鮮明な事もありこれ以上の推測は難しいところです。ただ不鮮明ながら、書き方自体は看護師よりも医師に近い印象が強く、外来カルテ疑惑は一部残ると今日のところはしておきたいと思います。

もう一つ毎日の断片画像TBSの拡大画像ですが、これも看護記録の一部なのか、医師記録の一部なのかについて議論があります。これまで報道陣が正式に入手していたのが看護記録だけであるとの前提から、かなり変だが看護記録だろうと考えていましたが、どうも違うようです。

看護記録には「診断名」とか「○○の疑い」とか「○○と考えられる」の記載は原則としてなされません。そういう部分は考察部分であり、カルテでは看護師は事実のみを記載し、考察が記載できるのは医師だけであるからです。やはりこれは医師が記載した書類の拡大画像であると考えられます。では医師記録かと言えば断言は出来ませんが、読売のカルテ画像よりも遥かに丁寧に書かれ、読んでもらう人に「読めるように記載」されているところから、これは診療情報報告書から引用されたものであると考えます。

何か同じ事を毎日ほじくり直しているようですが、今日の新しい推理として、

  • m3投稿者は新聞記者にも医師記録の情報の確認を行なっている
  • 新聞記者は入院時だけではなく外来カルテも入手している
推理の積み重ねではありますが、カルテ情報流出の張本人はm3投稿者に情報を提供した新聞社になります。そして唯一入院時医師記録を持っている事を近畿圏の読者に報道したのは読売新聞です。他社は看護記録+アルファ以上の情報しか入手を確認できません。

読売新聞社がm3投稿者に情報を提供した疑惑はますます濃くなったと考えます。