傍証検証

昨日のエントリーの補足です。

これまでは漠然と遺族は報道前に全カルテを入手していたと考えていました。全カルテを入手し検討したうえで報道されたと考えるのが自然であるからです。ところがそうでないとの公式発言がなされています。今年の4/28に大阪であったその筋には高名な方々が集まったシンポジウムが開かれ、そこでカルテ告訴報道に名を連ねられている弁護士も出席し発言されておられます。その貴重なライブ記録を文字で起しておられるのが日々のたわごと・期間限定特別ブログでその中の核心部分、そのいちに弁護士のカルテについての発言があります。

『患者さんの家族はカルテを入手してマスコミに公表してるらしいから、俺たちも公表して良いだろう』ということを書いてあるんですが、あのー、高崎さんの話でまぁ、あったかもわかりませんが、患者さんたちが入手したカルテはほんの一部なんです。全部を入手したのはごくごく最近、なんですよね。

弁護士発言の「カルテの一部」と「全部を入手したのはごくごく最近」の解釈ですが、カルテの一部とは看護記録を指すのが妥当でしょうし、「ごくごく最近」とは半年前の報道時には入手していなかったと考えるのが自然です。そうなると2つの事実が弁護士発言より確認できます。

  • 去年の報道時には遺族でさえ医師記録部分を入手しておらず、持っていたのは看護記録だけであった。
  • 遺族が医師記録部分も含めてカルテ全体を入手したのは早くとも今年に入ってからであった。
そうであれば報道直後に行なわれた記者会見で遺族が報道陣に公開したのは、遺族がその当時に入手していた看護記録だけであったの主張と辻褄が合います。なぜ遺族が看護記録だけしか入手していなかったかについての憶測はいろいろあるようですが、これは遺族及び遺族側弁護士が明言している事ですから、嘘があるとは思えません。記者会見を開いて告訴まで検討するとした上の主張ですから、この事実を疑ってはならないかと思います。

そうなれば正式ルートでは看護記録以外のカルテを入手する事は不可能となります。昨日のカルテ画像についても遺族が医師記録の一部だけを限定して読売新聞に提供したのではないかの説がありましたが、遺族が医師記録部分を入手したのが「ごくごく最近」と代理人である弁護士が明言しているからには、そんな事は物理的にありえない事になります。またこれは昨日のエントリーに重複しますが、遺族にはベテランどころでない看護師がおられる事も周知の事実であり、看護記録と医師記録を混同する事もまた絶対にありえない事になります。

そうなると読売新聞が2006.10.31に大阪朝刊で鮮明な画像として報道した医師記録は当時正式には絶対に入手できない物となります。この時点で読売新聞が医師記録部分を入手できるわけがないからです。ましてや所持していない「家族からの提供」などありえるはずのない事実となります。読売新聞が虚偽の報道をした事はここに完全に証明される事になります。悲しみに打ちひしがれている遺族の心を踏みにじる鬼畜の行為と考えます。

読売新聞が不正に入手したルートについては謎です。当時公式に全カルテを入手していたのは立件を視野に入れて操作を行なっていた警察です。yamada様からの情報ですが、

2月2日の毎日新聞から>県警は任意で提出されたカルテなどを基に専門家約20人に意見を求めた

これだけの情報でいつ警察が全カルテを入手したかがわかりません。また警察の捜査によるものですから、証拠の保全は厳しいかと思います。10/17に報道の一報が行われ、10/31に読売が報道しているのですから、警察ルートの可能性はどれだけ高いかは確実な事は言えないかと思います。またそんなに簡単に警察からマスコミに証拠物件が流出したならば警察として大問題かと思います。

事実関係から読売新聞が不正を働いたのは隠しようも無い事です。強いて疑うならば家族及び弁護士が虚偽の主張を行なった場合のみになりますが、親族の死亡と言う悲痛な境遇にあるのに、これだけ見え透いた嘘をつく必然性に乏しいかと考えます。

読売新聞に改めて釈明を要求します。