目一杯のエールを贈ります

いつも愛読させていただいているいなか小児科様のコメント欄にazuminese様と仰る方のコメントがあり、これは是非取り上げてエールを贈るべきと考えます。コメントを引用させて頂きます。

長野県立こども病院からのレポートです。当院では、田中前知事の一般診療を開始せよとの発言後、院長交代劇があり、この4月から小児科医による救急当直が始まりました。いわゆる宿直という名の下に、救急当直という体制が業務命令として下されました。医局会の席上、管理者は現在病院が戦時体制であるから、小児科医による救急体制は当然であると宣言しました。救急当直を行うのであれば、交代勤務を組む体制を構築するべきだと医局は主張しましたが、聞き入れられませんでした。今後は、労働組合をとおして、管理者と交渉して行こうと思っています。場合によっては労働基準局に提訴することも考えています。

読めばそのままなんですが、敢えてポイントをピックアップします。

  1. 宿直という名の下に、救急当直という体制が業務命令として下された。
  2. 管理者は現在病院が戦時体制であるから、小児科医による救急体制は当然であると宣言した。
  3. 医局会は抗戦を宣言している。
こんなブログで声を上げても腹の足しにもならないかもしれませんが、私に出来ることはこれぐらいしか出来ないので、せめてネットの声として、長野県立こども病院の勇士達に支援の輪を広げたいと願います。当ブログのコメンターの皆様、またいつもはROMされている皆様、御協力を頂けたら嬉しく思います。

これぐらいの事は長野県立こども病院の勇士達も十分ご存知と思いますが、ポイントの病院側の不当性をせめて書かせて頂きます。

第一段階では宿直で救急当直する不法性を徹底的に追及してください。私に言えることは真っ向正論で撃破すべしです。医師の宿日直業務は厚生労働省通達で厳密に規定されています。

  • 平成14年3月19日付基発第0319007号「医療機関における 休日及び夜間勤務の適正化について」
  • 平成14年3月19日付基発第0319007号の2「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について(要請)」
長くなるので全文引用は控えますが、通達に従えば、
    宿直と言う名では逆立ちしても救急当直はできません
看護師内診問題で医師も実感を持って学習したように、通達は実質法と変わらない強制力を有しています。ここまで明瞭に書かれている宿日直規定を踏みにじれば、言うまでもなく違法行為です。この通達の一言一句でも無視するようなら、この通達を根拠に正々堂々と労働基準監督局に告発すべしです。労働基準監督局が曖昧な態度をとるようなら、労使関係に強い弁護士を雇い徹底抗戦してください。

宿直では救急当直は出来ないことを確認できたら、三六協定の確認をしてください。この協定が無いところでは一切の時間外労働は禁止されています。またこの協定があっても1年で360時間を越える残業は禁止されています。またこの協定は1年ごとに結びなおす必要があります。長野県立こども病院にそんなものがそもそもあるのか、あればどういう内容であるのかを白日の下にさらけ出し、これを遵守する事を徹底される事をお勧めします。

次に新たな業務である24時間救急業務を行うに当たっての人員要求を行なってください。久しぶりに算数になりますが、勤務体制を日勤8時間、夜勤16時間とし、1ヶ月を恒例に従って4週間28日とまずします。夜勤の上限を過酷と呼ばれる看護師の上限である64時間とすると、医師一人当たりの夜勤回数は64÷16=4(回)です。1ヶ月の夜勤回数は28回ですから、28÷4=7(人)まず必要となります。

夜勤は一人体制ですからオンコールでもう一人は応援の準備が必要です。オンコールはもちろん業務であり、残業対象となります。当然ですが、オンコールに当たった者は呼び出されても呼び出されなくとも残業です。オンコールの人員は三六協定の4週間の残業時間の上限が43時間となっていますから、一人当たり43÷16=2.69(回)になります。そうなると1ヶ月の夜勤回数28回ですから、28÷2.69=10.4(人)となり、先ほどの7人に繰り上がってもう4人必要となります。つまり11人です。

最低限これだけの人員が必要ですから、これだけの人員を救急外来に補充できなければ24時間救急外来は法的に不可能であると徹底抗戦してください。これらの要求はすべて明確な法的根拠に基づくもので、一片の不当な要求はありません。要求に正当な回答が無い限り業務命令とは言え従う必要は全くありません。たとえ院長であろうが、県知事であろうが同様です。こんな業務命令自体が不法不当なものであるからです。

最後に管理者側の妄言をもう一度晒します。

    管理者は現在病院が戦時体制であるから、小児科医による救急体制は当然であると宣言した。
寡聞にしてこの平成の世の日本で内戦を含めて戦争状態であるところを私は知りません。戦時状態になったときの法整備はいろいろやっていたかと思いますが、政府がそれを発動したとは聞いていません。長野はこども病院も含めて平時である事は日本国民すべてが認めるかと思います。管理者が戦時状態であると言うのなら、管理者が日本国民に対し戦争状態であることを公言している事になります。これは内乱罪相当の犯罪行為かと存じます。

私の知っている程度の知識では、この程度の初歩的なエールしか贈れないのが残念至極です。力足らずの私を是非助けてください。そして長野県立こども病院の勇士達に一言でもエールを贈ってください。どうか宜しくお願いします。