医師等資格確認検索余話

厚生労働省からの4/1付のプレゼントである医師検索のネットシステム。ネット医師の間では結構話題になっていまして、猛烈なアクセスが行なわれたようです。そして一番話題になったのが医籍に確認できる医師ではなくて、医籍に確認できる鬼籍です。既にお亡くなりになられた先生方が何故か未だに医籍に登録されている現象です。

理由は単純で医籍の登録は国家試験合格後に医師は喜んでやりますが、死亡時の届なんて遺族の関心外ですから、除籍手続きなんてそうそうされないために起こります。手続きをしないというより、手続きそのものの存在を知らないといえば相応しいかと思います。だからある程度は存在するのは致し方ないにしろ、その率が異常に高いようだの感触です。一昨日からWikiJBM内のBBSに調査を募集したところある程度まとまった数が出てきたので報告しておきます。

WikiJBM内のBBSでは重複集計を避けるため実名にて集計していますが、このブログでは個人情報保護を尊重して結果だけを報告します。

    物故者123名のうち75名が医籍に健在
単純計算でおよそ6割。もちろんこの中には同姓同名問題があったりもするかもしれませんが、医籍登録年次から年齢を推測すれば寿命であってもおかしくないものが多数であり、また姓名によってはそうは重複するものが少ないであろう組み合わせもありますので、そんなに誤差は多くないと考えています。

医籍登録というシステム上、ある程度やむを得ないものかとも考えますが、ネットで一般公開するとなると精度にやや不安を感じます。これまで医籍の現実的な利用法の一つとして、医師が勤務する時に病院側が医籍番号と氏名を確認して、その医師が本当に医師なのかどうかを確認するというものがあります。それならば別に物故者が医籍に残っていてもさほど問題にはなりません。まさかこれほど物故者が医籍に残っているなんて誰も考えていなかったので、極論すれば医籍の台帳さえあれば医師が死んでいようが生きていようが関係ないためです。

ただし一般公開となると、より精度の高い情報を提供するのが望ましいのではないでしょうか。この医師の情報提供システムは4/1から運用開始していますが、少なくとも拙速を尊ばなければならない制度ではありません。従来の医籍からの除籍システムは相当な丼勘定でしたし、それでも実用的にはさして問題は無かったと考えてはいます。問題は無かったですが、ネット公開システムにするのなら出来るだけ調査しなおして、これまでの除籍制度の不備をできるだけ是正してから公開すべきかと考えます。そういう時間をかけるだけの余裕は十分あるかと思いますし、ネット公開が調査のために1年や2年遅れようがどれだけの不利益があるか疑問です。

さらに言えば悪用の懸念すらあります。医師不足に悩む病院が、医籍に登録されている物故者の遺族に頼み込み、死者の名義貸しを行う事も可能だからです。厚生労働省の医籍の上では健在のはずですから、名義としては堂々と通用します。またそういう医者の医師免許を何らかの方法で入手したら、厚生労働省でも確認できない偽医者が誕生します。医師免許には顔写真がありませんからね。

最後にもう一点、これだけ杜撰な公開をしているシステムの実態を知るとすぐに思い浮かぶのですが、行政処分を公開するとし、行政処分が終了すれば抹消されると謳われていますが、本当に言っている通りやってくれるかです。正直なところ、一旦行政処分を書き込まれると、本人がたび重なる抗議でも行わない限り、永遠に残されているんじゃないかの懸念です。そういう不安感を抱かせるデータ管理を行なっており、それを堂々と公開する実例を目の当たりにしているのですから、抱いても不思議じゃないと考えています。