予算委員会

勤務医 開業つれづれ日記コメント欄よりで、文字起しされた僻地の産科医様、ポリクリ様御苦労様でした。謹んで引用させて頂きます。



小池晃もうひとつ、国の責任が医療において深刻に問われているのは、医師不足の問題だろうと思われます。この問題取上げたいと思います。全国各地の医師不足は、病院や診療科の閉鎖といった深刻な事態を招いています。住民・患者の命と健康をおびやかしています。過重労働やストレスによって医師や医療スタッフの心身蝕まれて、医療事故の背景にもなっています。


日本医労連がまとめた実態調査の中間報告によれば、勤務医の9割以上が当直勤務を伴う連続32時間の勤務。月3回。更に3割近くは月に一度も休日を取れない。過酷な勤務状態にあるといわれています。この報告では医師自体が過労死する状態にあるとまとめている。わたくしは日本の勤務医というのは極めて過酷な勤務状態におかれていると思われますが、総理の認識はいかがですか。
解釈勤務医の労働環境が劣悪すぎるではないかの問いかけです。
柳沢大臣え、平成17年度に日本医労連の調査わたくしは存じませんけれど、私どももその問題には関心を払って、え〜それを踏まえまして平成17年度に医師の勤務状況に関する調査をいたしました。病院勤務医の一週間辺りの勤務時間でございますけれども、研究時間や休憩に当てた時間など、いわば病院に拘束されていた時間、始業から就業までということでいきますと、約平均で63時間ということになりますけれども、休憩時間等を除いた実際の従業時間は平均で約48時間でございます。


で、これでも開業医の方々に比べて病院勤務医の方々の勤務状況は大変厳しいと、いうことは私どもも認識をいたしております。え、そこで、え〜厚生労働省としても、このように厳しい病院勤務医の勤労条件を改善していくことは、緊近の課題であると認識をいたしておりまして、第一に医師の集まる拠点病院作り、それから第二にネットワークの構築 、更には病院勤務医と開業医の連携をとるための電話相談医事業のいろいろなそれから労働基準法に違反している事例等にたいする基準監督署の指導の徹底。このような対策を引き続き推進してまいりたいと考えております。
解釈厚労省の勤務医の労働時間の認識は約63時間/週であり、休憩時間を除くと約43時間/週である。この発言だけでも月に90時間以上の残業が行なわれている事になる。ところが休憩時間は労働時間に含まれないとの見解を厚労省自ら打ち出している。休憩時間とは院内に拘束待機している時間を指すと思われ、その間は労働で無いから労働時間は43時間しかないとの公式発言です。
小池晃あの〜医師の勤務実態っていうのは研究時間だって十分な勤務時間だと思うんですよ。しかも待機を言うけど休憩というけれども患者さんくるまで待機している時間、そんなん全部無視するんですか?そら立派な勤務時間ですよ。厚生労働省の調査ってのはそういうの全部、無視して、実際に現実に診療やっている時間だけを勤務時間だと。これほどね、医師の勤務実態とわたしかけ離れた実態はない、だいたいこれね、国民の実態にも、日本のお医者さんたちみんなの実感にも、まったく反する、今の話だと。とんでもない認識だよ。こういう認識でやっているから、私はこの問題解決できないと思う。

え〜産科医療の実態、先日岩手県花巻市にいってまいりました。ここは県立の花巻厚生病院があり、唯一の県立総合病院の、産科休診が最初の引き金ひいたんですね。で、二件だけだった開業医のうち一軒、お医者さん亡くなられた。で、今では病院と診療所が一箇所づつだけなんです。妊娠がわかった時点で予約してももうだめ、妊婦さんは盛岡や北上市もまでいかなければいけない。で花巻市というのが、東京23区よりも広いんです。新幹線も止まるんです。ところがそんな町でお産ができない。妊婦さんが健診で隣町までいくのに自分で車運転する。こういう実態がある。

隣町の遠野市というところでは、雪のある時には3時間かかるのだとききました。間に合わずに車の中で出産した例もあると聞きました。一年に一回も二回もおこっている。で、私はねこれはあのある地域の話ですが、総理国民的な関心です。みんなが心配しているんです。やっぱり深刻な医師不足が原因で、お産が脅かされる、安全が脅かされる。あってはならないことに対して、総理はどうお考えですか。
解釈医師の研究時間、待機時間は勤務では無いという見解への指摘。続いて、東北地方のお産実態を実例を上げて追及。
安倍総理まっ産科の不足状況についてはわれわれも十分にまあ認識しております。医師全体の数は増えているわけですが地域においてこれは不足の状況、そしてまたあるいは科目、産科小児科が不足している現状については十分に認識しているわけではございまして。地域によっては必要な医師が確保できない状況が生じている。公的医療機関においても分娩を取り扱っている施設数は減少しております。

この背景としては、産科医を巡る厳しい勤務状況・厳しい勤務環境があるのはわれわれ十分に承知しております。産科医療のリスク・訴訟増加の懸念・少子化による出生数の減少などが影響しているとこう認識をしています。このためにわれわれは対策といたしましては、医師が集まる拠点病院をしっかりと整備をしていく、そして医師が不足する病院への医師派遣の仕組みを構築をしていく、こうしたネットワークを作った派遣をして行く。また産婦人科医師に多い女性医師の就労を支援するための女性医師バンクの設立を行います。

え〜産科医療のリスクや訴訟の増加に対応する。え〜まあ産科の先生はわりとこの訴訟をされるリスクが大変高いえ〜とこのように言われておりましてえ〜最近では産科医を志望するえ〜医学生もまあ減少してきたと、このように思います。え〜そうしたことを緩和しながら産科医療保障制度の創設に向けて検討をしてまいります。まっこうしたことをですね総合的に取り組みを進めているわけでございましてまた平成20年度の診療報酬改訂においても、産科などへの対応を含めた診療報酬のあり方について検討することが必要なことと認識いたしております。まっ国としては今一度それぞれの地域の実情をまあしっかりと把握をいたしまして、都道府県と協力をしながらえ〜地域ごとに具体的で実効性のある医師‘確保’対策を講じてまいります。え〜厚生労働大臣はえ〜強力な指導力を発揮をしていただくことになると思います。
解釈医師不足は特定地域、特定科目の問題とまず発言。具体的な対策として、集約化、医師派遣システムの構築、女性医師バンクと定番を列挙。また自費診療である産科診療報酬の配慮も発言しています。締めは厚生労働大臣に丸投げ。
小池晃具体的で実効性のある措置をを取らなければいけないとおっしゃる。じゃあ具体的に国が何をやってきたか。国公立病院などがですね産科や小児医療を守るべき先頭に立つべきだと私は思います。えっところがですね花巻でも産科医療の危機のきっかけになったのは、これ県立病院の撤退なんです。

厚生労働大臣ここで、あのはじめてお答えいただきたいのですが(笑い声起こる)96年から2005年の間にね、産婦人科のある病院は28,7%減少しているんですが、国立病院の産婦人科は35%減っているんですよ。全体より突出しているんですよ。これがね実態なんです。正に国が率先して、あるいは公立病院などが率先してね産科小児科削ってきているんですよ。え〜でね〜産科小児科を‘確保’する、先ほど総理は実効性ある措置を取るとおっしゃるのであれば、国立病院の産科小児科の削りをやめる。これまで産科小児科を止めてきた病院は、復活をさせるこのくらいのことは当然やるべきではないですか?
解釈産科医療の危機を救うには国公立病院がリードするべきだが、現状は公立病院が先導して崩壊を促進させているとの指摘。
柳沢大臣え〜まああの〜地域によってですねお医者さんが不足をしているという所があるということはわれわれも承知をしております。そこでですね、先ほど来申し上げております一般的なネットワーク・拠点作りというようなことも勿論この中から出てきているわけですけれども、やはり都道府県が中心になって医療対策協議会をまああの開く、そのお〜時にですねあの〜国公立のこの病院の人たち、公的な医療機関もこれに積極的に参画してもらいまして、え〜そうして医療の連携体制に必要な協力をしてもらうとゆうことを考えております。

加えまして私どもはですね、もうそのただ中央の会議を持って指針を決めてそれを画一的に地方に伝達するということで事を終わるというようなことでなくて、実際に役所の中にブロックごとに担当のチームを作りましてそうして、その協議会が行われるときにおきましては、実際にその中に相談に参画するような形で、具体的かつ実効性のある体制を作ってまいりたい、このように今考えて体制をスタートしているところでございます。
解釈お得意のネットワーク答弁。
小池晃私が言ったことに全然応えてないんですよ、色々やるといったけどいや国公立病院減らしてきたのをじゃあ早期に復活させる、このぐらいのことをせめてやるべきじゃないか一切答えてない。
柳沢大臣そうした具体的で実効性のある解決策、これを構築する中でですね国公立病院がどのような役割を演ずるか、えっこれについて私は腰が引けたような対応は許さないとこういう形で私は参画をさせようと、こうしたことを私は申し上げたつもりでございます。
小池晃今までどんどんどんどんと率先して減らしてきたのにねえそうしたことを言っても、具体的なことが全く無いじゃないですか。私はねえそういう意味では本当に国は口先だけじゃなくて、それこそ今まで廃止した病院を復活させる、そのぐらいのことは決意を持ってやらせる。しかも、先ほどあったような診療報酬の問題もある。出産一時金の大幅な増額も必要だと私ども思っております。助産師の役割ももっと重視すべきだ、助産師の養成数もっと増やして院内助産所を作る、あるいは助産所と救急病院との救急搬送システムを作る。これが実効性のある制度だと思うんです。こういったことを本気でやるべきだという風に思います。


え〜しかもですね、より根本的な問題があるんですが。日本の医師の数が果たして今のままでいいのかという問題なんですよ。これパネルを持ってまいりましたが1970年からの日本の医師数をグラフにしております。え〜1970年には、まあ大体世界の平均と日本の医師数はパラレル、同じくらいでした。え〜1970年日本の医師数は全人口十万人辺り112名え〜そのときOECD平均は120名です。え〜当時の日本政府はいわゆる一県一医大政策を立ててですね、医学部入学定員を増やす政策を進めたんです。

え〜ところが1982年の臨調第三次答申を受けた閣議決定でこれを方針転換をする、86年に医学部の入学定員を10%削減するという方針を出す。97年にも定員削減を続ける閣議決定をしています。で一方OECDではその後も医師の数を増やしている。まあ医療水準やあるいは患者さんたちが求める医療の質が高まっているのですから私は世界の流れっていうのは当然の方向だと思います。え〜ところが日本は抑えてきた、その結果だんだんだんだんと格差が開いているわけです。このOECDの平均に照らせば大体12万人から14万人日本の医師数は少ないのだという指摘もございます。え〜総理、私はですねこの流れを見れば世界の水準から大きく立ち遅れてしまった、まあこういう認識を持つべきだと思いますがいかがですか?
解釈1970年代にはOECD諸国平均と遜色なかった日本の医師数が、その後の政策ミスによりOECD諸国最低水準になったとの指摘。

医師から見ればたくさんツッコミどころのある柳沢大臣安倍総理の答弁ですが、医師以外の方にも関係する重大発言を厚生労働大臣が国会で行なっています。休憩時間、待機時間は労働時間に含めないとの発言です。そうなれば消防署は火災現場で働いている時間だけが労働時間であり、24時間出動待機しているのは労働時間では無いという事になります。自衛隊なんてもっと極端になり、年に数回の災害出動以外は労働時間でないとなります。

タクシー運転手も、客が思うように拾えない日は労働時間でなくなりますし、タクシー乗り場で長い間待っている時間も労働時間でなくなります。もっと単純に9 to 5で8時間労働が労働の基本的な枠組みですが、厚生労働大臣見解では、休憩時間は労働時間に含めませんから、これは8時間労働ではなく、7時間労働になります。さすがはWEの鬼である柳沢大臣の面目約如です。

発言している場は国権の最高機関の一つである国会であり、自分は労働行政を統括する最高責任者であることを意識しているのでしょうか。