厚生労働省ノー・アクション・レター制度

法令適用事前確認手続と正式には呼ぶそうで、もとになる法令は厚生労働省における法令適用事前確認手続に関する訓令だそうです。どうもこれはある行為を行なう前にそれが法令に合致しているかどうか確認する制度の事のようです。後は読んでいただければ終わりなんですが、少し引用しながら解説してみます。

まず照会できる対象として、

    本手続の対象である厚生労働省の所管する法令の条項について、以下の照会ができます。
当たり前といえば当たり前なんですが、厚生労働省関連の法令に限るようです。続いてもう少し具体的に、
  1. 許認可等を受ける必要があるかどうか(許認可等を受けない場合、罰則の対象となるかどうか。)。
  2. 届出をしたり、登録・確認等を受ける必要があるかどうか(届出をしない場合又は登録・確認等を受けない場合に罰則の対象となるかどうか。)。
  3. 不利益処分の対象となる可能性があるかどうか。(ある行為をした場合又はしなかった場合に取消等の対象となるかどうか。)
1.と2.はあまり関係無さそうですが、3.はある程度使えそうな感触がします。照会の方法も具体的書いてありまして、
  1. 将来自らが行おうとする行為について、個別具体的な事実を示すこと
  2. 適用対象となるかどうかを確認したい法令の条項を特定すること
  3. 特定した法令の条項の適用に関する照会者の見解とその結論を導き出す論拠を示すこと
  4. 照会者名、照会内容、回答内容が公表されることに同意していること
なるほど、なるほど。ちょっと例文を書いてみたいかと思います。

私は医師として二次救急病院に赴任予定です。そこでは私も二次救急の救急担当医として従事しなければならないとされています。救急病院の規定は1964年の厚生省令第八号の救急病院等を定める省令にあり、1987年に改正されていますが、救急医療に従事する医師の条件として、

    救急医療について相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事していること。
こととなっており、さらに具体的には、
    救急医療について相当の知識及び経験を有する医師とは、救急蘇生法、呼吸循環管理、意識障害の鑑別、緊急手術要否の判断、緊急検査データの評価、救急医薬品の使用等についての相当の知識及び経験を有する医師をいうものであること。
とされています。私は医師としてこの条件に相当する救急医療について従事する医師の能力を満たしていません。また平成15年10月24日に大阪高等裁判所 第5民事部で下された平成14(ネ)602 損害賠償請求控訴事件でも、この能力を欠いた医師が救急を担当し救急患者の治療に当たり死亡に至った件につき、担当医の注意義務違反の理由を次のように書かれています。
    担当医の具体的な専門科目によって注意義務の内容,程度が異なると解するのは相当ではなく,本件においては2次救急医療機関の医師として,救急医療に求められる医療水準の注意義務を負うと解すべきである。
なっており、救急病院等を定める省令の「救急医療について相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事していること」は非常に厳格に解釈される条項と考えております。

私は小児科医であり成人の救急医療どころか、成人の医療自体の知識経験が大きく不足しているのは明らかであり、それに対する実地経験、講習会等の受講歴もありません。そこから考えますに私の救急に対する能力が不足している事により救急患者の生命、健康に重大な支障が生じると考えられ、私が救急担当医として救急医療に従事する事は明らかな法令違反と考えられます。

こんなものでいかがでしょうか、

それにしてもこの照会書の提出方法なのですが、

記載した照会書を担当課・室に提出してください。
 なお、照会書については、必要に応じて補正をお願いすることがあります。
 また、照会の内容が本手続の目的に合致しない場合等要件を満たさない場合には理由を示して回答しないことになります。

どうも直接持参して受付けてもらうようにしか読めないのですが、東京まで行くのは遠いな〜。

追伸

通行人様からのコメントではメイルでも良いんじゃないかとありましたが、実際はいかがなものでしょう(自分で調べろといわれそうですが・・・)