焼野原後を考えよう 〜その2〜

医療危機を救うには厚生労働省をはじめとする国が動かないとどうにもなりません。一医師や一病院が動いても効果はほとんどありません。逆にこの危機的状況を凌ぐために超人的な献身を行なっても擂り潰されます。それほど事態は進んでいると言う事です。では誰が国にこの苦境を訴えれば聞いてくれるか?医師個人でも駄目、医師の団体である日医でも無力です。

医師個人でも日医でも駄目なので、残された手段は世論を動かす事です。世論の流れとして「医療を何とかせよ」の声が揚がらないと動きません。世論を動かすにはどうすれば良いか。一つはこういうブログで医療現場の実態を地道に訴える事です。こういう作業は大事ですが、なかなか広がりを見せてくれません。ブログの広がりはネットの中に留まらざるを得ませんし、ネット世論にも甚大な影響を及ぼすマスコミは「医者叩き」が基本論調ですから、現況では偏向マスコミ記事に一つ反論するだけで医療系ブログが総出で出陣してもまだまだ敵いません。

地道な手段の道は遥かに遠く、焼野原は愚か焼野原後でさえ間に合いそうに無い状況です。そうなればもっとインパクトの強い手法を講じる必要があります。実際に崩壊焼野原となり、身を持って医療に困る人々が増える事です。医療も無くなれば強烈な「痛み」をもたらしますから、即座に声は揚がるでしょうし、痛みが続く限りその声は揚がり続けると考えます。

「焼野原を待ってそれから論」は医療危機論者に有力です。私も基本的に組します。崩壊焼野原へのシミュレーションを考えると、

    僻地崩壊→地方都市崩壊→大都市崩壊→東京炎上
この路線で進むのが順当でしょうが、こう進んでは悲惨な事になります。崩壊に抵抗する良心的な医師が最後の一兵まで殲滅玉砕した焼野原になってしまいます。そこまでの焼野原になれば、すべての医師の心は折れ、技術の伝承は途絶え、精神の伝承も消えうせます。本当にゼロになっての再生になります。

そこで私が考えるのは「早期崩壊、早期再生」路線です。再生に必要な医療側の戦力を温存しつつ、世論を喚起するに十分な崩壊現象を目の当たりにしてもらう事です。焼野原は別に日本中がなる必要はないのです。世論が一番騒ぎやすく、その騒ぎがマスコミに連動しやすく、その騒ぎが政治に直結する地域が崩壊焼野原化すればよいと言うことです。

それはどこか、言うまでもなく首都東京です。東京さえ崩壊すれば日本中が焼野原になったのと同じインパクトがあります。逆に言えば、東京以外の地域がいくら焼野原になろうが東京が健在であれば、どこまで言ってもローカルニュース扱いから脱しえず、世論的には対岸の火事に留まるからです。

東京の医療事情に疎かったので情報収集に協力をお願いしたところ、東京と言えども磐石でない事が判明しました。他地域より見た目上はマシかもしれませんが、抱える人口の巨大さ、都市住民の権利意識の高さもあり、崩壊への誘導は決して不可能ではありません。東京が医療砂漠になればどれだけ巨大な世論が起こるかは十分推測できます。医療側が早期再生のための戦力を温存しつつ、もっとも効果的な早期崩壊を行なう地域は東京をおいて他にはありません。

焼野原路線が既定であるなら、被害を最小限にとどめるために東京を炎上させる。東京の住民には申し訳ありませんが、これがもっとも効果的なように思えます。他地域ではインパクトが足りません。焼野原に向かっての戦略目標をまず東京に定めることで明日に続きます。