スバルとボルボ

縁あって10年以上レガシィを乗り継いでいます。もともとの私のクルマの嗜好はガチガチのスポーツカー指向。とはいえ家族を抱えてスポーツカーとは行かず、二台抱える余裕がある時は私の通勤用がロードスターだった時代もありますが、現在は一台体制です。一台となると家族で移動するのを念頭に置かなければなりませんし、荷物も旅行となれば膨れ上がります。そういうのに適したクルマは市場に溢れていますが、ここに私のこだわりが出ます。「クルマはミッションじゃなくちゃおもしろくない」です。ミッションであるだけではなく、無茶苦茶走ってくれないとイヤです。こんなワガママな条件に合うのがレガシィだったのです。

そんなレガシィでしたが、スバルの販売店の一部がボルボを売っているのを見て相当違和感を感じたものです。レガシィはスバルのフラッグシップ、富士重工の命運はすべてレガシィにかかっているといっても過言ではありません。会社の命運が懸かっているだけに、モデルチェンジするたびに地味ですが渾身の技術を込めて作り上げています。その努力は他社の追撃にもかかわらず、ワゴンではNo.1の地位を保っている事で分かります。

レガシィはセダンも売れてますが、主力はワゴンです。国内にも強敵はいますが、現在はレガシィのほうが一枚上手でいます。レガシィーが真のライバルとするのはやはりボルボ、ベンツなどの外国勢でしょう。とくにボルボのワゴンはかなりの強敵と思います。今のレガシィに満足しているはずのうちの奥様でさえ、「余裕があれば赤いボルボが欲しい」と言うぐらいですから。そういうライバル車を自社系列で販売するのは「どうも」と言う感じでした。

そんな不思議なスバルとボルボの関係でしたが、提携を打ち切るそうです。スバルがレガシィを売って食べていくにはその方がベターとは思いました。ただし内情は複雑そうで、どうやらGM不振による世界戦略変更の余波のようです。そういえばスバルもGMと長い間提携関係でしたが、GMとも提携関係を薄くするようです。薄くなってライバル車を自社系列で販売する矛盾からは開放されるようですが、話はそんな単純なものではないようです。

自動車業界は国際的規模での合従連衡が激しく行なわれ、次代の覇権を競い合っているとの事です。そんな中、日本は市場規模に対して自動車会社が過剰であると昔から言われています。トヨタ、日産、ホンダ、三菱、マツダ、富士、スズキ、ダイハツと8社を数えます。いすゞや日野も乗用車を作っている時代がありましたが、この辺はさすがに淘汰されています。それでも8社(光岡は除く)です。予測としては全部は生き残れないだろうといわれています。

そういう訳で富士はトヨタとの距離を縮めているとありました。これもレガシィを愛するものとしてなんとも言えない選択です。トヨタと関係を深めているのは他にダイハツがあります。ダイハツトヨタが手がけていない軽自動車業界の雄です。素人目から見ても補完関係です。ところがスバルの主力車種はレガシィも、インプレッサも、フォレスタートヨタのラインナップとかぶります。と言うかトヨタは軽自動車を除く乗用車のすべての部門で強力車種を作っています。なんと言っても世界で一人勝ちしているといわれている1兆円企業ですからね。

それでもスバル単独で生き残るのは難しいそうです。どこかと組まないといけないらしいのです。であるなら日本での販売能力の低いボルボと組んでいる方がまだベターだったともいえます。そんなこんなを考えていると、もう一回レガシィを乗り継ごうと考えていますが、その頃にレガシィがどうなっているか分かったものじゃないような気がします。トヨタのクルマはたしかによく出来ていそうですが、個性的なクルマを作るメーカーにも存在感を示しながら生き残って欲しいと思っています。

なんにもできませんが、ガンバレ!スバルとだけエールを贈ります。