ネットの情報を操作できるか

既製のマスコミに対してネット情報と言うものが急速に成長しています。これは自分が感じているよりもっと早く成長しているようにも思っています。現時点ではまだまだ既製マスコミに及びませんが、成長スピードを考えると10年とは言わずほんの数年で現時点からでも想像がつかないほどのスケールになると予想しています。

世の為政者と言うものはこういう機関の発達を喜びません。為政者が一番望ましいのは国民が何も知らないことです。何も知らず何も発言できない状態であることが理想と言えるでしょう。でもさすがにそれは今の世の中で実現するのは不可能です。となると次善は限定された情報だけを提供するスタイルです。日本で例えれば大本営発表のような形式です。情報源が限定され、情報を提供するときにも為政者に不都合な情報を伏せ、十分コントロールされた情報だけを提供するやり方です。

日本だけではないかもしれませんが、為政者は情報を大本営発表型にしようと日々努力しているように見えます。成果はそれなりにあり、既製マスコミはその大きな網の中に巧妙に取り込まれているように感じます。そんな事はないと言われる人もおられるかもしれませんが、例えば政府の陰謀に近いものをマスコミがスキャンダルとして暴く事があります。その時にマスコミ人はその勇気ある行為を絶賛します。勇気ある行為を絶賛するという事は、そういう行為が非常な勇気を要する事であり、何に対して勇気を奮ったかといえば為政者の有象無象の圧力に対してです。そういう圧力を普段濃厚に感じているからこそ、それを乗り越えての行為を絶賛するのです。

今のところネット世界での意見発表、意見交換に関しては既製マスコミほどの圧力は受けていない様に思います。もちろんネット世界は広いですし、私が見聞しているのは、ほんの片隅にすぎませんが、これは今の日本では、ネットの影響力が世論形成まで及ぼす部分がまだまだ小さいからだと考えます。せいぜい床屋談義や、居酒屋談義の拡大版程度としか受け取られておらず、ネット世界で飛び交う情報やそれに対する意見もそのレベルを越えないからでしょう。

ところがネットがもっと力をつけて世論構成に大きな影響力を発揮し始めると、為政者はそのコントロールを真剣に考えるかと思います。ネット世界は広大ですが、一方で検索機能技術もその必要性からドンドン向上しています。いくら検索機能が上がっても広いネットの世界を網羅できないという意見もありますが、情報をコントロールする側からすれば、すべてを網羅する必要は無いのです。世論構成に影響力のあるサイトだけを統制すればよく、それは今でも容易にピックアップする事は出来ます。

ネット世界でも書き手の信用が影響力を左右します。匿名であってもその内容に目を瞠るものがあれば影響力が強くなります。そういうサイトに圧力をかけて為政者の意向に沿う様に情報を統制して行く可能性です。まず実名であればきわめて容易です。従来のマスコミ統制と同じ手法が使えます。匿名であっても、その気になればその多くのサイトの書き手の特定は出来ます。そこもまた従来の手法が有効です。匿名の壁が破れないところは、サイバー攻撃がかけられます。

現在主流のネットの意見表明はブログです。そこではコメントが寄せれるところが大部分です。コメント拒否のところもありますし、ブログを一般に公表していないところもありますが、そういところは影響力が少ないので無視されます。一般に公表され、コメントが寄せれるところに対して、もっとも有効な方法は炎上させることです。コメントを殺到させ、ブログの運用を事実上不可能にさせてしまうことです。

これは時々読みに行くブログでやや近い状態が起こったのを見て、こんなに簡単にひとつのブログを潰しにかかれるんだと痛感しました。そこでは管理人さんが巧妙にさばいたのと、ブログ読者の支援コメントが支えて切り抜けましたが、攻撃者がもう少し多ければおそらく支えきれなかったと感じました。少なくともうちで起こればブログ閉鎖の憂き目を見たと思います。という事はある程度の組織が恣意的に行動すれば、不都合な意見を消して回れる可能性を危惧させました。

またネットは匿名世界ですが、国家的権力をもってすれば実名を知るメカニズムを組み込んでしまう事は不可能ではありません。まだ具体的には何もあるわけではありませんが、ネットが力を持てばそんな法律が出てくる事は否定できないように思えます。もっと早いかもしれません。ネットの成長速度は早いですから、そういう法律に反対する力を持たないうちに作ってしまう可能性も十分あります。

雨のせいですかね〜、そんな事を考えた朝でした。