麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)の制度が4月に施行されたのも束の間、たった2ヶ月で制度改正の正式通達がありました。お役所文章の解読にはいつも苦労させられるのですが、なんとか解読して自分の診療所のHPにアップしましたので、ブログでも少し触れておきたいと思います。まず4月時点の最大の問題点をおさらいします。
-
「MRワクチンは過去に麻疹及び風疹に実際に罹ったもの、ないしは従来の麻疹及び風疹の単独接種を行ったものには接種は罷りならぬ。そういう子供は自費で単独ワクチンを接種すべし。」
ところが5/31付け通達で「絶対に罷りならぬ」と繰り返し強調されていた点がアッサリ改正されてしまいました。なんと
-
「麻しんワクチン又は風しんワクチンを接種した者」に「麻しんワクチン又は風しんワクチン及び麻しん風しん混合ワクチン」を接種した場合の安全性が確認された
それでもって改正後の制度では下記の如くになっています。
- 麻しんの第1期又は第2期の予防接種は、乾燥弱毒生麻しんワクチンを用いて接種する事。
- 風しんの第1期又は第2期の予防接種は、乾燥弱毒生風しんワクチンを用いて接種する事。
- 麻しん及び風しんについて同時に行う第1期又は第2期の予防接種は、乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンを用いて接種を行うこと。
ところでこの改正のために新たな問題点が発生します。もう一度MRワクチンの接種制度の原則を書きます。
- MR1期:1歳児対象。2歳になれば公費接種から外れる。
- MR2期:幼稚園保育園の年長児相当の時期。小学校に入学すれば公費接種から外れる。
- 2歳以上児(MR2期相当時を除く)でMRワクチンを希望されたらどうするか。現在の移行措置を杓子定規に解釈すればMRワクチンは接種できず、それぞれの単独ワクチン接種となります。
- MR1期以降、MR2期以前に麻疹及び風疹の予防接種を行った場合、MR2期との間隔をどうするか。極端な話、現在年中組であり、来年の3月に滑り込みで予防接種を行った子供に、翌4月にMR2期を希望されたらどう対処するかです。つまり2歳以上で予防接種を行った子供をMR1期相当とどこまで見なすかにもなります。
- 現在MR2期の子供で、麻疹なり風疹なりのどちらか片方だけ接種している子供の対応はどうするかです。MRワクチンだけ接種するのかです。これはあくまでも解釈ですが、移行措置で残っているワクチンを接種した上で、制度改正によりMR2期を接種できると言う考え方も成り立ちます。ただしそうすると、そこまで何も予防接種をしていなかった子供はMRワクチンだけを接種するとなっているため、矛盾が生じます。
- 上の内容のさらに応用問題ですが、年中までに麻疹か風疹の予防接種を終えており、4月からこれまでの間に移行措置に従って、残りの予防接種をした子供はどうするかです。制度改正があったので、MR2期を接種するのか、MR2期として片方の予防接種が終了していると見なし、残りの予防接種のみを行なうのかです。
-
なお、今回、新たに第2期の対象となった者への麻しん風しん混合ワクチンの接種は、平成19年3月まで接種が可能であるため、本市から対応通知があるまで差し控えてください。