こんな薬が欲しい

「こんな」と言っても言い出せばキリがないのですが、ある程度現実的なものに絞ってのお話です。それとこれはあくまでも現時点で私が知らないだけで、ひょっとしたらもうあるかもしれませんが、もしあるのなら教えていただけると嬉しいです。

①水薬の整腸剤

    整腸剤は良く使います。もちろん消化不良や急性腸炎はもちろんの事、子供の場合、抗生剤を服用しただけで下痢する者は沢山いますから、頻用すると言えます。この時、粉薬は結構な量になります。また「うちの子はシロップにして欲しい」と言われたとき、抗生剤の味によりますが、シロップ剤に溶解させて処方しますが、この時に薬剤性下痢予防のため整腸剤が欲しい時は多々あります。ところが整腸剤はシロップ剤に溶かし込むわけには行かないのです。

    ここで水薬の整腸剤があればとても便利です。べつに単なる下痢や消化不良の時でも粉薬が嫌いな子供は少なからずいますので、水薬の選択があれば助かります。子供だけではなく高齢の方でも、もしあればそれなりに使用の場はあるように思います。ついで言えば、水薬の下痢止めもあれば処方を考える時に選択枝が拡がって助かります。

    薬理学者ではないのでわかりませんが、感覚的にはできそうな薬剤です。この際さらについでなので、古典的な止瀉薬であるタンナルビンやアドソルビン、次硝酸ビスマスの錠剤があっても嬉しいところです。
②ツロブテロール以外のテープ製剤
    ホクナリンテープの独占特許が切れたようで、ゾロ品の売り込みに来られる所があります。それはそれで商売なんでしょうが、ごく単純に考えて、β刺激剤としてツロブテロールはそんなに優秀な薬品でないと理解しています。この辺は一長一短があり、あんまり簡単に言い切れないのですが、少なくともホクナリンテープにツロブテロールが使われたのは、テープ剤としてツロブテロールが他の薬剤より適合していたというより、当時これを開発した北陸製薬の自社製品がツロブテロールであったからという気がしています。

    テープ製剤は大ヒットまで行かないかもしれませんが、スマッシュヒットぐらいの商品です。他のβ刺激剤で作ればツロブテロールを上回る効果があるような気がしてなりません。この辺も薬理学者でないのでわかりませんが、もし他のβ刺激剤のテープがあれば、治療の選択枝は拡がります。喘息治療の時にホクナリンテープと他の内服β刺激剤を組み合わせることがあります。これもテープ剤としてあれば、とくに小児分野では大変喜ばれると思います。少なくとも私はそういう選択枝があれば大変嬉しいです。
③子供用の内服補助剤
    「お薬のもうね」が発売された時、なんて眼の付け所が良いと感心したものです。結構良く出来た商品でしたが、それでも服用が難しい子供さんは沢山います。そんな子供さん向けの補助剤なんて結構市場が広そうな気がしています。イメージとしては一緒に混ぜれば、子供が一番嫌う苦味を押さえ込んでくれるような製剤です。感触としてチョコレートやコーヒー、ココアあたりが有望と思います。

    製品段階では薬剤の味付けには大変厳しい制限があるそうです。天下のお菓子メーカーでもある明治製菓が、その威信にかけて味を改良したメイアクトMSも味見すると「この程度が限界かいな」と思っています。明治製菓のMRにその時いろいろ聞いたのですが、限られた手段の中の現状ではこれ以上は難しいとの事です。

    であれば実際に服用する直前に添付する薬剤であれば自由度はもっと広く考えられそうな気がします。全薬品なんて欲張ると開発が非常に困難になりますので、マクロライド系、PIがつくニューセフェム系とかに細分すれば、それなりのものが出来そうな気がしてなりません。

    もうひとつ付け加えると、あんまり熱心には調べていないのですが、薬剤を飲みやすくする工夫に調剤料の上乗せがあったと思います。この点について薬剤師と密談した事があるのですが、現状で問題なく使えるのは乳糖と上白糖ぐらいで、なおかつそれでは調剤料の上乗せは取れないそうです。それ以上は検討していないのですが、その辺を狙って作るのも考え方だとは思います。

あくまでも小児科医の意見ですが、上に挙げたものは個人的には「できそう」と日頃から思っているもので、各社のMRが来れば「検討してみてや」と随分前から言っているものもあるんですが、できませんね。技術的なものもあるでしょうし、開発費を傾けてもペイするかの計算が微妙かもしれませんし、小児分野は市場が小さいので乗り気にならないと言うのもあるかもしれません。

まあMRに言っても進まないのなら、ブログにでも書いたらちょっとは反応が違うと思って並べてみました。これを読んで「作ろう」と考え、発売して儲かったら少しアイデア料をくださいね。ボールペンでもメモ帳でもティッシュでも構いませんよ。