クラリスとクラリシッド

どちらもクラリスロマイシンという同成分のマクロライド系抗生剤です。製造元は大正製薬で、クラリスという名前で売っているのが大正富山、クラリシッドという名前で売っているのがアボットジャパン、名前も販売会社も違いますが製造元は一緒なのでこの2つの薬は全く同じの薬です。と言うか全く同じである以外に考えようの無いものです。私はたまたまの経緯でクラリシッドを使っています。本当に大した理由ではなくて、先に売り込みに来たのがアボットだったと言うだけの理由です。

それでもってこの薬の味付けが変わりました。小児科では薬の味は大変重要で、マクロライド系抗生剤共通の難点としてどれも「まずい」という特徴があり、この薬もまた味の評判は宜しくないものでした。MRは「画期的!」と自画自賛してましたが、もう少し前に味の改良をやったメイアクトMSもジスロマックも「前よりマシ」程度でしたから、たいした期待もしていませんでした。

先に試供品を持ってきたのはクラリス(大正富山)。味見をしてビックリしました。MRが「セフゾンなみ」と言うのは言い過ぎとしても、見事なぐらい苦味を抑えつけ、マクロライド系とは信じられないぐらいの「おいしい」薬になっていました。しみじみ「やればできるんだ」と私も職員もひたすら感心してしまいました。

続いて持ってきたのはクラリシッド(アボット)。こちらは現採用中ですから、当院恒例の味見会。お茶やジュース、ヨーグルトや牛乳、はたまたアイスクリームやプリンまで持ち込んでの相性検討会です。この結果は後日当院HPにアップしますが、どうも美味しくない。従来の製品よりは格段に改良されていますが、その前のクラリスを試飲したときに比べどうも「おいしくない」のです。

職員からそんな声があり、全く同じ製品のはずなので「気のせい」と私は打ち消してみましたが、正直なところなんとなく違和感が残るのは確かでした。うちの職員はこの手の事が大好きな人種ですので、翌日にクラリスとクラリシッドの製剤見本を入手してきました。ついでに従来品も入手して改めて味較べです。

微妙ですが明らかに味が違います。クラリスのほうが従来品でも新製品でもわずかに美味しいのです。とくに新製品ではクラリスが美味しかった事は改めて確認できましたし、クラリシッドがわずかにまだ苦味が残るのも確認できました。やっぱり味が違うのです。まさしく「???」です。同じ工場で作り包装だけ違う製品のはずなのになぜか味が違う。少なくとも私も含めて当院職員の一致した意見です。

この味なら「絶対クラリス採用」の意見には私も同意せざるを得ません。得ませんがなぜそんな事が起こるのか不思議です。クラリス採用の意見はとりあえず保留にして改めてアボットのMRに問いただしてみようと思います。アボットもこれまで熱心に情報提供を続けてくれているので、それぐらいはしないと情に欠けます。アボットのMRさんこれを読んでますか、もし読まれていたら至急連絡ください。連絡が無くてもこちらからも連絡はしますが・・・。