ワールドカップ

こんなベタな話題ですみません。私も熱心ではありませんが普通のサッカーファンですので興味は津々なのです。まず日本は強くなったかですがビックリするぐらい強くなったと思います。サッカーに興味を持ち始めたのはサッカー狂の伯父の影響です。当時の日本はメキシコ五輪の栄光から坂道を転げ落ちるように弱くなっていた時代で、スーパースター釜本の最晩年期でもありました。何度か日本代表の試合を見に行きましたが実に弱かった。

相手は欧米のクラブチームが多かったように思いますが、実力差はあまりにも歴然としていました。日本はホームで準備万端ベストメンバーであるのに対し、相手は極東の島国への物見遊山での遠征。メンバーも飛車は客寄せのために出場していましたが、それ以外は金も銀も角もいない2線級であり、なおかつそんなメンバー相手に90分間防戦一方で終始していました。スコアこそ0-1とか0-2ぐらいでしたが、日本が点を取る気がまったくしなかったのは間違いありません。

そんな弱小日本に転機が訪れたのが1993のJリーグ発足。日本が強くなるためにはプロリーグが必要と言う趣旨で作られたのですが、プロリーグができただけで強くなるのかなと正直疑問でした。ところがこの頃より飛躍的に日本が強くなります。今となっては信じられないかもしれませんが、Jリーグ以前の日本代表は世界の一流どころである南米や欧州の代表チームと試合さえ組めませんでした。せいぜいその国のクラブチームとの親善試合が精一杯です。ところがJリーグ以降は国の代表チームとテストマッチがまともに組まれるようになり、なおかつしばしば勝つようになったのです。

少し前にもRマドリードが来日しましたが、相手をしたのは日本のクラブチームであり、決して日本代表が招集されることは無いのです。代表チームには代表チーム、クラブチームにはクラブチームと、いかにも当たり前の組み合わせが行なわれ始めたのはJリーグ以降の話です。それだけでも目覚しい進歩です。と言うかそれぐらい日本のサッカーは弱かったのです。

Jリーグ以降のワールドカップへのチャレンジも大会ごとに進歩しています。それまでで一番日本がワールドカップに近かったのは1986のメキシコ大会であったと言われています。実力上位の北朝鮮を奇跡のように退け、宿敵韓国に勝てば悲願の初出場まで漕ぎ着けています。オールドファンなら有名な木村和司のFKが炸裂しましたが、韓国には脆くも連敗、当時の韓国との実力差は如何ともし難いものがありました。

ところが1994のアメリカ大会ではその韓国さえも破り本当に後一歩まで迫りました。これも有名な「ドーハの悲劇」です。この時点でアジアのトップレベルチームと完全に肩を並べたと言えます。1998のフランス大会予選も苦戦の連続でしたが、アジア第3代表決定戦で劇的な勝利を収め遂にワールドカップへの初切符を手にします。

フランス大会では予選3試合で1点取っただけで3連敗でしたが、2002の日韓大会ではホームであったが故の組み合わせに恵まれたとは言え、予選を突破し決勝トーナメントまで進みます。額面どおりの世界16強とは思いませんが、世界の強豪チームの後姿は完全に視界のうちに入ったとは言えます。そして今回のドイツ予選。日本はアジアのトップチームの一つに成長し、少なくともアジアの中では打倒日本の標的になったと思います。

今や日本は世界のどんな強豪国チームであっても試合ができます。試合が出来るというのは勝つ可能性がそれなりにいつもあるという事です。勝つといってもサッカー独特の幸運としか言いようの無い1点が転がり込んで、後の90分は雨霰のような相手シュートが悉く外れ、終わってみたら奇跡の勝利ではなくて、ちゃんと試合を作り、攻め込み、点を取って勝つ試合です。

Jリーグ以後10年余りでこれほどの強豪国に進化したのは偉大な進歩です。ただし強くなっても必ずしも勝てないのがサッカーと言うゲームです。実力差がある一定の範囲になれば勝利は時の運です。今回の予選グループの相手である、ブラジル、クロアチア、オーストラリアには全勝する可能性はあります。もちろん3戦全敗も十分あります。この可能性はこのグループで一枚上手と言われているブラジルでもあります。つまりこのグループではブラジルが全勝し、日本が全敗する可能性が一番高いとは言え、それが逆転する可能性も十分あるレベルまで日本は強くなったと言う事です。

ブラジル相手でさえ、10回やれば1回ぐらいは勝つ可能性が十分あるということです。残りも9敗ではなくて、3回ぐらいは引き分ける程度の実力が日本にもあるということです。とりあえずは今日のオーストラリア戦、まさに実力拮抗、ちょっとしたミスで流れが大きく変わります。初戦の緊張の中でどちらが自分のペースを早く握るかに勝負の鍵がありそうです。

日本のレベル。そうですね、高校野球に例えるなら、弱小県の予選さえ勝てなかったチームが、まずなんとか甲子園に出場できるようになり、今大会は甲子園でも上位進出の可能性を考えるぐらいに強くなったと言うところでしょうか。ただし相手はPLクラスなのが難関といったところでしょうか。