ちょっと嬉しいかな

ウィキペディア(Wikipedia)なるものがあります。ネット上の辞書みたいなもので、百科事典と現代用語の基礎知識をミックスさせたような物と思えばよいのでしょうか。特徴は読者参加型の編集となっており、日本語版は時事用語にも強いのが特徴だそうです。無料で手軽なので、ブロガーが用語を参照する時にもしばしば引用されています。厳密さ、正確さでは劣るかもしれませんが、ネット上ではそれなりの地位を保つものだと私は考えています。

そのウィキペディアの外部リンクに私の拙文が掲載されています。見つけたときには「ホゥ!」と感心というか、喜びと言うか、恥しさがない交ぜになったものがありました。項目は佐野仙好。70年代から80年代に活躍した阪神の外野手です。残した成績自体は正直なところ大したものではなく、どこにでもいる普通のレギュラーの主力選手です。ただし当時弱小、ダメ虎と酷評され、酷評どおり優勝なんて夢のまた夢時代の阪神を懸命に応援していた私にとっては忘れられない選手です。

ネットは普及の関係から仕方がありませんが、80年代以前の事となると記事を探すのは大変です。私のHPのエッセイにも'73の阪神、巨人のデッドヒートを取り上げた事がありますが、材料をかき集めるのに四苦八苦した記憶があります。ネットとはいえ他人が読むかもしれませんので、根拠となるデータは出来るだけ裏づけが欲しいところですが、私の曖昧な記憶を裏付けるサイトは容易には見つかりません。断片的な資料をかき集め、その資料の中でも明らかに間違い、勘違いであろう物を選別し、掬い上げて書くのはヘトヘトになるような作業でした。

佐野選手の記録はもっと難航しました。実際探すとほとんど無いのです。現役時代の通産記録ぐらいはさすがに天下の阪神球団の選手だけにすぐに見つかるですが、佐野は残念ながら記録に残る選手ではなく、記憶に残る選手なので記録だけでは話が紡げないのです。さらに佐野は地味を絵に描いたようなところのある選手で、活躍自体も地味ですが、記憶に残るようなコメントもほとんど残さなかった選手だったので、私には忘れられないエピソードであっても、みなさんの記憶には必ずしも残っていないようだったのです。

最大の難航は佐野選手の写真。これが見事に残っていません。なにせエッセイの主人公ですから、写真が無い事には締りが悪いのですがこれがない。出てくるのは脇役の写真ばかりで、あきらめかけた時にようやく一枚きりですが何とか見つかり、なんとか形になりました。

「佐野仙好 〜不屈のいぶし銀〜」言うほどたいしたものではありませんが、良ければ御笑覧ください。