特別会計と一般会計

概数ですが国家予算が80兆円余り、財政赤字が1000兆円と聞くとまさに孫子の代までかかっても返済しきれない巨額の負債に眩暈がしそうになります。ところでこの国家予算というものですが、国会の予算委員会とかで時に解散総選挙なんて騒動まで引き起こして審議しているのは一般会計の事です。医療費などを含む社会保障や、教育、防衛などの予算もここから支出されます。もちろん公務員のお給料もそうです。

あれだけ政治家や財務省、政府が必死になって論議しているので、一般会計こそが国家予算のすべてであると今まで漠然と考えてきました。すなわちあれだけしか日本には国として収入が無いんだと。その一方でチラチラと耳にするのは特別会計です。今朝探しただけではたいした知見は得られなかったのですが、これも今まではそんなものが世の中に存在するぐらいとしか思ってませんでしたし、あっても一般会計に較べると微々たる物であろうと思っていたのは確かです。

ところがこの特別会計はおっとろしいほどの代物でありそうなんです。どの数字が正しいのか今朝の時点では判断し難いのですが、250兆円から400兆円ぐらいあるそうなんです。一般会計の3倍から5倍にも上るそうです。さらに特別会計は一般会計で魔王のように権限を振るう財務省の管轄からも離れ、政府、議会でさえ容易に触れることの出来ない聖域となっているとの事です。すなわち各省庁の独自の予算源とでも解釈すればよさそうなんです。

国家予算の総額が実は400兆円も500兆円もありながら、政府や議会が審議して精査している範囲はたったの80兆円とは本当に不可解です。政府や省庁の無駄遣いを減らすのであれば、一般会計はもちろんの事ですが、特別会計にもメスをザクザクと入れないと実効性はほとんど無い事になります。たとえば10%の予算カットでも一般会計なら浮いてくるのは10兆円程度ですが、特別会計も含むと40兆円とか50兆円の規模になります。なんと一般会計の半分程度はそれで捻出できます。荒っぽい単純計算ですが、国債発行分を零にした上で10兆円程度は返済できる計算になります。

余り詳しく解説しているサイトが簡単には見つからないのですが、無いということはよほどこの辺の構成は複雑なものなんでしょう。文字通り「伏魔殿」の予算領域なんでしょうが、1000兆円という天文学的数字財政赤字で逆さに振っても鼻血も出ない状態になりつつあるのに、巨額の特別会計に手をつけないのは何故なんでしょう。私たちは小泉構造改革路線の下でひたすら「痛み」に耐えています。耐えている理由として1000兆円の財政赤字と、80兆円しかない国家予算が大きな理由のひとつでもあります。ところが国家予算は鵺みたいな特別会計を含めると400兆円から500兆円もあるのです。

400兆円から500兆円も収入があるのなら、1000兆円の借金の返済は非常に現実的なものとなります。それを何故か80兆円の枠からだけしか借金返済を考えなくてはならないという規則や理由はどこにあるのでしょう。もしあるのなら是正すれば良いじゃありませんか。憲法でさえ改正しようとの論議があり、やろうと思えばできるのですから、現在の国家的課題である財政赤字解消のため、特別会計を一般会計に組み込んでしまうのに国民的反対が起こるとはとても思えません。

すべての予算を一般会計とすれば、嫌でも国会であら探しの予算審議の俎上にのるのですから、現在の特別会計の中から10%程度はラクラクとひねり出せると考えます。そうなれば財政赤字で八方ふさがり予算運用は少なくとも今よりずっと弾力的なものになると思います。こういうのこそが構造改革と呼ぶんじゃないでしょうか。

それにしても特別会計の仕組みを素人でもわかりやすく解説しているサイトはどこかにないものでしょうか。