日本医師会認証HPだって

診療所には医師会経由で様々な配布物がごっそり届られます。ほとんどはゴミ箱直行で私のところまで回ってくるものは少ないのですが、目を通した物の中に「医療施設ホームページのガイドライン云々」の記載がありました。なんとなく気になったのでようやく目を通して見ました。正式の分は日本医師会HPにありますからお暇な方は読んでみてください。

結構長い前置き文章がまずあって、私も斜め読みしかしていませんが、趣旨は「現在のところHPは医療の広告規制の外にあるが、外にあるのを良い事に医療機関としてあまりにも相応しくない内容のHPがある。あまり野放しにすると医療機関の信用問題にも関わるのでガイドラインを作るからそれに従え」とでも解釈すれば良さそうです。私は余り目にした事がありませんが、抗議でも寄せられたのでしょう。

そいでもって肝心のHPの内容への指針ですが、これもゴチャゴチャ書いていますが、要は「HPといえども医療の広告規制の枠内で作れ」とのことのようです。まあ医師会御謹製のガイドラインであるならそれ以上の結論が出るとも思えませんので、妥当と言うか、無難と言うか、おもしろくもおかしくもないガイドラインです。

もっとも笑ってしまうものもいくつかありまして、たとえばリンクでは「都道府県医師会や日本医師会へのリンクがなされることが望ましい」があります。あくまでも必須ではないとなっていますが、そんなところまで指示するのはやや行きすぎでしょうし、ネットのありかたとしてリンクしたくなるようなHPであれば黙っていてもリンクするのですがね。うちはしてませんが。

それとこれもやや首を傾げたんですが、

    障害のあるユーザーや高齢者の利用を考慮したユニバーサル・デザイン

    1) 専門用語は極力避ける
    2) 背景・文字等のコントラストに配慮する
    3) 色の識別に意味を持たせない
    4) 点滅や動きは最小限度にする
    5) 文字は大きめにし、サイズ指定を行なわない
    6) 各ページには基本的に戻るボタンを設定する
    7) 情報は整理して見やすくする
まあ6)はHP作りの基本ですし、7)はHP作成時の誰でも目指す目標です(思う通りいかないものですが)。1)も7)と基本的に重複する内容で普通はそうするでしょう。2)、3)、4)、5)は正直なところ大きなお世話です。もっと言えば冒頭にある「障害のあるユーザーや高齢者の利用を考慮したユニバーサル・デザイン」ですが、趣旨はわからなくもないですが、診療科によって見てもらう対象層が異なり、うちのような小児科では基本的に高齢者が読むことを期待して作ったものではありません。子育て世代の若い層を意識して作ったものですからこの基準には必ずしも適合していません。

まあそれほど目くじらを立てるほどのものではもちろんないのですが、

    「本ガイドラインの運用にあたっては、ガイドラインを遵守しているホームページから希望がある場合には、医師会の認証マーク(1年更新制)を与えることが望ましい」
とあるのは一番笑いました。おそらくもらうためには申請して、審査をしてもらい、審査委員会から「ここは訂正せよ」との指示があれば修正し、その上でありがたい認証バナーみたいなものを頂くシステムになるのでしょう。

で、もらってどんなご利益があるのでしょうか。認証HPが日本医師会HPにリストとしてリンクされるぐらいが関の山ではないでしょうか。リンクされたい医療機関もあるでしょうが、ほとんどの零細診療所ではどうでも良い事です。またうちでも医師会や行政ににはそれなりに辛口の意見を掲載していますが、そんな誹謗中傷は審査委員会で認められるはずもなく、医師会賛美の内容か毒にも薬にもならないものしかフィルタリングの規制を常に受けることになります。

勘ぐると、どうも将来的に診療所のHPは医師会が審査して認証を与えたもののみしか許さないとの方針がありそうです。でも、うちのHPは決して自慢ではありませんが、ページ数だけで130ページ以上、総計で10M近い分量がありますし、これにBlogまで加わると文章量は文庫本4〜5冊分ぐらいは最低あります。そんなものを毎年精査するなんて事をやるんでしょうかね。

それにしても認証システムが始まったらどれほどの医療機関が参加するのでしょうか、少なくともうちはそんなお墨付には興味も関心もありませんが。