日本シリーズ展望

明日からいよいよシリーズ開幕です。カネやんロッテ以来、31年ぶりにリーグ優勝を飾ったボビーロッテと2年ぶりの岡田阪神の対決に興味は尽きません。またどちらのチームにも熱心なファンが多く、応援スタイルも違いますのでその辺も見どころかと思います。

チームカラーですが、どちらのチームも大砲が華々しく本塁打を打ちまくる打線ではなく、チャンスに連打で畳みかける攻撃なのと、安定したリリーフ陣で接戦に強いのもよく似ています。ひとつのエラーや好守が流れを作るような接戦を基本的に予想します。ボビー、岡田のベンチワークも勝敗の分岐点になることも言うまでもありません。

それとなんと言っても最大のポイントは阪神の休養期間です。阪神はリーグ優勝後、ロッテがプレーオフを勝ち抜いてくる間、2週間もの休養期間がありました。この休養はまず投手陣には良い方向に働くと思います。とくにリーグ終盤に疲労の色が見えかけていた、JFKに代表されるリリーフ陣にとっては恵みの休養になったと考えます。ヘロヘロだったエース井川の調整にも役立った可能性があります。

一方で打線にはデメリット大です。フル出場を続ける主砲金本にはある程度休養として役立ったかもしれませんが、打者は投手と違い、実戦の投球から離れれば離れるほど勘が鈍ります。投手は休む事に慣れているポジションですが、打者は毎日打席に立つ事で調子を作る面があり、おそらく1、2戦は打線が空転する可能性が高いと見ます。

それとモチベーションの問題があります。逆の意味での問題がロッテにもあるのですが、いったん優勝の美味を味わって緊張が緩んでいたものを、もう一度決戦モードに建て直すのは案外大変です。阪神にとって救いなのは、一昨年のシリーズ敗退の悔しさを知る選手が多く、その辺での「今度こそ」の気合を期待するしかないでしょう。

ロッテは阪神とは休養期間の持ち方がまったく対照的なります。打撃陣は激闘のプレーオフの余韻を十二分にもってシリーズに挑む事になります。プレーオフ第5戦も接戦でしたが、あの試合でもロッテ打線は12安打と上り調子で、この勢いをシリーズに持ち込まれたらかなりの脅威です。ヨタヨタ井川が第1戦で派手に炎上したら、ロッテが勢いづいて突っ走る可能性さえあります。一方投手陣は士気は高いでしょうが、緊迫したリーグを戦い抜き、負けられないプレーオフを7試合も戦い抜いた疲労は、どこかで噴出す懸念があります。シリーズがもつれて7戦勝負になってくると、そこまで持つかが鍵となるかもしれません。

ロッテもモチベーションの問題があります。なんと言っても31年ぶりですから、爆発する喜びは想像に余りあります。そこで弾けて一旦切れた緊張の糸を、シリーズに向かって紡ぎ直せるかがロッテベンチの悩みの種ではないかと考えます。

休養期間の影響は総合的にはシリーズ前半はロッテ有利と考えます。阪神としては打線が回復するまでの間を、休養十分の投手陣がどう支えるかがポイントになるんじゃないでしょうか。阪神がシリーズ前半をしのいだら、打線も実戦の勘を取り戻すでしょうし、ロッテ投手陣にも疲労の影が出てくる可能性が高く、そうなれば互角ないしはやや阪神有利の展開になると見ます。

それにしても日程の問題はどうにかならないんでしょうかね。言ったら悪いですが、阪神の優勝なんて今の時点でははるか昔の出来事のように思えてしまいます。せめてお互いのリーグ終了後、1週間以内ぐらいにシリーズが始まらないと、間延びしてシリーズへの盛り上がりに水をさしてしまうようで仕方ありません。

現行のパ・リーグプレーオフ制度がある限り、常にセ・リーグの優勝チームはかなり長い待ち時間を耐える必要が生じます。有利不利の一般論は上述しましたが、もう少し工夫の余地があるように思えます。セとパの協調性の悪さは今にはじまったものではありませんが、野球シーズンの最後を飾るビッグイベントのシリーズの日程改善を真剣に考える必要があると思うのは私だけでしょうか。