プレーオフ第4戦とテレビ東京

良い試合でした。一昨日の第3戦の大逆転で眠れるソフトバンクが目を覚まし、流れはホークスにあると見ましたが、ロッテも踏ん張りました。結果は一点差の敗戦でしたが、これでまさしく五分五分で最終戦を迎える事になりました。ヤフードームの盛り上がりも素晴らしく、優勝決定戦に相応しい素晴らしい試合を今日も見せてくれるでしょう。

ところで一昨日のあの大逆転劇はテレビ中継がありませんでした。まだ結果は分かりませんが、もしソフトバンクパ・リーグを制し、シリーズも勝ってしまったら歴史に残る名勝負になる試合です。それを中継しないとはどういう感覚なんでしょうね。下位に低迷し、やる気もなくなった巨人の試合は中継しても、福岡のローカルチームと千葉の田舎者の試合は中継する価値がないと判断したのでしょうか。

「したのでしょうか」ではなくて「した」とはっきり言った方が良いかもしれません。どこの放送局も秋の番組改変期で特番が目白押しなので、せっかく準備した特番とパ・リーグプレーオフを天秤にかけると特番の方が重かったと関係者は明言しています。

そのせっかくの「特番」ですが、どこもまあ似たような内容の番組ばかりで、相も変わらず芸能人をかき集めてのバカ騒ぎです。べつにバカ騒ぎの番組を作るのが悪いとは言いませんが、この程度の特番なら一週ぐらい遅らせても支障はないと思ったのは私だけでしょうか。

昨今風当たりの強いNHKですが、こういう時こそ中継したらどれだけポイントが稼げたかわかりません。他の局が中継を見送り、なおかつニーズが高いものをタイムリーに放映したら少しは受信料の改善に効果があったと思うのですが、知らぬ顔で見送りです。どこが「皆様のNHK」というのでしょう。官僚化して頭が固くなったところはますます見捨てられる運命にあるようです。

それでもってさすがはテレビ東京です。この予算も金も無い最弱のネット局は、金がない代わりにに知恵とアイデアを絞ってくれます。ここの番組はまさに低予算の企画だけでできた番組が多く、他の在京キー局とは良い意味でも悪い意味でも、一線を画していると思います。金がないので連続ドラマは作れず、バラエティも売れっ子はほとんど使えないか、使っても無闇に金をかけての大集合番組はありません。

今回もまた誰も中継しないのなら「うちがやってしまえ」とばかりに中継する根性は、ある意味テレビ屋根性として他の肥大化した局とは違う能動性が残っていると思います。かつてテレビの草創期にテレビはメジャーであった映画から「電気紙芝居」と酷評され、一流どころのスターからは見向きも去れず、反骨精神からテレビならではの独自性と自前で新しいスターを生み出し、やがて映画産業自体を斜陽に追い込んだことが思い出されます。

テレビ東京自体は弱小であるがゆえに他の在京キー局と同じ事をやれず、他の局がやっていない事を金をかけずにやることに血眼を上げています。もちろん取るに足らないスカタン番組も数多くありますが、一発どこかで金鉱を当ててやろうとする山師根性こそがこの局の真骨頂でしょう。

これはかつてのテレビ対映画の対立時代を思い出します。他の局からは取るに足らないと思われているテレビ東京ですが、昨今の似たり寄ったりの二番煎じ、三番煎じの番組つくりで守りに入ってしまっている他の局の現状を見ていると、気がつけば足許をすっかりすくわれている事もあるんじゃないでしょうか。かなり好意的に見ればですが、番組構成でひとり独自路線を歩んでいるテレビ東京に今日はエールを送りたいと思います。