ブログと選挙

今朝の新聞のコラムに今回の選挙に及ぼしたブログの影響についてのコメントが掲載されていました。たしかに今回の総選挙ではブログというコミュニケーションツールが普及して初めてのものだったので、どういう風な影響を及ぼしたかは関心のあるところです。コメンテーターの結論はおおよそこんなものでした。

    「今回の選挙ではブログはコミュニケーションでなくプレゼンテーションの場として使われ、小泉首相の選挙戦術を煽る方向となった。結果として若年層がこれに触発されて自民党への投票の動機となった部分が少なからずある。」
原文が手許にないので要約しすぎているかもしれませんが、ブロガーとしてなかなか的を得ている表現と朝から妙に納得してしまいました。

ブログがネット社会の中に幾つあるかなんて数え切れません、内容も様々です。毎日書く派の人もいれば、時々書く派の人もおられます。あるテーマ、たとえば育児、音楽、スポーツなどに絞り込んで書かれている方もおられる一方で、いろんなジャンルに意見を書く人もおられます。時々派の人でテーマを絞っている人はまだ良いとして、毎日派もしくはうちのようにほぼ毎日派の人間はどうしても雑食系になってしまいます。

理由は簡単で毎日毎日おもしろいネタが転がっていないからです。書き始めはできるだけテーマに絞り込もうと考えていても、毎日の事なのでやはりネタが切れてきます。ネタが切れてくると一番飛びつきやすいのは時事ネタです。たとえば総選挙、阪神優勝なんかは格好のネタになります。今回の総選挙では私も何回か使わせていただきましたし、阪神ネタも定期的に使っています。

またブログには短文派と長文派がいます。毎日、毎日あれだけ良く書けるなと感心する人もいれば、非常にアッサリ数行でまとめている人もいます。もちろんブログの質が長短で決められるわけではありません。長いだけで読むのに眩暈がするものもありますし、短かくても見事に的を射抜いている人もいます。

話が右に左にぶれてしまいましたが、ブログを書く人のもうひとつ秘めたる欲望があります。全員ではもちろんありませんが、「できればより多くの人に読んで欲しい」というものです。うちのブログは当初完全にプライベート版で、読者は本当に限局され、ある意味書く方も気楽でした。事情によりこの「はてなダイアリー」に引っ越してから、主にリンクからですがアクセスする人の概数がわかるようになると「できれば増やしたい」と自然に思うようになってしまいました。

書いているとわかるのですが、テーマによって読む人間の数がかなり変わります。やはり時事ネタが関心を呼びます。そこら辺が煮詰まると時事ネタで世間の関心のネタに沿って書く傾向が著明になります。今年は総選挙と言う大ネタがあり、小泉首相が「これでもか」の演出をしたので、当然これに飛びついて書かれた物が多数出現します。

悪い事とは思いません。国民が総選挙に関心もって悪いはずはありませんし、それについての自分の意見をブログで主張するのも良い事だと思います。ところがここでコメンテーターの意見がやや耳に痛く響きます。

    「ほとんどのブログが自分の意見を書くのではなく、ワイドショーからの意見の受売りになってしまっている」
つまり今回の選挙での小泉戦術である「郵政民営化の是非を問う」、「反対派には刺客を送り込んでも決着をつける」に最後まで躍っていたのがワイドショーであり、このワイドショーの報道にブロガーの多くも踊らされていたという分析です。

先ほどブログにも長文派と短文派があると書きましたが、コメンテーターは「若者は3秒でわかる総選挙」を読みたがると分析しています。短文派のブログにも鋭いものはありますが、一方で完全に意見の受売りとなっている物の方が多いのは残念ながら認めざるを得ません。受売りと言いながら元がプロの書いたものだけに、端切ではありますがよくまとまっており、これだけを読んで投票の意思を固めた人間が若者の1割から2割ぐらいはいても不思議はないとし、それだけの影響があれば今回の自民党大勝の遠因のひとつになっているとしています。

私もブロガーとしてそこまで言われるのは悔しいですが、言われてみれば簡単には反論しにくく、朝から「そうかもしれない」と自問自答を繰り返しています。それでも見方を変えればそれだけブログは世論形成に大きな影響を持っていることだけは確かですので、2年後の参議院選挙に向かって、もうちょっとマシなブログを書ける様に精進しなければと考えています。

ただし2年後もブログが続いているかどうかの方が正直なところ自信がありませんが・・・。