天使のコトリ:あとがき

 スピンオフも外伝の一種ではありますが、今回の外伝はサイド・ストーリー的な色合いを濃くしています。というか、もともとは「天使と女神」を書いている時に、コトリちゃんの人物像を厚くするために書きかけてボツにした部分だからです。

 冒頭から歴女のエピソードあたりまでが元のアイデアなのですが、こんなエピソードを織り込むと長すぎる上に、まとまりが悪くて挫折したってところです。ただアイデア自体は活かしたいの構想があり、本来は第三作にするはずでした。そうしなかったのは、その続きをどうするかの構想がちっとも浮かばなかったからです。ですから先に全体構想が思い浮かんだ完全なスピンオフの「リンドウ先輩」を先に書き、ようやく着手したってところです。

 コトリが不思議な能力を持っているというアイデアは気に入っていたのですが、問題はそれをどう活かしてお話を展開していくかです。ここが本作最大の難関でした。正直なところ、今回は無理とあきらめかけていた時期もあったのですが、なんとか着想を得てゴールまで到着したってところでしょうか。

 突破口になったのはヒロインのシノブです。これも毎度毎度のことですが、当初構想では完全な傍観者としてナレーター的な役割にするつもりだったのですが、それではどうしても話は進まず、広がらず、膨らまずの状態になってしまいました。

 そこで、シノブに事件に関わってもらうことにしたのですが、これが成功で、シノブが関わる事で話が広がってくれました。そしていつものようにヒロインになってしまったというところです。最初からヒロインを決め打ちしていた前作とは違うので、キャラ設定に甘いところは残りましたが、これはこれでお気に入りになっています。

 今回の設定で案外苦労したのは会社です。私は会社勤めをしたことがありませんし、近しい人にも殆どおらず、どうにもイメージがつかめないってところです。肩書も今回初めて調べて、こんな風になってるんだと感心したぐらいです。

 年齢と出世の関係、肩書が持つ社内でのイメージ、さらには肩書の給与なんてのも手探り状態で往生しました。シノブは総務部勤務の設定にしましたが、そもそも総務部ってなにをするところから始まる始末です。ただ、調べると業種と会社によってかなりの差があるようで、かなりの幅をもって書いても必ずしも荒唐無稽にはならないみたいだったので、誤魔化しながら書いています。

 最後に遺憾だったのはファンタジー的要素も盛り込みたかったのですが、どう読んでも不発です。なかなか難しいものです。次回作以降に頑張ってみたい分野です。それと今回も同じ感想ですが、書いてて楽しかったです。さて、次はどうするか、エエ加減新設定で書かないと怒られそうですが、それが出来るかどうかも課題かもしれません。