驚異のEM菌

とりあえず話題のYouTubeです。

これに対するツイッターの反応です。

とにかく1時間弱もある長い長いお話なので、時間とおヒマがある方は是非聞いてみてください。そんな時間はあんまりないでしょうから、お手軽にはツイッターの反応でもどうぞ。いずれにしても「かなり」面白い内容です。比嘉教授の考え方、お人柄がよく滲み出ているように私は感じました。そいでもって、今まであんまり興味がなかったのですが、ちょっとEM菌について調べて見ます。ソースは、ここから主に取ります。後は必要に応じて追加とさせて頂きます。


EM菌とは

とりあえず、

EM™とは、乳酸菌、酵母光合成細菌を主体とし、安全で有用な微生物を共生させた多目的微生物資材です。

あれこれ読む限りでは、EM菌とは単独菌のお話ではなく、一種の細菌叢の概念のようです。でもって細菌叢の働きをシンプルに2つに分けて説明しております。

    抗酸化・・・醗酵
    酸化・・・・・腐敗
ある程度単純化して説明されているかと思うのですが、比嘉教授が見つけ出し培養しているEM菌は、すべてのものを抗酸化に動かす力があるとしているようです。確かに醗酵・腐敗は細菌による作用の裏表ですし、とくに醗酵作用は古来から様々に応用さています。ただコントロールは非常に難しく、人類が有用と思う方向に細菌を作用させるのは限定された条件でのみ活用できているのが現状です。

そういう現状で幅広い分野で人類に有用な方向に作用させる細菌叢を作り出したと言うのなら実に偉大な発明です。比嘉教授が絶対の自信をもって勧めるのは、その点において理解できます。でもって種類があるようで、

種類 内容
EM・1 乳酸菌、酵母光合成細菌などを複合培養したもの。一般的にEMと言われているのはこの商品です。
EM・X 清涼飲料水。EM の作り出す代謝物などを特殊な技法により、抽出、精製したもの
EM・X セラミックス EMX を粘土に混入させ、焼成したもの
EM蘇生海塩 EM技術を用い、抗酸化力を付与した塩


派生商品もあるようで、

種類 内容
米のとぎ汁EM発酵液 汚水として流すことが多い米のとぎ汁をEMで発酵活性化させたものです。米のとぎ汁にEMと糖蜜を混ぜ合わせ、ペットボトルで密封して発酵させます。
EM 活性液 EM と糖蜜を水に希釈し、発酵させたものです。
EM ボカシ EM で米ぬか、油粕などを発酵させたものです。家庭では生ゴミ処理に使用します。
EM 生ゴミ有機肥料(堆肥) 燃えるゴミとして捨てる生ゴミをEM ボカシで発酵させたものです。


お値段は主力商品と思われるEM1でリッターあたり2100円ぐらいのようです。


EM菌の効果

あれこれたくさん書いてあるのですが、少しだけ紹介しておきます。

分野 能書
農業 自然農法や有機農業でもEMは幅広く活用されています。EM中心の安全・安心栽培はEM農法と称され、有機JAS認定を受けているものもたくさんあります。河川:日本には全部で33,678 本の河川が存在しています。汚染が進み、ヘドロや悪臭はもとより、生態系の破壊問題を抱えている河川はいたるところにあります。河川の浄化やヘドロの浚渫費用も莫大なものです。その様な中、EMで河川を浄化し豊かな生態系を取り戻した多数の事例があります。また、多くの自治体では水質汚染源となる家庭から出る米のとぎ汁などにEMを増やし、水質浄化源に変える活動が進められています。
EMによる海の浄化活動が盛んになり、瀬戸内海や有明海で多大な成果を上げています。EMが水中の有機物を発酵分解するため多様なプランクトンが増え、魚介類が急激に増えています。また、養殖などによる汚染対策にも使われています。
水の浄化 産業分野から発生する化学物質の汚染はもとより、各種の有機・無機汚染対策にEM は広く活用されています。また、EM 技術をもとに省エネや空気や水の浄化、機能性材料の開発なども行われており、様々な環境対応が可能となっています。
建築 EM技術を応用した住居が全国に造られています。特にシックハウス症候群化学物質過敏症に多大な成果を上げています。
医療 EMを様々な環境に活用することは結果的に健康な生活を送ることに繋がっています。特にEM・X などを併用し医療費の軽減をめざした活動も進められており期待すべき成果が上がり始めています。


まさに驚異の世界です。


セラミックスの驚異 その1

個人的に一番凄いと感じたのはセラミックスです。こんな商品紹介が行われています。

EMとEM・X GOLDを混合した粘土を高温で焼成したセラックスです。他のEM資材と併用することで、有用微生物の定着を促進したり、抗酸化作用を強化したりする働きがあります。また、建築や工業分野への応用利用も研究されており、当ホームページにて成果を順次掲載していく予定です。EM・Xセラミックスには、用途により様々な形状 (リング・球・パイプ・粉末状など) があります。

セラミックスとは簡単に言うと焼き物の事です。最近では粘土派生製品もセラミックス表現するらしいですが、これは

間違い無く窯業製品です。漠然と高温となっていますが、一般的に
    土器:700〜800℃
    陶器:1100〜1300℃
    磁器:1300℃
具体的な商品を確認すると東北イ−エム流通センターにマルチプレート(直径26cm \5,775)が紹介されており、

EM-Xセラミックスによる耐熱仕様の万能プレートです。電子レンジ・オーブン・直火での調理皿として、さらには果物やサラダの盛皿として幅広い用途にお使いいただけます。

カラーは、こげ茶・白がございます。

まあ土器じゃないでしょうから陶器以上になり、高温とは1100℃以上であると考えられます。


セラミックスの驚異 その2

私の知っている範囲で耐熱性が高いのは芽胞形成細菌です。キリンホールディングス微生物制御に革新!「ナノサーチ技術」で、困難だった芽胞(がほう)形成細菌の耐熱性をすばやく測定に参考資料になるのですが、

グラフに示されているB.stearothermophilusはもっとも耐熱性が高いとされ、高圧滅菌蒸気殺菌の指標菌として使われています。それでも121℃では死滅するようです。ただ世の中にはもっと凄い菌は存在します。wikipediaより、

2009年時点で最も好熱性が強い(高温環境を好む)生物は、ユーリ古細菌に含まれるMethanopyrus kandleri Strain 116である。この生物はオートクレーブ温度を上回る122℃でも増殖することができる。

ただこういう菌は極限環境微生物と呼ばれ、確かに高温・強酸には強いのですが、一方で人類が生息できるような環境ではむしろそれらの微生物にとっては極限環境、つまり棲息には適しないものが多いとなっています。ただなんですがEM菌は1100℃の高熱に耐えるだけでなく、

EMによる海の浄化活動が活発に行われています。有明海の浄化や、瀬戸内海浄化は、EMの培養に海水が使われています。海水でEMを増やした場合も、EMは安定的に増えていることが確認されていますので、海の浄化には有効です。

また、農業用や一般の活性液を製造する場合、自然塩を0.1〜1%添加するとEMの品質が更に安定化します。

でもってEM菌を主に構成するのは乳酸菌、酵母光合成細菌となっていますから、常温から1100℃まで平然と耐えうる細菌叢と言う事になります。寒気が出るぐらい感心した次第です。


七つの封印

これは2009.10.20に窪田光治氏と言う方(私はまったく存じ上げません)が書かれたようです。たぶんEM菌に関する話は地球大変革/EM医学革命で良いかと思われます。リンク先を読んで頂ければわかりますが、EM菌を絶賛されておる内容であるのは確認して頂けるかと思います。

窪田氏がEM菌の研究者なのか、それとも単なる支持者なのかは判然としませんが、かなり比嘉教授の著書なりを読まれてEM菌について詳しいと判断させて頂きます。比嘉教授のお考えとまったく同じかどうかは断定できませんが、比嘉教授の著書なりに基づいて、EM菌を強く支持する立場でかなり近い見解を持たれているとさせて頂きます。

その中に七つの封印から『「蘇る未来」2000年初版 サンマーク出版 比嘉照夫 琉球大学教授 著 副題−−EM技術が21世紀を変える』の「プロローグ−微生物が地球環境を大きくかえている」から直接引用されている部分もあるので参考までに紹介しておきます。

  1.  EMが導き出すシントロピーの世界とはどんなものか。たとえば農業は近い将来、種をまくだけで、あとは何もしないで収穫するという単純作業に変わるでしょう。この有用微生物群、つまりEMを使えば、世界人口が必要とする量の食糧を確保することが十分可能になります。

  2.  そのよい例が朝鮮民主主義人民共和国北朝鮮)です。北朝鮮は一九九〇年代はじめから、長年の化学肥料や農薬の使用過多で土壌が劣悪化して農業が不振となり、九五年以後は極度の食糧不足に陥り、国民が塗炭の苦しみを味わっている国として国際社会では認識されています。たしかにそうなのですが、しかし、それも九八年までの話。九九年の秋には大幅な食糧増産を達成し、この国の食糧不足は一気に解決してしまったのです。

  3.  北朝鮮の農業問題は構造的なもので、いままではそう簡単には解決できないと考えられていました。この北朝鮮の奇跡的な農業の再生に活躍したのがEMです。エネルギー不足のうえ、農薬も化学肥料も農業機械も足りない。ほとんど壊減的だったこの国の農業は、EMを使うようになって三年で完全に回復を果たしたのです。これもくわしくは第2章で述べますが、このことからもEMが食糧問題の解決にいかに大きな力を発揮しているかがおわかりかと思います。

北朝鮮の食糧問題はEM菌によって2000年代の初頭に解決したそうです。現在でも食糧危機のニュースが報じられるのは、援助物資の利権のためであるとされています。そういう経路・経緯で北朝鮮がEM菌に関心を示し、大々的に導入されたかは良くわかりませんが、どうやら比嘉教授は北朝鮮情報にも非常に詳しいようです。


セラミックスの驚異 その3

話をセラミックスに戻します。セラミックスについても窪田氏は詳細に解説してくれているので助かりました。

 この事実を証明するものがあります。EMセラミックスです。EM菌を粘土に混ぜ、700度℃という高温で焼成します。もちろんEM菌は死んでしまいますが、そのセラミックス・瀬戸物はEM菌の持つ性質を引き継ぐ事がハッキリと分かっているからです。これは既に商品化され、土壌改良材として、建築用コンクリートに混ぜたり、浄水器に応用したり、風呂に入れたり、ご飯を炊くときに入れたり、枕に入れたり、いろいろな使い方ができます。

まずセラミックスの話を先に片付けておきます。まず窪田氏は焼成温度を700℃としていますが、これはセラミックス商品のうちパウダーとか、球形とか、遠赤用のものを指しているかと考えます。瀬戸物は磁器であり700℃では焼けません。それはともかく、

    もちろんEM菌は死んでしまいます
どこかに生き残るの話を聞いた事があるのですが、それは私の誤解であったようで、さすがに700℃で乳酸菌や酵母光合成細菌が生き残るとはしていないようです。1200℃ならなおさらになります。ここは非常に常識的なお話になります。ではEM菌が死滅したにも関らず、何故に効果があるかに関心が寄せられる事になります。EM菌は炭や灰としてさえ存在が難しいはずだからです。注目すべき理由は、
    セラミックス・瀬戸物はEM菌の持つ性質を引き継ぐ事がハッキリと分かっているからです
冒頭のYouTubeでも比嘉教授は「ハッキリと分かっている」に類似の発言を幾度も行われていました。セラミックスも同様との事のようです。海とか、川とか、農業とかなら、活きているEM菌の作用の可能性を否定する事は一概には難しく、比嘉教授が「効果がある」との主張をなされたならば、反論は「検証したが効果は無かった」ぐらいの論拠は必要になります。

ただ700℃なり1200℃なりで熱せられ、炭どころか灰さえ残らない状態のセラミックスに活きているEM菌同様の効果が生じるかは、さすがに論拠を聞きたくなります。医療者にとって滅菌したものが働いてもらっては甚だ困る状況になるからです。基本的には他のEM菌の作用と同様に不明のようですが、比嘉教授は次のような仮説を立てておられるそうです。

 教授の波動説とはこういう事です。EM菌が造りだした物質の特性として、EM物質が触れた他の物質にEMの働きが伝染するというものです。原子や分子は沢山の自由電子を伴い、高速で振動しており、同時に磁気的な波動を放射しています。EM物質は、他の原子の波動を整え、その性質をEMが持つ特性に変えていくらしいのです。

チイとばかり難解なんですが、EM菌が持つ原子レベルの振動が他の物質、セラミックスなら粘土に伝わり、これを焼き固めてもセラミックス自体もEM菌同様の働きをすると言う事らしいです。セラミックスでも可能であれば他の分野にも応用範囲が当然のように広がり、EM研究所からですが、

土木建築

 コンクリートの耐久性の向上、融雪性に優れたアスファルト舗装、シックハウス対策などが研究されています。

コンクリートの劣化は酸化により起こりますから、EM菌の抗酸化作用の性質を帯びる事により、耐久性が向上する事になります。アスファルトの「融雪性」については・・・ゴメンナサイ私の手では負えません。ある種の熱を帯びるぐらいしか考えられませんが、これだけでは理解は困難です。でもってなんですが、

    EM物質は、他の原子の波動を整え、その性質をEMが持つ特性に変えていくらしいのです。
あくまでも仮説ですし、窪田氏経由のお話ですが、本当にそんな事がホイホイ起これば現代物理学の根底が覆されそうな気がしてならないところです。それはさておき、この「波動」とか「他の物質への性質転移」はどっかで聞いた事のある理論です。どこであったかどうしても思い出せないのですが、たとえばラジオニクス理論の創始者であるアルバート・エイブラムス (Albert Abrams, 1863年 - 1924年)はwikipediaより、

「すべてのものは未知の波動 (Vibration) を発している。この波動は生体に影響を及ぼし機器により測定可能であり、且つ同調・変調することで逆にすべてのものに対して影響を与えることができる。」

そこはかとなく似ています。ラジオニクス理論に基づく治療はFDAにより60年以上前に否定されましたが、これの系譜を引く現代科学とはまったく別の科学体系は今なお活発に活動しています。これの系譜につながるものなのでしょうか。なんとなく類似性を感じてしまうのが本当に不可解です。とりあえずEM菌と似ていると私は思う「どうしても思い出せないある療法」との大きな違いは、振ったりとか、希釈したりとかの作業は不要そうと言うところです。


科学論争の一般論

EM菌とも比嘉教授ともまったく関係ない一般論です。


科学者は新たな事実を発見するとき、多くは現象としての結果から入ります。理屈抜きでそういう現象が事実として確実に生じているです。事実を発見したら、その現象が確実に起こっているものなのか、それとも単なる偶然であるかの検証が行われます。確実に現象が存在すると確信し、検証データがそろえば学会なりに発表になります。

その後が結構重要で、検証された事実が確からしいと認められたら、さらに追試験が行なわれます。事実とされる現象とは普遍的でなければならず、誰が行っても指定された条件で再現される必要があると言う事です。大きな発見ではこれを「追検証した」と言うだけで、しばしば立派な業績になります。それぐらい発見者以外による追検証は大きな意味を持ちます。

ここまでが現象が事実であるという確認作業であり、次は事実として確認された現象の理論的説明の追及が繰り広げられるなります。ポイントは何かですが、新たな現象を広く認めてもらうためには、発見者だけの主張だけでは時に不十分であると言う事です。追試験が中立的な権威ある第三者の科学機関で行われ確認される事です。大きな発見ほどその比重は高くなります。

何故に第三者の検証が必要かと言えば、発見者はしばしば不都合な事実を見逃す事があるからです。発見者は成功例を強く主張しますが、これを凌駕する失敗例があり、発見者が新たな現象と信じていたものが、単なる偶然に過ぎなかった事も科学の歴史には数限りなくあります。喩えとして相応しくないかもしれませんが、ニュートリノが光速より速い話なんてのもそうかもしれません。

これが科学論争です。すべては検証された事実の真実性の追及のために行われます。検証の結果の判断は正しいのか、手法に問題は無いのか、本当に再現性があるのかについて激しく論じられるわけです。論争は容赦ないものが行われます。真っ向否定の反論を辛辣極まる表現で行われるなんて日常茶飯事です。そういう反論を黙らせるのは、検証された文句のつけ様のない事実の提示です。


それと科学論争で第3者の検証が重要としましたが、検証するのはあくまでも科学者であり、科学研究機関です。政治家が認めたとか、新聞にも掲載されたなんてのは検証の論拠として何の意味も持ちません。科学論争において真顔でもし主張したら、頭の中を完全に疑われます。ましてや真実の有無を司法判断に委ねるなんて狂気の沙汰と言う事です。

ここでインチキ科学を商売のタネにしておられる方がおられます。こういう方々は科学論争を回避されます。回避した上で政治家とのつながりを強調されたり、有名人も使っているを盛んにPRされます。根拠は「摩訶不思議」です。とにかく「オレが事実と言っている」です。そして主張を妨害するものには司法闘争をごく普通に選択されます。

これはインチキであっても「科学」がついているから誤解を招くだけで、本質としては商売に対する営業妨害への対抗策に過ぎ無いという事です。たとえば不味い飲食店を徹底的にこき下ろしたら営業妨害として訴えられるのと同じレベルの問題です。


言うまでもないですが、比嘉教授もEM菌もインチキ科学ともそれに派生する商売ともまったく無縁ののものと、一片の疑いもなく固く固く信じています。現在のところ反論者を黙らせるような事実を提供するに至っていないと私は存じますが、近い将来、確固たる検証に基づいた事実を「きっと」発表される準備を着々と進められていると見ています。

もちろん科学者として大きな発見に対しては、根掘り葉掘りの辛辣な反論があるのは科学論争の常識である事も、常識以前のお話として心得ておられるのは付け加えるまでもない事と思っております。YouTubeに収められているような発言も、内輪の支持者に対するリップサービス、話を面白くするためだけの一種のジョークないしは、そういう話法を用いる方であるに過ぎないと考えています。

EM菌の話はこの程度で十分かと思います。個人的にはもうあんまりやりたくない話題です。そうそうコメントされる時に今回は注意があります。せめて冒頭部のツイッター(togetter)は目を通されてからにされるようにアドバイスさせて頂きます。読まずにされたコメントが、どういう結果を招こうともすべて自己責任とさせて頂きます。