余計な心配

TAKE ACTION FOR JAPAN エモトピースプロジェクトなるブログがあります。ブログ主のプロフィールがあるのですが、

水の伝道師・江本勝が、東日本大震災の被災された方々に世界中から集まった愛と感謝の思いを形にしてお届けする活動の日々のレポート。

江本勝氏をwikipediaから紹介しておくと、

江本 勝(えもと まさる、1943年7月22日- )は、横浜市出身。I.H.M.総合研究所所長、株式会社I.H.M.代表取締役、I.H.M.国際波動友の会代表。 『水からの伝言』の著者として有名。

wikipediaの履歴も紹介しておけば、

横浜市立大学文理学部国際関係論学科卒。中部読売新聞社(現読売新聞中部支社)勤務などを経て1986年に株式会社I.H.M.を設立。アメリカで鳴磁場分析器や磁場共鳴分析装置といった波動測定器に出会い、そこから彼の現在の水の研究が始まった。[1]

非認定大学のオープン・インターナショナル・ユニバーシティより1991年に代替医療の“博士号”を受けている。

水伝の著者であるぐらいに理解されても差し支えありません。もちろん著者ですから自分の理論を広く広めようとして活動される事自体は、ここでは問題とはしません。その江本氏の5/27付エントリーに『水は答えを知っている』が入試問題に採用されましたがあります。まず冒頭部を引用します。

 『水は答えを知っている』 (江本勝著)(サンマーク出版刊)の文章が本年度の入試問題(国語)に使用されました。

 採用して頂いた学校は、村田学園小石川女子中学校です。
 HPを拝見しましたところ、時代の最先端をいく理念の元に教育を行っていらっしゃるようです。教育理念を一部引用させて頂きます。

読みながら楽しかったのは江本氏が教育理念を引用された部分です。もちろん江本氏は自分に良い意味に引用されているのですが、

■不思議だと思う心を、大切に育み伸ばす中学校です

 本校が目指す「サイエンスレディ」は、ただ理科や数学ができる女性という意味ではありません。文系・理系といった旧来の概念をこえた、論理的思考力やコミュニケーション力を養い、自ら判断して未来を切り拓く力を備えた女性を私たちは育てていきたいと考えています(亀田光昭校長先生のお言葉)。

■論理的思考のできる女性

 生徒たちの学ぶ姿勢が「与えられる学習」から「獲得するための学習」へと変化することによって、「サイエンスレディ(論理的な思考を持つ女性)」に成長していく。

江本氏がこの部分を引用したココロを推測してみると、「不思議だと思う心」を「育み伸ばす」のに水伝は格好の題材になっているではないかと思われます。ただこの部分だけでは、この学校が目指す論理的思考能力がどんなものか判りづらいように感じます。そこで他のところを引用してみます。この学校の目標らしい「サイエンスレディ」についてですが、

「サイエンスレディ」とは「論理的思考が出来る女性」。現代社会で求められる論理的思考の基礎は、身の回りの「なぜ」「どうして」を追及する「理科」と、整然とした思考体系と柔軟な発想力が必要な「数学」を中心に養います。

中学校の学習方針として、

論理的にものを考える力を、「理科」や「数学」でトレーニングします。そのために「理科」「数学」の学習時間を多くしています。「理科」は実験と体験を重視。「サイエンスフィールドトリップ」や「宿泊体験学習」における直接体験を大切にします。「数学」は、定期試験において現在の学習分野の試験と、これまでの全範囲から出題する試験を別々に実施。「積み重ね」を大切にして実力アップを図ります。

かなり理数系を重視した教育方針である事がわかります。校長のお言葉は、理数系で論理的思考を養うが、養われた論理的思考は文系にも応用できるものであると受け取れない事もありません。それにしても数学の定期試験はかなり大変そうです。


さて注目すべきなのは、江本氏のブログに書かれてあった

 本書に女性のジョアン・デイヴィスさん(元チューリッヒ工科大学教授)の記述があり、この部分が試験に引用されています。
 試験問題を作成された先生のお話では、「将来的に大学教授になる位の夢を持って欲しい」という気持ちを込めて本書の文章を引用されたそうです。

この部分が学校のHPには見当らなかったのですが、「国語」の入試問題を作成するに当たり、担当教諭が著者である江本氏に了解を得たときのものと推測します。気になるのはジョアン・デイヴィス氏の記述の内容です。探してみたのですが、それらしいものがchichirou技術メモにありました。

 スイスで30年間、川の水の研究をしてこられた元チューリッヒ工科大学ジョアン・デイヴィスさんは、このように話してくれました。

 「ともかく、水を尊敬するという心を取り戻すことが大切なのです。近代文化において私たちは、水に対して敬意を払うという態度がとぼしくなっています。古代ギリシャ文明では、人々はとても水を尊敬していました。水を守るために、さまざまなギリシャ神話がつくられたのです。そこに科学がやってきました。神話は科学的でないという理由だけで、拒絶されてしまいました。水はただの物質とみなされ、テクノロジーで浄化すればよい、とされてしまったのです。「浄化された水は、清らかな水とは違う」という言葉があります。科学施設などを通ってきた水は、美しい結晶を見せてくれる水とは違うのです。水にとって必要なのは、浄化ではなく尊敬なのです。」

確かにこの程度の内容なら「国語」の入試問題には、なんとか適当かもしれません。ただ国語的にはともかく、この学校の方針としての理数系の論理的思考の養成については、どちらかと言うとアンチテーゼのような気がしないでもありません。とくに中学の入試問題レベルではそう感じます。

入試問題を作成された国語教諭の今後については老婆心ながら心配しておきます。公立と違い私学は教諭の評価は非常にシビアと聞いた事があります。優秀な教諭は厚遇される一方で、質が悪いとか、校風に反する、教育方針が合わないと判断されると容易にクビになると言う事です。この学校も、これから理数系重視の進学校への道を目指されるようですから、さ〜てどうなるのでしょうか。

もっとも実際の問題設定がどうであったとか、最終的に本当に入試問題に使われたかは確認する術がございません。これも良く分からないのですが、問題文に引用したら、実際に使われた問題も著者に知らされるのでしょうか。そういう経験があろうはずもないので、なんとも言えない所です。

以上、余計な心配でした。