驚異のレメディ・メーカー

私も申し訳ないと思っていますし、皆様も食傷気味なのは十分承知しているつもりです。しかし残暑がしつこい様にホメパチ問題も次から次へとネタが噴出するのでお付き合い下さい。土曜日の沖縄のホメパチ装置からの芋づる の芋づるに引っ付いてきたのがレメディ・メーカー(ホメパチ砂糖粒作成器)です。

これは、うろうろドクター様から提供頂いた情報ですが、レメディ・メーカー(ホメパチ砂糖粒作成器)は通販で市販されています。これ1社かどうかなんて調べる気にもならないですがスーリス社と言うところから販売されています。これも土曜日と重複しますがスーリス社製品のレメディー・メーカーの機能と働きがあったので紹介しておきます。

レメディー・メーカー機器は、(技術者で、ラジオニクス医師)マルコム・レイ氏が1970年代に最初の商業用モデルを作製して以来、35年間利用されつづけています。これらの機器は世界中の多くのホメオパスの方々に使用されています。

レメディー作りの基本的原理は、全ての物質がそれぞれ独自のエネルギーのパターンを持つという知識を基にしています。これをホメオパシーのレメディー作りに応用し、粉砕と震とうにより薬剤を作ります。(アボガドロの法則では、6C希釈を超えたら、その物質の分子はもはや存在しません。)

エネルギーのパターンは、独自の数字の配列、または「コード」として表されます。レメディーメーカー使用の際、このコードが機器に情報として読み込まれ、その情報に完全に一致したエネルギーのパターンが(例えば、乳糖や水の)媒体物に組み込まれます。

スーリス社のレメディー・メーカーで使用されている「コード」はベース10です。コードのリストは、新しいレメディーのコードが出来次第更新されます。一般的なフラワーエッセンス、身体構造、色、元素、貴石、ビタミン、鉱物、一般の西洋医学薬剤などの「コード」もあります。

埋め込みプロセスにデジタル技術を使用したことにより、アナログ技術の問題点であった、背景に「ホワイトノイズ」が現れることがなくなり、スーリス機器で作るレメディーには完全に純粋なエネルギーパターンのみが記録されています。

スーリス社のレメディー・メーカーには、現存するレメディーや、物質をコピーする機能があります。これらのレメディー・メーカーは物質のエネルギーパターンを読み取り、それをコピーします。また、ユーザーの方々は必要とするポーテンシーを選ぶことができます。複合レメディーは、必要とする個々のレメディーの詳細を記憶装置に蓄積し、それを最終的に錠剤にする際に同等の割合で混ぜ合わせて作ります。

とりあえず冒頭からですが、

    (技術者で、ラジオニクス医師)マルコム・レイ氏
初っ端からけつまづくのですが、まず「ラジオニクス」が登場します。ラジオニクスとはなんじゃらほいになるのですが、100年ほど前にアルバート・エイブラムス氏により提唱されたものですが、現在の評価はwikipediaが簡潔です。

「すべてのものは未知の波動 (Vibration) を発している。この波動は生体に影響を及ぼし機器により測定可能であり、且つ同調・変調することで逆にすべてのものに対して影響を与えることができる。」これが、100年近く前に考え出されたラジオニクスの主張である。もちろん、現在のいかなる科学でも波動の存在を証明できておらず、疑似科学である。

今でもラジオニクスは詐欺商法としてよく用いられるようです。つうのは提唱したアルバート・エイブラムス氏というのが、これもwikipediaからですが、

ラジオニクスを最初に考案したアルバート・エイブラムス (Albert Abrams, 1863年 - 1924年) はサンフランシスコで生まれ、ドイツのハイデルベルク大学医学部を首席で卒業した後、スタンフォード大学医学部で病理学を教え、医学科主任となり病理学の博士号を受けた。

当時は結構高名な医師(著名大学の教授)であったらしく、さらに提唱された当時は「真っ当」な医師でも支持するものが少なくなかったようです。そのために結果として否定された事実を伏せて利用されたり、否定された事実を指摘されても「当時は・・・」「今でも・・・」「陰謀が・・・」的な粉飾を施して詐欺商法の根本原理に利用されやすい性質があるようです。常套手段的には、

    現在の最新技術でついに証明され、この商品に応用された
少しでも冷静に考えれば、波動理論が証明なんかされたら大騒ぎになるはずで、なおかつ聞いたこともないようなインチキ・メーカーしか商品化しないはずもありません。マイナス・イオン程度でもワンサカ商品が並んでいるぐらいですからね。もっとも怪しげな権威で信憑性を持たせ、これで客を信用させて売りさばくのが詐欺の本質ですから、その場では冷静な判断を下せないのが人間のサガかもしれません。


どうやらなんですがラジオニクスとホメパチが1970年代にコラボレーションを行なったようです。こういうのを類は友を呼ぶと言えば良いかもしれません。100年前に提唱されたラジオニクスによる波動理論は否定されていますが、ホメパチはこれを完全に受け入れています。つうかラジオニクスが提唱された当時から親和性があったようで、これもwikipediaからですが、

エイブラムスは、癌組織サンプルの様な病理学的サンプルが発する波動が電気と同様に導線を伝わると言う事を発見した。この現象を「エイブラムスの電子反応 (Electoronic Reaction of Abrams, ERA)」と名づけた。ERAは病気の治療をホメオパシーと同様の考え方で行う。

解釈として1970年代に装置として結実させたのがマルコム・レイ氏とした方が良さそうです。これも昨日もご紹介したNATROM先生のホメオパシージャパンが販売する波動機器 クォンタム・ゼイロイドからなんですが、

弱冠18歳でアポロ13号帰還の立役者となった天才科学者ビルネルソン(ウィリアムネルソン)博士(由井学長恩師)開発のクォンタムゼイロイドは、他に類をみない世界最先端のエネルギー測定修正システムです。療法関連において世界最大のソフトウェア。 Quantum Xrroid(クォンタム・ゼイロイド/略称 QX)とは、ホメオパシー理論をベースに開発された、生体エネルギーの測定&修正システムです。9000以上の様々な問題(心、感情、精神、遺伝子、臓器、病原体、等々)に対応するレメディーへ被験者がどのような生理的反応を示すかを電気的反応パターンによって測定します。抵抗だけを測定する従来の波動機器とは全くことなり、QXは3次元的な電気的反応をみるこれまでにないシステムとなっています。また、3進法プログラムにより、潜在意識をインターフェイスする世界に類をみない波動機器です。

ビルネルソンは重罪詐欺で起訴され国外逃亡中である人物であり、アポロ13号云々のお話も詐欺師の口上である事は土曜日にやったので置いておくとして、御自慢のクォンタム・ゼイロイドの大元がラジオニクスの波動理論である事は誰でも読み取れるかと思います。ここでの謳い文句も「3次元的電気反応」とか「3進法プログラム」と言った、素人なら「訳はわからないが、とにかく凄そう」の詐欺師的技巧が散りばめられています。


そういうラジオニクスが現代の日本(欧米も似たようなものらしいそうですが、よく知りません)のホメパチ協会の根本原理に組み込まれているのは、ホメパチ協会の総帥のお言葉にも十分すぎるほど窺えます。今日は長くなるので会長のお言葉の例示はしませんが、端的には重罪詐欺師ビルネルソンに対し、ホメパチ協会は、

    天才科学者ビルネルソン(ウィリアムネルソン)博士(由井学長恩師)
こう表記しています。「恩師」とまで表現するのですから、後は推して知るべしでしょう。どういう意味の恩師かまでは、これも知る由もありません。ちなみにこのクォンタム・ゼイロイドは日本ではホメパチ協会系の会社が、
    ¥3307500(税込)
この価格で売りさばいています。



クォンタム・ゼイロイドで寄り道してしまいしたが、もう少し寄り道します。現代のホメパチも大きく分けて二流派あるそうです。これは「いまだ様」からの情報に基きますが、

  • クラシカル・ホメオパシー(classical homeopathy)


      創始者ハーネマンのオリジナルにそったホメパチで、ハーネマンのホメパチ3原則に忠実であろうとするもののようです。ちなみに3原則とは、

      1. 同種治療の法則
      2. 単一レメディの法則
      3. 最小処方の法則


  • クリニカル・ホメオパシー(clinical homeopathy)


      ハーネマンの3原則のうち「単一レメディの法則」を放棄したものがこちらになるそうです。何故に「単一レメディの法則」を放棄したら、そういう進歩と言うか変質が起こるのか理解できないのですが、「単一レメディの法則」がなくなることにより、

      1. レメディの処方を書いた紙をポケットにいれるだけで効く
      2. レメディの処方を書いた紙の上に置いた水を飲めば効く
      3. ラジオニクス(いわゆる「波動」)でレメディを作成/代用出来る
ちなみにクラシカルとクリニカルの両派はとってもお仲がお悪いそうです。両派のいがいみあいはどうでも良いのですが、ホメパチ協会はクリニカル派です。クリニカル派がラジオニクスを取りいれた成果がホメパチ砂糖粒作成器(レメディ・メーカー)です。ホメパチ砂糖粒とラジオニクスがどう融合したかを考えていきます。

創始者ハーネマンは原液を希釈し振る事により、なんらかの有効成分が希釈液に都合よく乗り移ると言うか、転写されると考えてはいたようです。ハーネマンがエネルギー・パターンなる概念を提唱したかどうかまで私は存じませんが、とにかくこれを具体的に裏付けるとホメパチ信者たちが飛びついたのがラジオニクスである事だけは間違いありません。

ここは単純で良いと思いますので、

    ラジオニクスの波動理論 = ホメパチのエネルギー・パターン(ホメパチ・エネルギー)
こう教典化されたわけです。ハーネマンの方法はホメパチ・エネルギーを希釈と振る事によって水に転写していましたが、ラジオニクスでホメパチ・エネルギーが解析できる事が教典化(証明ではない)されると、非常に簡単にホメパチ砂糖粒(レメディ)が作成できることになります。ホメパチ医学にとって重要なものは、ホメパチ・エネルギーが転写された療剤であり、原液はゼロでもなんの支障も無いと言うか、本来不要のものです。

どういう理論になるかと言えば、

    レメディー作りの基本的原理は、全ての物質がそれぞれ独自のエネルギーのパターンを持つという知識を基にしています
ラジオニクスにより解析できた物質のホメパチ・エネルギーさえ療剤に転写できれば、元の原液はそもそも不要になります。原液が不要になった代わりに、
    エネルギーのパターンは、独自の数字の配列、または「コード」として表されます。
レメディ・メーカーの基本原理は、既に解析されたホメパチ・エネルギーをラジオニクス理論によって機械的に作成し、機械的に作成したホメパチ・エネルギーを物質に転写する機械と言う事になります。注目しておきたいのは、
    レメディーメーカー使用の際、このコードが機器に情報として読み込まれ、その情報に完全に一致したエネルギーのパターンが(例えば、乳糖や水の)媒体物に組み込まれます。
これまで漠然とホメパチは水に物質のホメパチ・エネルギーを記憶させ、その水を砂糖粒等に染み込ませる事によって「効果がある」みたいな手法を取っていると考えていましたが、ラジオニクスを取り入れることによって、水以外の媒体にも転写可能としています。これでやっと9/2付朝日新聞の記事のこの部分が理解出来ました。

  • 保健室に特別の装置を持ち込み、砂糖玉を加工していたという
  • 砂糖玉をレメディーに変換するという装置

ハーネマン・オリジナルなら原液も必要ですし、希釈・振盪作業も必要な上、最終的にはスポイトなりで砂糖粒に染み込ませる必要がありました。それだけの作業をポータブルの装置でやるのは大変だろうと思っていましたが、ラジオニクスを取り入れたクリニカル・ホメパチの装置なら、

  1. 砂糖粒を装置にセッティングする
  2. 必要な物質のコードを入力する
  3. 所定の作業を装置が終ればホメパチ砂糖粒に変換
つまり装置と砂糖粒さえあれば、どんなレメディでも「レンジでチン」で作り出せるわけです。私には才能が無いので、どなたかAAを作ってください。お願いします。それとホメパチ・エネルギーの転写対象が水に限定されなければ、装置の大きさにより「なんでも」ホメパチ・エネルギーを注入できる事になります。石鹸でも、タオルでも、安眠枕でも、紅茶でも、歯ブラシでも、応用範囲は無限です。

取り入れるものも溶解作業が不要になった分だけ無限とも言えますから、そのうち人体をそのまま収容できるような装置が開発されて、ホメパチ全身治療器が出てきても何の不思議もありません。いや、既に存在しているかもしれません。診断はホメパチ波動(by ラジオニクス)で行い、それに適合したホメパチ・エネルギーが注入される装置です。PC技術と融合してフル・オートマテックなんて代物です。もちろんプログラムは3進法で組まれています。


さらにこの装置の驚異的なところは、

    スーリス社のレメディー・メーカーには、現存するレメディーや、物質をコピーする機能があります
どうもなんですが、ラジオニクスによるホメパチ・エネルギーの解析技術は非常に進歩したようで、この程度のポータブル装置でお手軽に出来るようになったようです。素人考えでは、解析は本部の「大研究所」で握り締めた方が効果的と思うのですが、たぶんホメパチ・エネルギーの使用法を学習(洗脳?)させる方が、判断として効率的と考えているようです。

ところでなんですが、驚異のラジオニクス理論応用のホメパチ装置ですが、電力と言うかランニングコストはリーズナブルです。

電源:9ボルト電池、どこの国でも使用可能、通常の使用で約1年間使用可能

ホメパチ・エネルギーの注入に必要な電力はこの程度で必要にして十分なようです。



ただ驚異の装置とそれを支える驚異の理論にも弱点はあるような気がします。これはJSJ様がウンザリしながら指摘している点ですが、

件の機械の謳い文句が本当なら、ラベルなしのレメディもしくは希釈液が何のレメディなのか判定することが可能、ということですよね。

こういう素朴な疑問を生じさせない様にホメパチ・アカデミーが存在するのでしょうし、ホメパチ・アカデミーの中では、きっと「もちろん可能」のホメパチ雑誌に掲載された実証論文を学んでいるとも考えられます。たとえ実証試験を行なっても、「ホメパチ潰しのインチキ試験だ」「陰謀だ」「当方で追試験したら可能であると立証された」の反論が麗々しく行なわれるだけだと考えられます。

それにしても真面目に反論と言うか、問題点を指摘するには、ホメパチ装置は余りにもぶっ飛び過ぎています。ホメパチ・ワールドに少しは慣れたつもりでしたが、その認識がいかに甘いものなのかを思い知らされた気分です。本当に200年の伝統と、それに育まれた理論(詭弁)の奥深さは怖ろしいほどです。