口蹄疫についての知識は十分ではありません。どこかに信用の置ける情報はないかと首を捻っていたら、遠目の親戚ですが北海道で獣医をやっている者がいるのを思い出しました。長いこと会っていないので、連絡先を親戚伝いに見つけ出すのも一苦労でしたが、週末に連絡を取ることが出来ました。親戚の獣医は獣医でも大型動物を専門とし、北海道だったか農協だったかの獣医をしているので、信頼の置ける情報と私は判断しています。
いろいろ聞いたのですが私自身が素人なので、なかなか的確に情報収集が出来たとは言い難い面があるのですが、とりあえず親戚の獣医曰く、
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現時点で信頼の置ける情報は農水省のHPのみ
農水省の口蹄疫に関する情報は間違いない公式データなのですが、とりあえず現時点で「疑い事例」の累積数がどうなっているかをグラフに示してみます。
他の報告と異なり、ここでは症状を疑って検査をしたわけではありません。立入検査時には、
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口蹄疫を疑う臨床症状は認められませんでした
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農場主からの過去の臨床症状の聞き取り
- 4月22日の立入検査時に採取された検体
- 3月31日に別の検査で採取されていた検体
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3月31日採取の1頭で陽性を確認
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牛の口蹄疫は治るよ♪
言われてみれば疫学的にはそうでなければならないはずで、感染力と毒性(死亡率)は通常反比例します。毒性は弱いが感染力が強いか、感染力は強いが毒性は弱いかのどちらかであり、感染力も強いが毒性も強いでは生き残れません。例外もありますが、常識的にはその範疇に収まることが通常は多いですし、口蹄疫もそうであっても不思議ありません。
さてそうなると次の関心は治った牛がどうなるかです。これがはっきりわからないそうです。症状として治ってもキャリアとして感染をばら撒くのか、それともある時期から感染しなくなるのかはよくわからないとしていました。理由は単純ですべて殺処分されるので追跡調査のデータがないそうです。同様により重症化しそうな豚になると、治るかどうかもよく判らないそうです。これもすべて殺処分されるからです。
ただ6例目のケースは示唆的です。3/31時点で口蹄疫であったのは証明されていますが、立入検査のあった4/22時点では、他の牛もさらには豚にも感染症状は無かったと考えられます。潜伏期間は1〜2週間だそうですから、どうも感染は牧場内で広がらなかったと考えられます。仮に広がったとしても治ってしまったと考えられそうです。
だからと言って口蹄疫に関する取扱いが変わるわけではもちろんありませんが、個人的に「驚いた」ぐらいで提供しておきます。
もう一つはこれも6例目の報告にのみ見られる個所ですが、
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飼料会社が共通である疫学関連農場
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中国わら原因説で動いた跡
先般、宮崎県児湯(こゆ)郡都農(つの)町で発生した口蹄疫(1例目・O型)について、(独)農研機構動物衛生研究所が実施したウイルス遺伝子の解析データを同研究所及び英国家畜衛生研究所(英国、パーブライト(注))が分析しました。
この結果、当該ウイルスがアジア地域で確認されている口蹄疫ウイルスと近縁のウイルス(O/JPN/2010)であることが確認されました。
遺伝子解析で97%ぐらい一致したそうですが、現在のところ中国わら説であるかどうかは判断できないそうです。あまりにも感染が拡散しすぎて、疫学的調査が追いついていないらしいと言う事です。初期に飼料会社ルートで疫学関連農場を指定したようですが、その調査結果とかは農水省のHPからは拾えません。そういう調査方針・防疫方針が初期にあった事だけが断片的に窺えるだけです。
ついでなんですが、4/28付宮崎県における口蹄疫の疑い事例の8例目、9例目及び10例目の確認並びに第2回口蹄疫防疫対策本部の開催についても少し注意を引きます。
今回の発生を受け、直ちに第2回口蹄疫防疫対策本部(本部長:赤松農林水産大臣)を開催し、隣接県全域での全額国庫負担による消毒薬散布、宮崎県における迅速な殺処分等の防疫措置を支援する獣医師などの増員等を決定しました。
消毒薬の供給状況は種々の情報が入り乱れて確認しようが無い面があるのですが、このプレスリリースでは
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隣接県全域での全額国庫負担による消毒薬散布
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宮崎県全域を対象とした全額国庫負担による消毒薬の散布
赤松農相は、国などから応援に来ている獣医師を、現在の50人から100人に増やすことに加え、九州農政局からの応援を10人から100人に増やすことを明言。
どうも4/28付では50人の増員であり、今は100人のようです。5/16付宮崎県への人的支援の状況についてで確認すると、「殺処分等の防疫措置」に従事されている人数がそれに当たると考えられ、
- 農林水産省、動物衛生研究所、家畜改良センター、農林水産消費安全技術センターから182人
- 都道府県から64人
- 宮崎以外の畜産団体から33人
これは赤松大臣への批判ではなく、5/10の知事との会談時に明言していた獣医師の増員がどこに反映されているのか少々わかりにくくなっています。5/10時点では応援が50人で、その時点で100人にするとしていましたが、5/16時点にはさらに279人にまで増えたのでしょうか。そうであればさすがの指導力ですが、情報がこれだけしかありませんし、現在本当はどうなっているかもよく判らないそうです。
それでもってもともと宮崎にどれぐらいの獣医師がおられたかですが、平成20年12月31日時点の農水省データでは、
- 国家公務員 0人
- 都道府県職員:農林畜産64人、公衆衛生133人
- 市町村職員:農林畜産3人、公衆衛生3人、その他1人
- 民間団体職員:農業協同組合1人、農業共済団体117人、会社29人
- 独立行政法人24人
これもついでですから、これも個人的に疑問だったのですが5/10の赤松大臣が知事と会見した時に打ち出された「全額補償」です。天漢日乗様のところに転載されているNHK宮崎記事を引用しますが、
家畜を処分された農家に対しては損失額の5分の4を国が補償して、残る5分の1は農家が任意で加入している農業共済で補償されます。しかし農業共済に加入していない畜産農家もあることや、加入していても評価額が低いケースがあり宮崎県は、国に支援を求めていました。
これについて赤松農林水産大臣は、「農業共済でも補償されないケースについてはいったん県が手当をてすればその分を国が補填できるようにしたい」と述べ畜産農家の損失について全額補償する考えを示しました。
これに対し畜産農家の評価が低い事を天漢日乗様も伝えていますが、何故低いのかの理由がよく判りませんでした。これについても親戚の獣医は素人の私にもわかりやすい様に説明して頂きました。記事をよく読んで欲しいのですが、
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残る5分の1は農家が任意で加入している農業共済で補償されます
宮崎牛の市場価格は値下がり気味で100万円は行かないだろうと言っていましたが、仮に100万円とすれば、補償額は50万円程度になり、そのうち40万円はもともと国が補償しますから残り10万円程度の国の補償の増額に過ぎないと言う事です。これも、もともと農業共済で満額保証を掛けていた農家には関係の薄い話で、救済策といわれても反応が悪いのは当然だろうとしていました。
こういう補償では大規模なところほど打撃が大きく、倒産も増えるだろうとの懸念をされていました。おそらく宮崎の畜産農家が求めている補償は経営存続のために市場評価額に近い補償を期待していたにも関らず、鳴り物入りで出された補償がこの程度であったので、失望感が広まったんじゃないかの観測をされていました。