桜祭りだ♪

aqua2020様から、

昨日、日本製薬団体連合会に毎日の配布文書をおねがいしたところ、ただいま、FAXで、お送り頂きました。

こういうコメントを頂いてましたので、どこかから出ると思っていましたが、天漢日乗様のところに出てきました。謹んで全文引用させて頂きます。

日本製薬団体連合会評議員各位
2010年3月17日
毎日新聞社長・朝比奈 豊

 毎日新聞の医療報道について

 日本製薬団体連合会評議員各位におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。このたびは、毎日新聞の医療に対する報道についてご理解いただきたく、この文書をお配りしました次第です。

 毎日新聞はかねてから医療報道に力を入れており、日々起きているニュースだけでなく、「医療面」「健康面」といった常設の専門紙面を設け、多面的な報道を展開しています。また、月刊の医学総合誌MMJ(The Mainichi Medical Journal)」も発行し、世界の最新医療・医学情報を届けるとともに、現場の医師や看護師らを応援する連載なども行っています。

 こうした中で2006年8月、奈良県で意識不明になった妊婦を転送する病院が見つからず、大阪府の病院で死亡するという事故が起きました。毎日新聞はこの際、産科救急の態勢不備などについて報道するとともに、周産期医療の現状と課題を問う特集記事なども掲載したところ、一部医師の間で「毎日新聞の報道が医療を崩壊させた」との批判が起きました。これにより、製薬会社から毎日新聞への広告が止まる事態になりました。

 これを受けて毎日新聞は医療態勢が崩壊していた現実を報道したのであって、報道が崩壊させたわけではないと説明する一方で、医療報道をさらに充実させ、毎日新聞の医療に向けた姿勢をより鮮明にするよう心がけてきました。

 その大きな柱は07年1月以降9部にわたって連載してきた「医療クライシス」です。この連載企画では、医師不足やそれを生み出した医療費抑制政策の問題点、医療現場の危機的状況を伝え、その改善策の提案などを行ってきました。「医療崩壊」とも称される問題を新聞として本格的に取り上げたのは初めてのことでした。

 さらに、平均的な医師でさえも過労死基準を越える残業をしている厳しい実態や、激務に見合わない勤務医の収入、地方の医師不足といった、医療現場の苦境も報告しました。

 国は当初「医師不足の原因は地域間、診療科間の偏在で、絶対数は足りている」との姿勢で、医療費抑制の方針も維持しました。しかし、毎日新聞はこうした国の認識に基づく対策を検証するシリーズも掲載し、その不充分さを指摘した結果、国は「医師は不足している」と認めるに至り、医療費抑制も見直されることになりました。

 07年4月に新設した医療面(毎週水曜日朝刊)は、間もなく4年目を迎えます。読者の関心の高い身近な病気の治療法などを詳しく解説しています。この面では、国民病であるがんへの取り組みが注目されており、東京大付属病院の中川憲一准教授が分かりやすくつづったコラム「Dr.中川のがんを知る」「Dr.中川のがんから死生をみつめる」は好評をいただいています。

 健康面(毎週金曜日朝刊)でも、精神科医春日武彦さんが「うつ」など精神疾患について独自の視点で語るコラム「春日武彦の心察室」や、高齢者の転倒への予防策を紹介する武藤芳照・東京大教授のコラム「転ばぬ先の知恵」を隔週で掲載しています。

 医療報道をめぐっては、医療事故や医療過誤訴訟などで、患者側に偏った姿勢が目立ち、医師側の萎縮につながるという批判が、毎日新聞に限らず、各報道機関に寄せられております。この点に関して毎日新聞は、記事の公平さを重視して、医療の現場が直面する問題を正面から継続的に取り上げていき、日本の医療再生に向けて積極的な役割を果たして行くことで、理解を得られると考えています。毎日新聞の記事を識者らに評価していただく「新聞時評」(07年3月20日)で、大阪国際大教授の長沢彰彦氏が「医療ミスの経緯に視点を移し、勤務医の目線に視座を移そうという意志が感じられる」と評しています。

 また、先ほども触れましたが、現場の取材やさまざまなデータから、日本の医療費や医師数は先進国の中では最低であり、国の低医療費と医師数抑制策が現在の状況の原因であることを報じたことで、各新聞・テレビも報道を活発化させ、国が政策を見直すきっかけとなっております。奈良県の医療事故で起きた毎日新聞への批判を謙虚に受け止め、医療報道を深化させた結果であると認識しております。

 毎日新聞は医療向上を目指す報道をより一層充実させていく所存です。皆様におかれましては、今後とも、こうした毎日新聞の報道姿勢にご理解をいただきますようお願い申し上げます。

<了>

天漢日乗様以上のツッコミが思いつかないので、リンク先をお楽しみ頂ければと思いますが、これが通用するなら、

    新小児科医のつぶやきは常に毎日新聞社擁護のスタンスで書いておりますので、ご理解下さい。
こういう内容を通知しておけばすべては免責され、後は何を書いても「喜んでくれる」と同じ事になります。じつにお目出度い会社であり、社長であり、報道機関です。前にもこの話題は触れたので重複する部分はありますが、なんのためにこの新聞社は日薬連にこの文書を配布したかです。これについての理解は、
    一部医師の間で「毎日新聞の報道が医療を崩壊させた」との批判が起きました。これにより、製薬会社から毎日新聞への広告が止まる事態になりました。
製薬会社の広告が止まったのは、すべて「一部の医師」せいと結論付けておられます。大淀事件の報道があったのが2006年10月17日であり、その時から製薬会社の広告は止まっているのでしょうか。これはかなり疑問が持たれる分析と思います。このブログも長くなっているので、大淀事件当時も書いています。

私とて全部の動きを把握している訳ではありませんが、2006年当時にはスポンサーへの運動はさして活発でなかったと記憶しています。医師の間でスポンサーへの運動が本格化し、その効果が認識されたのは、もっと後の大塚製薬に対するものであった考えています。大塚製薬へのスポンサー運動がどういう理由で活発化したかは省略しますが、物凄い効果であったと記憶しています。

この新聞社へのスポンサー運動が本格化したのはもっと後です。それも医療とはまったく関係ない事柄で、記憶も生々しい変態記事事件によるものです。変態記事事件も概要が膨大なので記憶に頼ってまとめておけば、

  1. ネットの一部で毎日デイリーニュース(MDN)の変態記事が話題になる
  2. この新聞社への個人からの抗議は「ガン無視}
  3. ネットメディアがこの問題を取り上げる
  4. 2008年の6月にYahoo !にも取り上げられWaiWai閉鎖
  5. 小さな謝罪広告第1弾を出すが、これが火に油の結果となる
  6. 関係者処分の内容が懲罰的昇進と判明し、火事にガソリンとなる
  7. 内部御用委員会の検証記事を出すも、杜撰さがボロボロ出て大火にナパーム弾状態になる
  8. この新聞社のスポンサー運動が大いに盛り上がり、ウェブサイトから広告は消滅する
だいたいこんな感じです。とくに御用委員会の検証記事では、変態記事をウェブ以降に限定し、ウェブ時代の一担当者の暴走と結論付けましたが、紙媒体時代から続いていた事が発覚し、ネット社会から総スカンを食らうことになります。紙媒体時代の動かぬ証拠が、

WaiWai記事である証拠 問題の記事のタイトル部分


この新聞社からの広告撤退の動きはウェブサイトだけではなく、本体の新聞にも及ぶ事になります。そうなった時にこの新聞社が取った方針は、他の有力メディアの「友愛」と「人の噂も75日作戦」です。他の有力メディアの「友愛」は期待通りでしたが、「人の噂も75日作戦」は有効であったかどうかは疑問です。

それでも「人の噂も75日作戦」の効果がようやく出始めた頃に世界的な大異変が起こります。アメリカ発の金融恐慌です。世界中が不況の真っ只中に放り込まれ、日本もまた深刻な打撃を受けます。深刻な影響は企業を経費節減に走らせ、経費節減には広告費の削減も含まれる事になります。広告を全廃するわけではありませんが、厳選する時代に突入する事になります。

厳選された時に既製メディアは直撃を受ける事になります。既製メディアへの広告はそれまで「なんとなく効果がありそう」として漫然と続けられていた面がありましたが、企業サイドが本当にどれほど効果があるのかを真剣に検討し始めることになります。

たとえばテレビでは、かつての一家に一台「家庭の団欒」と考えられていたものが、1人に1台となり「個人の楽しみ」に変化しています。個人の楽しみの中で視聴率アップが期待できる番組作りに驀進しすぎたために、視聴者に大きな偏りが生じている事が判明します。そのうえ、録画からのCMカットで見る方式が普及したため、企業側からすれば広告としての価値がかなり落ちると判断される事になります。

新聞はもっと悲惨で、購読者の偏りがテレビ以上に酷く、さらに広告によるコスト・パフォーマンスはかなり疑問視される展開になります。至極簡単に言えば、新聞広告は金食い虫で効果が乏しいと判断されたわけです。金食い虫で効果の乏しい広告媒体になんかに経営が苦しい中ではカネを出したくないのが企業の本音になるわけです。

ただ新聞にしろテレビにしろ、企業にとって広告を出すというのは自社のPRだけではない側面があります。どういう側面があるかといえば、

    広告を出していないと報復としてメディアからのバッシングを食らう
つまりメディアからの悪質な攻撃を防ぐ「みかじめ料」の性質も確実にあると言う事です。経営判断として新聞広告は不要と判断しても、自分の会社だけが突出して広告出稿をやめると、見せしめに叩かれる懸念が出てくるわけです。リーマンショック以前から、そういう微妙なバランスが出ており、そういう中で起こったのが変態記事事件です。

1社のみの脱落なら報復できますが、集団で抜けられると業界を敵に回す必要が出てきます。「みかじめ料」も恐怖支配が崩れると、これを継ぎとめる事が難しくなります。まず企業としては「お客様の声」と言う大義名分が出来ます。不祥事を起したのはこの新聞社であり、不祥事を収拾できずに拡大させたのもこの新聞社です。この状況で報復を行なうのは難しくなります。

パラパラと先陣を切る企業が出れば、後は雪崩です。それこそ「バスに乗り遅れるな」の流れになり、潮が引くように消えうせたのが実相と考えます。


ここで重要なポイントは、変態記事問題だけなら「人の噂も75日作戦」でいずれ回復します。しかし今回の広告離れは、さらなる背景として企業の新聞広告離れがあるわけです。企業の表向きは変態記事問題での撤退ですが、本音はこれで「めでたく腐れ縁が切れた」になっていると言う事です。

もちろん新聞広告離れと言ってもゼロにするわけはありません。新聞広告でメリットがある企業もあるでしょうし、価格によってはメリットが出てくる事もあると思います。ただスタンスが「是非出したい」ではなく「出すのも選択枝として考慮する」に変化している点が重要です。オプションの一つのとしての位置付けですから、デメリットが少しでもあれば出しません。

この新聞社の媒体としてのイメージは「変態」の烙印が刻み込まれています。変態の烙印を刻み込ませるのを防ぐ事ができず、むしろより深く刻み込ませたの変態記事事件です。この新聞社の媒体としての評価は、

    変態媒体
変態媒体に広告を出すというのは、それだけで企業のイメージが悪くなり、広告媒体として敬遠されると言う事です。新聞広告を出したいのなら、この新聞社以外にもあるというのが現実です。変態媒体に広告を出すと、変態記事事件を忘れない顧客からクレームが出ます。医師は変態記事に加えて、医療報道でも反感を募らせてますからなおさらですが、変態記事事件だけでも医療関係者以外の方がクレームをつけるのにお釣りが来るほどの重みがあります。

構図としては、

    新聞広告の価値の低下 → 媒体の変態化 → 集団脱走 → リーマンショックによる脱走の固定化


日薬連への配布文書を読んでもらえれば、この新聞社のめでたさがわかります。とりあえず変態記事問題は一言も触れていません。つまり

    変態記事問題の贖罪は終わった
こういう姿勢を明らかにされております。なんつうても社長自体が懲罰的昇進で禊を終えているわけですから、あくまでも「済んだ問題」として取り扱っているのがよくわかります。問題にしているのはすべて、
    一部の医師
この新聞社が不抜の方針にしている「何があってもすべて医者が悪い」の文脈に綺麗にまとめられています。問題を「この新聞社 vs 一部の医師」の矮小化し、「一部の医師」以外には非常に有効な広告媒体であると宣伝しているわけです。ただいつものように自爆で、この文書の配布の結果として、まだこの新聞社に広告を出している企業がある事が周知されてしまった事になります。

その結果として非常に良心的なユーザーは「変態媒体に広告される商品は使いたくない」のクレームをせっせと企業のお客様相談室に送りますし、ただのユーザーなら他社の製品への乗換えを行なう事になります。変態記事事件でどれだけの企業の顧客を敵に回したのかの認識が、非常に甘いのがよくわかります。

まあ懲罰的昇進の社長を社内で責める訳にはいかないでしょうから、この新聞社では広告減少と変態記事を結びつけて考える事は、きっとタブーなんでしょう。ただなんですが、2008年当時に較べても、ネットでこの新聞社の紙媒体の情報を得るのが非常に難しくなっています。よほどの方以外は紙媒体を読まれていないようで、どんな広告が出ているのか確認しにくくなっています。

そうなれば、もうちょっとネットと縁が切れれば、ネットを見ない人の新聞と言う地位が確立され、そういう意味のメリットが出てくるかもしれません。そのためにはウェブサイトも閉じた方が良いかもしれません。ただなんですが、そういう状態で新聞社として存在できるかは、もはや興味すらありません。



最後に蛇足ですが、

    月刊の医学総合誌MMJ(The Mainichi Medical Journal)」も発行
そういや、そういうものがありました。2007年3月27日付ゴミは不要で触れた事のある懐かしい雑誌です。当時の記事を読むと「マスゴミ」と言う用語の普及度を心配しているのが、とても微笑ましいところです。あくまでも当時の記録からですが、MMJの定価は年間9500円となっていますが、医師会員には無料配布となっています。当時から言われていた事ですが、年間9500円も支払って購読している医師が存在するのか非常に疑問の雑誌です。

この辺は、無料配布で広告料で運用する手法はありふれているので、まあ良いのですが、MMJの広告について天漢日乗様のところに寄せられたコメントがまた非常にニコヤカなものになっています。いづれもnyamaju様のコメントですが、

    余計な仕事を増やしてくれますな。
    これでMMJに広告を出している会社と関連薬剤、
    機材を調べなくてはならないじゃないですか

言われてみればそうで、雑誌の広告チェックは結構大変です。日薬連への広告要請もMMJに対するものも含まれているかもしれません。ところが、

    一瞬で終わってしまった。
    最近のMMJ見たら、ぜんぜん広告がなかった。

ちなみにこれは「ゴミは不要」の記事に寄せられた3年前のphysician様からのコメントですが、

神戸では今週末からお花見が始まりそうなので、花見酒の肴に格好の話題になりそうです。