この訴訟は二審まで争われたようで、
一審は被告勝訴、二審は原告勝訴の展開で、医療関係者として注目されるのは二審の判決内容です。ただし二審判決は一審判決から変わらない部分については記載されない事が多いため、手間がかかりますが一審判決から見ていきます。まずは前提事実です。
(1) 当事者
原告Aと原告Bは,亡D(平成2年4月29日生。平成7年11月当時5歳6か月)の両親である。
被告は,新宮市内において,被告病院を設置・運営している。
患児(亡D)は当時5歳6ヶ月だったようで、謹んで御冥福をお祈りします。被告は当時の新宮市民病院であり、現在の新宮市立医療センターにあたります。この訴訟では診療経過の時系列がかなり重要なので、一審判決と二審判決で訂正された部分を表にまとめてみます。まずは新宮市民病院受診までの経過です。
date | 事柄 |
10/28 | 亡Dに咳嗽出現 |
11/4 | G医院を受診し、解熱剤・鎮咳剤・抗生剤等の処方を受け、一旦軽快。 |
11/10 | 亡Dに悪寒・発熱 |
11/11 | G医院を受診。風邪との診断(体温は38度であった) |
11/13 | G医院を再診。肺炎の疑いありとの診断(BP134/74)。X-p検査・マイコプラズマ検査・血液検査を受け、坐薬アンヒバ5錠を処方 |
11/14 | 亡Dに夕方から両瞼に浮腫が出現 |
11/15 | H病院を受診。蛋白尿・気管支炎との診断(両瞼は浮腫状、咳嗽、BP86/50)。レントゲン検査・血液検査・尿検査施行。 点滴後排尿(+)、昼過ぎには腹痛を催し嘔吐 |
11/15 | 19:20新宮市民病院受診 |
とりあえず気になるのは10/28から咳嗽があり、11/4にG医院受診して「一旦軽快」した疾患が、11/8以降の「悪寒・戦慄」の疾患と同じかです。一般的には11/4には3〜4日分の処方が為されたと思われ、この処方日数中に「一旦軽快」したと考えられます。そうなれば遅くとも11/8頃には「一旦軽快」していたと考えられ、11/10の「悪寒・戦慄」までには最短で2日ほどの間があります。
これを二峰性の発熱と考えるか、別の感染症と考えるかですが、認定された事実には10/28からの感染症では発熱の事実はなく、さらに「一旦軽快」しているのであれば、別の感染症と私は解釈したいところです。
続いて新宮市民病院入院後の経過です。
Date | Time | 事柄 |
11/15 | 19:20 | 亡Dには両上瞼に浮腫が見られたものの、肝・脾・下腿には浮腫がなく、心雑音もなく、橈骨動脈拍動は良好であった。 血液検査(Hb15.2、Ht45.3)、尿検査(尿色は番茶様で少量。なお,同日午前の排尿後はじめての排尿であった)施行。 気管支肺炎・脱水症状との診断をし、入院の上,ソリタT1を初期輸液とする点滴処置を行い、経過観察とするとの方針を決定 |
20:45 | 体温37.0度、脈拍96、呼吸数36。眼瞼に浮腫が見られたものの、四肢には浮腫等がなかった。このとき、倦怠感・腹痛を訴えた。 | |
11/16 | 0:00 | 体温35.8度,脈拍100,呼吸数32。発汗があり,倦怠感・腹痛を訴えた |
3:00 | 脈拍96、呼吸数25。湿性咳があり,上下肢冷感・倦怠感・腹痛を訴えた | |
6:00 | 3時から6時の間に腹痛を訴えるとともに胃液を嘔吐し、併せて倦怠感をも訴えた。このとき発汗,眼瞼浮腫が見られた 体温35.3度、脈拍84、呼吸数24。入院後初めての排尿(100ml、色は番茶様)、腹痛・倦怠感を訴えるとともに、眼瞼浮腫・空えづき・両下肢冷感を認める。 点滴輸液(ソリタT1)にアタP(25ミリグラム)1/2A混入 |
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7:00 | 上半身の皮膚が湿潤した状態 | |
9:00 | X-p検査 | |
10:00 | I医師の回診,血液検査(検査結果はCPKが4694であった)を受けた。このとき亡Dは口唇色が不良で、眼瞼に浮腫が見られるとともに、軽度の呼吸困難を認め,脈拍を触知せず、体温は35.3度であった。 ICUに転室し,医師Jの診察を受けた。J医師は亡Dに対し,ラシックス10mgを注射するとともに、電図モニターを装着し、酸素テントを開設するなどの処置をとった。 |
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10:20 | 痙攣硬直、呼吸停止、意識不明、心停止に陥り、人工呼吸、心マッサージの処置を受けた | |
13:10 | 心筋炎に起因する急性心不全により死亡 |
こういう争いのない事実の上で一審の原告側の被告側の主張を併記してみます。
原告側 | 被告側 |
11/15午後にはウイルス性ないし突発性の急性心筋炎(ポンプ失調型)を発症したと考えられる。理由として、 | 初診時被告担当医師としては、心筋炎の疑いを抱かなかったとしても致し方ない。理由として、 |
初診時である11/15 19:20あるいは遅くとも同日23:00ないし翌16日0:00には心筋炎等の疑いを抱くことが可能。理由として、 | これらは心筋炎と矛盾する症状である。
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心筋炎等の診断に有効な血液生化学検査、心電図検査、胸部レントゲン検査及び心エコー検査等の諸検査を実施し、その検査結果をも踏まえて心筋炎の治療をすべき義務があったにもかかわらず、上記各症状を看過して上記各検査を実施せず、その結果、11/16 10:00ころまで、漫然、急性心筋炎の診断・治療をしなかったのであるから,被告担当医師には過失等がある。 |
亡Dは、11/16 7:00以後に劇症型心筋炎を発症したと考えられる。理由は、 |
主張は完全には対応していないので対照はご参考までにしてください。こういう双方の主張の上での因果関係です。
原告側 | 被告側 |
被告担当医師が、上記(1)原告らの主張記載の義務を誠実に果たし、心筋炎の早期診断・早期治療を行っていれば、心筋炎が急性期を脱すれば予後は良好と考えられていることからみて、亡Dは救命できたはずである。 したがって、上記過失等と亡Dの死亡との間には因果関係があるというべきである。 |
亡Dが罹患したのは、単なる急性心筋炎ではなく、劇症型心筋炎であるから、原告らの主張のうち、心筋炎が急性期を脱すれば予後は良好であるという前提自体が本件に妥当しない。劇症型心筋炎においては、心筋炎と診断されたにもかかわらず死亡に至った例が多く、また、心不全のみならず不整脈による突然死の例もかなりあるなど、劇症型心筋炎の救命可能性は極めて低い。 また、劇症型心筋炎の患者に対する救命措置としては、部分的体外補助循環(PCPS)や模型人工肺(ECMO)により血液の体外補助循環を行った上で手術を施す必要があるところ、亡Dは当時5歳であったから、部分的体外補助循環を施すことはできないし、模型人工肺による補助循環を施すには、特別な設備・熟練したスタッフが必要であるが、本件当時の被告病院にはそのような設備・スタッフは揃っておらず、それらが揃った他の病院に転院させることも不可能であった。 以上によれば、亡Dには救命可能性があったとはいえないから、上記過失等と亡Dの死亡との間に因果関係は認められないというべきである。 |
ちょっと感動してます。新宮市民病院は主張すべきところをキチンと主張している事が確認出来たからです。簡単にまとめると、
- 原告の主張する心筋炎の症状の特徴は、診断が下った前提で拾い上げれば当てはまるだけであり、他の疾患を考える方が合理的な判断である事
- 11/15にCPKが500から600程度であったのが、11/16には4694に上昇した事、症状の経過から単なる急性心筋炎ではなく、劇症型心筋炎である事
- 劇症型心筋炎治療のために必要な、5歳の子供のための治療器具、設備、スタッフは病院にはおらず、転院治療も時間的に不可能である
原告らの主張は,要するに,
その結果,心筋炎に対する治療をしなかったことをもって過失等に該当するというものであり,いずれも上記各時点において既に急性心筋炎(またはこれに起因する心不全)を発症していたことを前提とするものであるから,まず,心筋炎の発症時期,すなわち,その時点で急性心筋炎を発症していたと認められるかについて検討する。
- 初診時である11月15日午後7時20分に急性心筋炎(またはこれに起因する心不全)との診断をせず,その疑いすら抱かなかったこと
- 同日午後11時ないし翌16日午前0時ころまでに脱水症との初期診断を修正し,急性心筋炎(またはこれに起因する心不全)との診断をせず,その疑いすら抱かなかったこと
こうしておいて、心筋炎と言う病気の事実認定を行ないます。
証拠(甲3,4,7,9,10,12ないし14,16,乙1,14,18,証人K,鑑定)によれば,以下の事実が認められる。
心筋炎の発症を疑わせる症状としては,すべての心筋炎において必発,あるいは,心筋炎以外の疾病時には認められないというわけではないものの,胸痛,動悸,呼吸困難,感冒症状,消化器症状(嘔吐ないし吐き気を含む。),倦怠感,浮腫,四肢冷感,乏尿,頻脈,徐脈,不整脈,交互脈,心音異常等が,同様に心筋炎の発症を疑わせる検査結果としては,心電図異常,CPK・LDH・GOT等の上昇,心エコー図における左心機能低下・心膜液貯留等がある。
この点に関連して,ウイルス性ないし突発性急性心筋炎の臨床診断の手引(厚生省特定疾患突発性心筋症調査研究班研究報告集,1990,要旨)には,
との点が指摘されている(甲3,甲13)。
- 心症状にかぜ様症状や消化器症状,また皮疹,関節痛,筋肉痛などが前駆症状また主症状として合併することが少なくない
- 身体所見に頻脈,徐脈,聴診で心音減弱,奔馬調律(第3,4音),心膜摩擦音,また収縮期雑音などを認めることがある
- 心電図は通常なんらかの異常所見を示す。これは1〜3度房室ブロック,ST−T波の変化,心室内伝導障害,低電位差,心室性や上室性期外収縮,心室頻脈,上室性頻脈,心房細動,異常Q波などを含む
- 血清中の心筋逸脱酵素(CPK・MB分画),LDH1・2型・GOT)の上昇,CRP陽性,赤沈促進,白血球増加などを認めることが多い
- 胸部X線像で心拡大を認めることが多い
- 心エコー図で左心機能低下や心膜液貯留を認めることがある
- 上記第2ないし第6項目の所見は短時間に変動することが多い
- 急性期と寛解期に採取した組血清におけるウイルス抗体価の4倍以上の変動は病因診断に有用である。咽頭ぬぐい液,尿,糞便,血液,心膜液,心筋からのウイルス分離またはウイルス抗原の確定は病因診断に有用である
- 心内膜心筋生検所見は診断確定に有用であるが陰性所見でも心筋炎は否定されない
- 急性心筋梗塞などとの鑑別が必要なことがある
こういう症状や検査を呈するものが急性心筋炎であるとしています。ここで原告側の主張を取り上げます。
原告らは,心筋炎の発症を疑わせる上記症状等のうち,亡Dに,感冒症状,消化器症状,倦怠感があったこと,眼瞼に浮腫が認められたこと,11月15日にH病院で行われた血液生化学検査において,GOTが42,LDHが585といずれも異常高値を示し,また,その時採取した血液を再検査した結果,CPKが500ないし600という心筋の融解開始を疑わせる数値が認められたことを指摘し,これらによれば,亡Dは,11月15日午後7時20分の被告病院初診時において,あるいは遅くとも同日午後11時ないし翌16日午前0時ころには,ウイルス性ないし突発性の急性心筋炎を発症し,心不全症状が現れていたと主張する。そして,甲16(小児科医師Lの意見書)には,原告らの主張に沿う「平成7年11月16日C病院で亡くなられた本件患児の死因は,先行する感冒様症状が存在すること,11月14日以降心不全症状が進行したこと,死亡当日の朝実施された心エコー検査の結果のEF(駆出率)17%(正常値60−70%)に示される極めて重症のポンプ機能低下が存在したことにより判断し急性ウイルス性心筋による心不全死と臨床診断される。
原告主張の要点として、
- 感冒症状,消化器症状,倦怠感があった
- 眼瞼に浮腫が認められた
- 11月15日にH病院で行われた血液生化学検査において,GOTが42,LDHが585といずれも異常高値を示し,また,その時採取した血液を再検査した結果,CPKが500ないし600という心筋の融解開始を疑わせる数値が認められたこと
-
11月15日午後7時20分の被告病院初診時において,あるいは遅くとも同日午後11時ないし翌16日午前0時ころには,ウイルス性ないし突発性の急性心筋炎を発症し,心不全症状が現れていた
「G医院での受診歴より患児の前駆症状は10月末より感冒を繰り返していた時期に始まっていたと推測される。ウイルス性心筋炎の主原因となるエンテロウイルス(コクサッキーA群,B群,エコー等の感冒ウイルス)の潜伏期間は通常3−10日間である。11月10日から連続した熱発がみられておりウイルス感染のピークがここにある。潜伏期間日数の幅を考慮しても潜伏期間の後半は11月5日以後にあたる。この頃よりウイルス血症が存在し,ウイルスの心筋への直接浸潤は開始された。その後5日間経過した11月10日を過ぎる時期より第2相のリンパ球による心筋細胞破壊の病態に移行している。11月13日までは心拍出量の低下は代償性機構によりカバーされており心症状はみられない。11月14日頃より代償不全に陥り眼瞼浮腫,易疲労感などの心不全症状が顕在化している。心筋障害にて心拍出量が低下し腎への血流供給が不十分となると尿量は低下し,全身性浮腫に先立って血管抵抗の減弱しやすい顔面や,四肢末端に浮腫は出現する。本件患児に心不全症状が顕在化するのはこの日である。ウイルス学的にはウイルス血症によって心筋障害が始まる時期,すなわち11月5日頃と発症時期はされるが,臨床医学的に診断される本件患児の急性ウイルス性心筋炎の発症時期は心症状である眼瞼浮腫が出現した11月14日とするのが適当である。」との意見が記載されている。
とりあえず
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G医院での受診歴より患児の前駆症状は10月末より感冒を繰り返していた時期に始まっていたと推測される
前駆症状説を最初に唱えながら、次にエンテロウイルス説が出てくるのも論旨としては矛盾があるように感じます。原因ウイルスとしてエンテロウイルスを考えるのは間違っていませんが、
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潜伏期間は通常3−10日間である。11月10日から連続した熱発がみられておりウイルス感染のピークがここにある
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臨床医学的に診断される本件患児の急性ウイルス性心筋炎の発症時期は心症状である眼瞼浮腫が出現した11月14日とするのが適当である
しかしながら,亡Dは,11月16日午前6時まで脈拍数が正常値を示しており,頻脈・徐脈は認められないし(前記前提事実のとおり,11月15日午後8時45分には96,翌16日午前0時には100,午前3時には96,午前6時には84。なお,正常値は70ないし115である《乙13》。),11月15日午後7時20分の時点では心雑音も認められないなど,その他の症状は認められなかった。のみならず,血液濃縮(前記前提事実のとおり,11月15日午後7時20分にはHGB15.5《乙18によれば,6歳児の正常値は12.8であり,証人Kによれば,正常値は11ないし12である。》,HCT47.6《乙18によれば,6歳児の正常値は40,証人Kによれば,40以上をもって濃縮状態にあると認めらる。》)が認められたこと,11月16日午前9時に行われたレントゲン検査によっても心肥大が認められず(乙14,証人K,鑑定),それ以前も心肥大が起こっていたとは考えにくいことは,いずれも心筋炎の発症を否定する方向に働く要素である。とりわけ,前者は,心筋炎が引き起こす心不全のメカニズムないし血液濃度との関係,すなわち,心不全が起こると,体内の水分量が増加するとともに,血液中の水分量が増加し,血液は希釈されることとなる(その水分が体内の各部位に貯留して起こるのが浮腫である。)ことを考えると,心筋炎とは矛盾するものである(証人K,鑑定)。
裁判官のほうがここは論理的で
- 脈拍に異常は認められない
- 脱水を示す血液濃縮がある
- 心筋炎による腎血流量の低下による乏尿状態なら、血液は濃縮ではなく希釈される
そして,原告らが指摘する上記症状等はいずれも心疾患に特有のものではない。また,浮腫についていえば,点滴による輸液補給にかかわらず,悪化した所見が見られなかった(眼瞼以外に浮腫はなく,眼瞼の浮腫も悪化の方向をたどっていたとは認められない。)こと,併せて,呼吸数にも着目すると,前記前提事実のとおり,11月15日午後8時45分に36であったのが,翌16日午前0時には32,同日午前3時には25,同日午前6時には24と落ち着く方向に推移している(なお,2ないし6歳児の正常値は20ないし30である《乙13》。)ことからすると,むしろ心疾患以外の原因を疑わせるものである(証人K,鑑定)。
以上からすれば,L医師の上記意見書は,血液濃縮について十分な考察を欠いているから,これを採用することはできない
心筋炎による心拍出量の低下による乏尿、浮腫のメカニズムは、腎血流量の低下によるものと裁判所はしています。そうなれば、脱水補正のために行なわれた輸液は浮腫増強に働くはずであり、また輸液の負荷により呼吸数の増加も見られるはずなのにこれがない事を指摘しています。
他に,原告らの上記主張を認めるに足りる的確な証拠はない。かえって,以上認定事実及び証拠(乙14,証人K,鑑定)によれば,亡Dは,11月16日午前0時の後に劇症型心筋炎を発症したものと推認される。
そうすると,原告が主張するとおり遅くとも11月16日午前0時ころまでに心筋炎の発症があったと認めることはできない(なお,原告らが指摘するとおり,眼瞼浮腫や発汗等,脱水症とは必ずしも合致しない症状が存在したことからすると,亡Dは脱水症以外の疾病にも罹患していたことが強く疑われるというべきであるが《証人K,鑑定》,脱水症に合致しない症状が存在していたからといって,直ちに心筋炎の発症が認められるわけではないから心筋炎の発症に関する上記の認定判断が左右されることはない。)。
11/16 0:00以前に心筋炎が発症していないと判断したのは良いとして、どうにも不思議なのはそれでもって裁判所判断が終わる事です。ここがこの裁判の特徴と思っています。次のところがよく現れています。
したがって,上記時点までに心筋炎を疑い,これに対処すべく処置をしなかったことをもって原告ら主張の過失等があったということはできない(仮に,原告らが主張するとおり,被告病院担当医師が,亡Dの症状について,11月16日午前10時の急変時より前に心疾患を疑い,心エコー検査・心電図検査等を行った場合には,より詳細な情報を得られた可能性は否定できないものの,上記のとおり,11月15日午前0時ころまでに心筋炎の発症を認めることができない以上,上記各検査を行っていたとしても心筋炎であるとの診断が可能であったと認めることはできないし,また,それらの検査を行わなかったことをもって過失ということもできない《鑑定》。)。
どうも裁判の争点が、
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11/15 19:20の新宮市民病院初診時から、11/16 0:00の間に急性心筋炎が診断できたら患児は救命できた