訴訟記事のテンプレ

8/7付けINTERNET WATCHより、

毎日新聞の「低俗」報道訴訟、9月に神戸地裁で口頭弁論

 英文ニュースサイト「Mainichi Daily News」のコラム「WaiWai」で7年以上にわたり不適切な記事を掲載していた毎日新聞社を相手取り、個人が起こしていた訴訟で、神戸地方裁判所において9月10日、第1回口頭弁論が行われる。

 WaiWaiでは、週刊誌や夕刊紙などを引用した英文記事を2001年4月から2008年6月までに2561本掲載。その中では、事実の裏付けがないまま、日本人の異常な性的嗜好や未成年者の性の乱れに関する記事を多数紹介したほか、検索エンジンに反応しやすいように英文サイトに「hentai」などのメタタグを埋め込んでいたことから、「低俗過ぎる」との批判がネット上などで相次いでいた。

 これを受け毎日新聞社は6月21日にWaiWaiを閉鎖し、監督責任者や担当記者らを処分したが、その後、今回の処分とは無関係の女性記者を誹謗・中傷する映像や書き込みが相次いでいるとして、明らかな名誉毀損行為に対しては法的措置を取る方針を表明。その結果、毎日新聞社への批判がさらに高まり、同社のニュースサイト「毎日.jp」に広告を出稿する企業への抗議活動に発展。毎日jpの広告スペースが自社広告で埋め尽くされる事態にまで発展した。

 なお、2ちゃんねるには毎日新聞社への訴訟に関するスレッドが立てられ、原告と見られる人物が、毎日新聞社に10万円の慰謝料を請求した旨の訴状を公開している。請求の理由については、「毎日新聞英語版において、日本人全員を侮辱する、何ら根拠に基づかない記事を故意に配信した」「原告も日本人の一員として、被告に対し強い憤りを感じ、被告の行為によって強い精神的苦痛を受けた」などと書かれている。

追記 2008/08/07 16:50】
 今回の訴訟について毎日新聞社では、「訴状の内容を確認した上で、当社の主張は裁判の中で明らかにしていきます」とコメントしている。

記事については毎日変態記事を本当に訴えた人が出たと言う内容で、いわゆる訴訟記事です。これ自体もニュースなんですが、それより記事の構成が笑ってしまいました。やっぱりテンプレはあるんですね。記事の姿勢は読まれての通り毎日にあまり好意的ではありません。中立を装うとしてはいますが、記者の毎日への悪感情が滲み出ています。

どこがそう感じるかといえば、この訴訟記事の内容はほとんどが原告側の言い分で構成されています。この記事では原告本人に取材はしていないようなのですが、おそらく2chの関連スレないしはまとめサイトの情報を集めて構成されています。この程度の内容なら関連スレやまとめサイトまで読まなくとも、「毎日新聞社への訴訟に関するスレッド」を読むだけで十分手に入るとも考えられます。これらのスレ情報は反毎日で染まっています。工作員もチラホラ頑張っているようにも見えますが、ほぼ原告よりの主張しか集まりません。

毎日側の主張と言うか謝罪行動についてはちょっと可哀そうなぐらい無残な扱いで、

    これを受け毎日新聞社は6月21日にWaiWaiを閉鎖し、監督責任者や担当記者らを処分したが、その後、今回の処分とは無関係の女性記者を誹謗・中傷する映像や書き込みが相次いでいるとして、明らかな名誉毀損行為に対しては法的措置を取る方針を表明。その結果、毎日新聞社への批判がさらに高まり、同社のニュースサイト「毎日.jp」に広告を出稿する企業への抗議活動に発展。毎日jpの広告スペースが自社広告で埋め尽くされる事態にまで発展した。
嘘は書いていないのですが、謝罪の中の「開き直り」部分に焦点を故意に当てているように思います。だって抜粋した部分の中でも毎日の謝罪行動はさらに短くて、たったこれだけです。続く文章は毎日の謝罪行動に意味が無かったことで埋め尽くされています。私は毎日の行為に悪感情を持っていますので痛快ですが、ブログじゃないんですからもうちょっと形だけでも公平性を保つように構成したらどうかと思ってしまいます。弁護しようがないほど毎日の対応が杜撰であったと言えばそれまでですが、個人的には偏りすぎの印象を持ちます。

この記事が伝えたい本当の趣旨は毎日変態記事問題が訴訟問題に発展した事です。原告側の主張は記事にありますが、

    毎日新聞英語版において、日本人全員を侮辱する、何ら根拠に基づかない記事を故意に配信した」「原告も日本人の一員として、被告に対し強い憤りを感じ、被告の行為によって強い精神的苦痛を受けた」
これに対する毎日側の反論はさすがに変態記事の存在の否定は出来ませんから「十分な謝罪を既に果たした」になるかと考えられます。その前に原告適格の問題があるかもしれませんし、記事による被害が原告に本当にあったかの論争も当然あるかと思いますが、訴訟の舞台に上っても「謝罪は社会的責任を十分果たしている」以外に考え難いところです。その肝心の毎日側の謝罪記事を粉砕しているのですから、冷静に見れば偏っていると言う批判は成立するかと思います。

上のほうでテンプレじゃないかと批評したのは、医療訴訟記事がだいたいこんな構成であるからです。一から十まで原告側の言い分で記事を埋め尽くし、被告側の言い分はまず載せませんし、載せてもかなり濃厚な悪意の補足が付きます。普通に読めば「こりゃ、医者が悪い」と読者に信じ込ませる構成です。被告の言い分もテンプレが決まっていて、今回の記事も見事に型にはまっています。

    今回の訴訟について毎日新聞社では、「訴状の内容を確認した上で、当社の主張は裁判の中で明らかにしていきます」とコメントしている。
どうもマスコミの訴訟記事テンプレは、
  1. 被告が悪いと主観で決める
  2. 被告が悪いから原告の言い分を主体に構成する
  3. 被告の主張には悪意の解説を付け加える
  4. 訴状がない時点でコメントを強引に求める
これを読めば読者は自然に原告「正義」、被告「悪」が印象として刷り込まれます。そういう医療訴訟記事をテンコモリ読まされたものとして、もう少し冷静な内容の記事であるほうが望ましいと考えます。訴訟はこれからですし、原告も被告もこれから法廷で戦うわけですから、戦う前に余りにも一方に肩入れする報道記事はよろしく無い様に思います。あくまでも個人的な意見になるかもしれませんが、毎日変態記事自体を批評する記事と、これに関する訴訟記事の間には、明確な一線を引くべきであると考えます。

毎日新聞を擁護する気は微塵もありませんが、今回の記事のテンプレを認めてしまったら、医療訴訟記事の杜撰さを主張できなくなるような気がします。


うぅぅぅぅ、話の都合上、タブロイド紙を擁護する内容にせざるを得なくなりましたが、じんましんがぁぁぁ・・・そうそう、この裁判は被告有利と見ています。たしか東スポがらみの訴訟で、「東スポ記事を信用する方が悪い」みたいな判決があったはずです。その判例からすれば被告の毎日新聞は絶対負けないでしょうし、そういう判決理由で勝つ毎日新聞を是非見てみたいと思っています。