経済諮問会議民間議員参考人招致への圧力

発端は10/15の参議院予算委員会参議院インターネット審議中継を見てもらえればよくわかるのですが、民主党の櫻井充議員が医療問題に絡めて経済諮問会議民間議員への強い批判を行なっています。医療問題は動画の43分頃から白熱の議論が行なわれています。

この質疑を引き金にして民間議員を参考人に招致する要請が行われています。

御手洗氏らの招致要求

記事:共同通信社

提供:共同通信社     2007年10月16日

 民主党桜井充参院議員は15日午後の参院予算委員会で、医療制度改革などをめぐり、御手洗冨士夫日本経団連会長ら経済財政諮問会議の民間議員4人の参考人招致を要求した。16日以降の参院予算委理事会で協議する。

この共同通信記事はうろうろドクター様が拾い出してくれたのですが、この記事はWebにはupされていません。なぜかについての考察はrijin様から頂いたコメントが適切かと思います。

> もっとも財界を敵に回す選択は自民党として好ましくないので、

…そりゃ、民主党にとっても好ましい事態ではありません。桜井議員には、党幹部から相当な圧力のかかっていることが想像できます。表立って出せないことは、陰で行われますし、やり方は一層えげつないのがふつうです。

何と言っても財界は政治資金の大口出資者ですから、自民党は絶対の防衛ラインですし、民主党も財界を敵に回して政権奪取は厳しいとの判断はそうかもしれません。そうなると共同通信記事にある参考人招致は櫻井議員の単独行動に近いものとも考えられます。単独行動なら自民党民主党も財界という聖域に手を出すリスクで共同戦線を張り、この問題の火消しに走り回って不思議ありませんし、共同通信記事をマスコミで広く報道させないように強力な圧力を加えたとも考えられます。

ところが、あおむし様から続報を頂きました。

証人喚問、全会一致にこだわらず」、民主・輿石参院会長

 民主党輿石東参院議員会長は18日の記者会見で、全会一致での議決が慣例となっている証人喚問について「全会一致でなければできないという国会法はない」と述べ、野党が多数を握る参院で、多数決での実現も辞さない考えを示した。インド洋での給油問題に絡む国政調査権を使った資料請求も「国民が知りたいのであれば必ず使う」と言明。情報開示に消極的な政府・与党の姿勢をけん制した。

 民主党参院予算委員会で、公明党を除名された福本潤一参院議員と、御手洗冨士夫日本経団連会長ら経済財政諮問会議間議員の参考人招致と、守屋武昌前防衛次官の証人喚問を要求。衆院予算委では、海自のインド洋での活動実態や提供した燃料の使途を示す航海日誌などを政府に提出させるため、国政調査権を発動するよう求めている。(22:01)

これはNIKKEI.NETの記事なんですが、参考人招致民主党の要求として行なわれている事がわかります。時間が22:01となっていますが、この時点の要求は、

  1. 公明党を除名された福本潤一参院議員の参考人招致
  2. 御手洗冨士夫日本経団連会長ら経済財政諮問会議間議員の参考人招致
  3. 守屋武昌前防衛次官の証人喚問
  4. インド洋での海自の航海日誌などを政府に提出させるため、国政調査権を発動
これらを民主党輿石東参院議員会長は18日の記者会見で話したとなっています。ところがこの記事はWebに残っていません。誰か魚拓を取ってられる方がおられると嬉しいのですが、改変されています。改変後の記事は、

「証人喚問、全会一致にこだわらず」、民主・輿石参院会長

 民主党輿石東参院議員会長は18日の記者会見で、全会一致での議決が慣例となっている証人喚問について「全会一致でなければできないという国会法はない」と述べ、野党が多数を握る参院で、多数決での実現も辞さない考えを示した。

 輿石氏は「全会一致でなければできないのなら、参院与野党逆転しても永久にできない。絵に描いたもちだ」と指摘。インド洋での給油問題に関する国政調査権を使った資料請求も「国民が知りたいのであれば必ず使う」と言明。情報開示に消極的な政府・与党の姿勢をけん制した。(22:01)

この記事も改変前と同じ22:01の記事となっています。まさに瞬速の改変です。改変した痕跡さえ残っていません。ただ余程あわてて改変したのか、記事内容は妙に不自然な内容になっています。改変後の記事では証人喚問が慣行として「全会一致」であることへの民主党の姿勢を姿勢を示しただけで、具体的に誰を証人喚問するかが綺麗に抜けています。改変前の記事では具体的な参考人招致者、証人喚問者の名前があり、それらを呼ぶために「全員一致」の慣行を変えるのだったのが、単なる一般論になっています。

それでは証人喚問の標的がどう変わったかですが、YOMIURI ONLINEでは、

給油量誤説明の守屋・前防衛次官、民主が証人喚問要求へ

 民主党山岡賢次国会対策委員長は15日午前の記者会見で、海上自衛隊の米艦船への給油燃料のイラク作戦への「転用」疑惑で、政府が給油量を誤って説明したことについて、防衛省守屋武昌・前次官らを参院予算委員会などに証人喚問要求する考えを表明した。

 山岡氏は「本当に事務的なミスが起こったのなら、防衛省の必要性さえ問われる重大問題だ。誰のミスで誰の責任なのか、何の報告もない」と述べた。

 山岡氏は守屋氏と担当の事務官を証人喚問要求するよう簗瀬進参院国対委員長に指示した。衆院テロ防止特別委員会でも同様の要求をする方針だ。

(2007年10月15日12時37分 読売新聞)

これは改変前の記事にあった守屋武昌前次官の名前が挙がっています。Asahi.comには、

民主「首相の証人喚問も」 給油情報公開狙い牽制
2007年10月15日11時43分

 民主党鉢呂吉雄「次の内閣」外相は14日のNHK番組で、03年に海上自衛隊が米艦船に提供した燃料のイラク作戦への転用疑惑について「首相もあの時の責任者だったから、議院証言法に基づく証人喚問も考えなければいけない」と述べた。当時官房長官だった福田首相に対し、虚偽証言をすれば偽証罪の疑いで告発される証人喚問要求を検討する構えを示すことで、給油活動の実態について正確に情報開示するよう政府を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。

 さらに、鉢呂氏は政府が提出する新法案への対案について「アフガニスタンでの国際治安支援部隊(ISAF)は地方復興支援を含めた民生支援も入っている。これが一番の要になっている」と述べ、ISAFの民生支援への参加を軸に検討する考えを示した。

ここでは福田首相です。

消えたNIKKEI.NET記事にあった

  1. 公明党を除名された福本潤一参院議員の参考人招致
  2. 御手洗冨士夫日本経団連会長ら経済財政諮問会議間議員の参考人招致
この二つは完全に消滅させられています。もっともYOMOURI ONLINEもASAHi.comも民間議参考人招致以前の記事ですが、これは残っています。裏でどういう力が動いたかは誰でも想像がつきますが、怖ろしいほどの圧力です。このまま経済諮問会議民間議参考人招致は闇に葬られるのでしょうか。記事の改変の素早さから見るとそう考えざるを得ない気がします。

最後に櫻井充議員の10/18付のメルマガを引用させてもらいます。内容は無難ですが、私は行間に櫻井議員の無念さが浮かび上がっているように感じてなりません。

 三日間の参議院予算委員会が終了した。筆頭理事として、初日に質問に立たせていただいた。今回は、国民の皆さんからの反響は一番で、質問しているときから電話やファックスを頂いたのだが、ある新聞には、論戦には見るべき点が無かったと書かれていた。

 確かに今回は、国民生活に不便をきたしている点を中心に質問したので、派手な質問も無く、マスコミ受けするとは思わなかった。しかし新聞の論評を見て、国民の皆さんの反応とマスコミの反応が、ここまで乖離しているのだということを改めて認識させられた。

 最近の社会を見ていると、恐ろしいほどに極端に動いている。例えば、安倍総理はテロ特別措置法に関して「職を賭して頑張る」と言っておきながら、数日後には総理の職を投げ出してしまった。

 ボクシングの亀田親子に関してもそうである。先日内藤選手に負けるまでマスコミは、彼らをヒーローのように報道してきたが、今は完全に悪者扱いである。敗戦以前は、亀田親子の行動や発言は、自分を中心に世界が回っているようだったが、今は何も話が出来ないほど落ち込んでいる。

 この傾向は、小泉総理が誕生して以後顕著になってきている。小泉総理の発言は、物事が単純化されて分かりやすく、その点は評価できるかもしれないが、一方で、結果の白黒をはっきりさせるために、彼の言動は常に極端であった。このパフォーマンスが受け入れられてから、強く極端に物を言う人が受け入れられるようになってきている。

 正確に言えば、必ずしも国民が受け入れるということではなく、ことさらマスコミがそれらを増幅し、国民を洗脳してきていると言う方が正しいのかもしれない。歴史的に見ると、このような時代にネオコンが跋扈し、独裁者が生まれる傾向にある。今こそ冷静になって、社会全体のあり方を見直すべきではないだろうか。

参議院議員・医師 桜井 充

NIKKEI..NETの不思議

あおむし様から追加情報を頂きましたので、NIKKEI.NETの記事変遷をまとめておきます。

まずオリジナル(オリジナルが無いのでリンク先はほぼ同内容の毎日記事です)です。

証人喚問、全会一致にこだわらず」、民主・輿石参院会長

 民主党輿石東参院議員会長は18日の記者会見で、全会一致での議決が慣例となっている証人喚問について「全会一致でなければできないという国会法はない」と述べ、野党が多数を握る参院で、多数決での実現も辞さない考えを示した。インド洋での給油問題に絡む国政調査権を使った資料請求も「国民が知りたいのであれば必ず使う」と言明。情報開示に消極的な政府・与党の姿勢をけん制した。

 民主党参院予算委員会で、公明党を除名された福本潤一参院議員と、御手洗冨士夫日本経団連会長ら経済財政諮問会議間議員の参考人招致と、守屋武昌前防衛次官の証人喚問を要求。衆院予算委では、海自のインド洋での活動実態や提供した燃料の使途を示す航海日誌などを政府に提出させるため、国政調査権を発動するよう求めている。(22:01)

続いて改変1回目(魚拓なし、残念です)です。

「証人喚問、全会一致にこだわらず」、民主・輿石参院会長

 民主党輿石東参院議員会長は18日の記者会見で、全会一致での議決が慣例となっている証人喚問について「全会一致でなければできないという国会法はない」と述べ、野党が多数を握る参院で、多数決での実現も辞さない考えを示した。

 輿石氏は「全会一致でなければできないのなら、参院与野党逆転しても永久にできない。絵に描いたもちだ」と指摘。インド洋での給油問題に絡む国政調査権を使った資料請求も「国民が知りたいのであれば必ず使う」と言明。情報開示に消極的な政府・与党の姿勢をけん制した。

 民主党参院予算委員会で給油問題での防衛省の対応を巡り守屋武昌前防衛次官の証人喚問などを要求。与党は「全会一致」の慣例を理由に強く反発している。(22:01)

さらに改変2回目(現在)です。

証人喚問、全会一致にこだわらず」、民主・輿石参院会長

 民主党輿石東参院議員会長は18日の記者会見で、全会一致での議決が慣例となっている証人喚問について「全会一致でなければできないという国会法はない」と述べ、野党が多数を握る参院で、多数決での実現も辞さない考えを示した。

 輿石氏は「全会一致でなければできないのなら、参院与野党逆転しても永久にできない。絵に描いたもちだ」と指摘。インド洋での給油問題に関する国政調査権を使った資料請求も「国民が知りたいのであれば必ず使う」と言明。情報開示に消極的な政府・与党の姿勢をけん制した。(22:01)

ちょっとまとめると、


公明党を除名された福本潤一参院議員の参考人招致1回目に消滅
御手洗冨士夫日本経団連会長ら経済財政諮問会議間議員の参考人招致1回目に消滅
守屋武昌前防衛次官の証人喚問2回目に消滅
インド洋での海自の航海日誌などを政府に提出させるため、国政調査権を発動これだけ残る


注目して欲しいのはタイムスタンプで
    (22:01)
で変化無しです。

記事の内容も証人喚問、参考人招致の話があったから、

    証人喚問について「全会一致でなければできないという国会法はない」と述べ
ここが必要必要だったのですが、改変するたびに証人、参考人が次々と抜け落ち、インド洋給油問題だけになって妙に宙に浮いています。Webですから、第一報の後、追加情報があって改変して悪いわけではありませんが、改変するたびに記事がやせ細っていくのは珍しい事例と思います。それも順次なのが不可解です。

もう少し言えば正規の報道機関ですから、黙って改変するのは好ましくなく、追加記事ないし訂正記事で対応すべきかと思います。その上、改変してもタイムスタンプも変えないのはまさしく奇怪です。