医師としては許せぬブログ

他のブログへの批判は避けなくてはいけないと自戒していますし、△院長への批判も少々後味が悪かったのですが、今日のは医師の良心としてしておくべきだと考えます。これは私だけがそう感じているだけではなく、このブログの存在を知った殆んどの医師がそう感じています。まず9/9付けのBlogRankingの医学ランキングを御覧頂きたいと思います。





画面上からキャプチャした関係で、1位に輝いているBermuda先生のブログが欠けてしまっている事をまずお詫びします。そこはお詫びしておいて、このランキング表を見て少し不自然な点にお気づきになりませんか。ここで注目して欲しいのは2位、3位、6位、7位、9位、10位のブログ名です。本来のブログ名とランキング表のブログ名の比較をして見ます。



本来のブログ名
ランキング表のブログ名
日々是よろずER診療日々是よろずER診療@癌自然治癒??
東京日和@元勤務医の日々東京日和@がんは自然治癒しません!
よっしぃの独り言よっしぃの独り言@癌、自然治癒しないから
勤務医 開業つれづれ日記勤務医 開業つれづれ日記@癌が自然治癒?
天国へのビザ天国へのビザ@癌は自然治癒しません!!
産科医療のこれから産科医療のこれから@癌自然治癒しないもん


いずれも医療ブログ界では押しも押されぬ人気ブログですが、@以後に本来のブログ名と異なるメッセージが入っているのが分かると思います。微妙に表現が違いますが、
    癌は自然治癒などしない
この事をブログ名で訴えています。医師でなくとも、当たり前の事といえば当たり前の事なんですが、あえてタイトルにまで出して訴えているのは4位のに対する抗議です。

内容はお読みになられて御判断頂きたいのですが、私もこのブログが主張する内容には同意しかねます。もちろん医学は多種多様の主張が自由に許される科学であり、時にトンデモ学説が幅を利かす事もあります。自由に主張できるのは確かなんですが、逆に自由に反論する事も許されているのが医学です。主張と反論を繰り返し、しっかりとした検証を経て耐え抜いたものが医学の標準として確立されます。こういう事は医学だけではなく、自然科学全般に行なわれている作業です。

許されると言う意味で

    がん・白血病は自然治癒する!薬で殺される ?現代医学は矛盾だらけ!様々な難病の自然治癒症例を紹介しています。
この主張も唱えるのは可かも知れませんが、現在確立されている医療の常識において大きく反する事であり、当然のようにこれに対し反論、批評する事も可能です。

まず主張されている「がん・白血病は自然治癒する」ですが、そういう事があるかと言えばあるのが医学です。実際にそういう奇跡に近いことを経験された医師は少なく無いかと思います。私も無いとは言えません。奇跡の治癒としては、祈祷や、御聖水、アガリスクの類で治癒された方も確実に存在します。これらのケースは医学では合理的な説明がつかず、医師をもってしても「奇跡だ」と言うしかないケースです。

そういう経験があるから、医師はどんなに重症例でも治療への期待を捨てません。時に医学常識を覆す、信じられないことが起こるからです。例えとして悪いかもしれませんが、ビルから落ちて、途中に樹木や、ビニール看板があったりして軽症に終わる方がおられます。これは奇跡と言うより偶然かもしれませんが、同じ場所から飛び降りても、同じ結果が常に得られるわけではありません。むしろそうでない結果が起こる方が圧倒的に多く、ましてや「ビルから飛び降りても常に大丈夫」とは絶対に言えません。

このブログは「ビルから飛び降りて、奇跡的に助かった」ケースを「ビルから飛び降りても常に大丈夫」と主張しているブログと私は判断します。つまり、

    ビルから飛び降りても助かった人がいるから、安心して飛び降りてください
こういう事を大真面目に主張されれば、良心的な医師であるほど反論しますし、そういう主張が世に蔓延する事を懸念します。ブログランキングの上位の医師ブロガーたちも苦々しく思い、ブログ名にて反論を行なっているのです。なぜにブログ名でということなんですが、このブログはコメントもTBも許さない構造になっているのです。直接コメント欄で反論したいのですが、これができないために、せめてランキングの前後でメッセージを発信することで注意を喚起している行動と考えます。

ここ1週間ほどでこの抗議運動は広がっていますが、どうもこのことに気がついたらしく、これに対する反論を9/7付のエントリーにて行なっています。長いですが引用しておきます。

≪がんは治らないというブログについて!≫

 すでにお気づきの方もいらっしゃることと思いますが、最近「がんは自然治癒しない」という主観で書かれたブログが目立っています。

 これは明らかに「がんは自然治癒する」というブログに対する批判行為であるようにも思われます。

 しかし、実に面白い現象だと思います。

 第一に、彼らは、がんという病気を本当に治らない病気だと思いこんでいる無能な医者だということです。

 また、本当に今の医学者の中に「がんを治せる医者が居ない」ということを彼らが自ら認めているということにもなります。

 それは、古い西洋医学の理論に洗脳されているという事実を証明しているようなものです。

 ですから、石原都知事が全国に先駆けて「メディカルスクール」をつくり、患者の求めている医療を提供できる医者を養成すると決断したのです。

 柔軟性があれば、今の教育制度の中でも十分改革はできるはずです。しかし、柔軟性がないために話合いができないのです。

 そのためにまったく異なる視点に立って新しい医学教育を行うことにしたのです。

 東京都の決断は患者が望む医療を行うもので唯一正しいものです。東京都の医学教育改革が全国に影響を与えるまでにはそう時間を要しないはずです。

 「患者の希望を無視してきた従来の医学者には期待できない」という東京都民の生の声が具体的な形になるのです。

 愛知県でも、私のような考え方に共鳴してる方が大勢おります。

 実際に、愛知県の大府には、県の所有する土地がたくさんありますし、新しい医療教育のために土地を提供することは可能であるとまでいわれています。

 近い将来日本の医学界に激変が起こることがわからない「感度の悪い頭脳集団」ということを彼ら自身が証明しているようなものです。

 明治の異変について行けず、「朽ちた幕府の役人」のようなものです。

 よって、彼らの存在は、時間が自然淘汰してくれるはずです。

 今日もまた沢山の人の中で、がんは自然治癒しています。

 その主役が健全な働きをする免疫細胞ですし、腫瘍壊死反応を起こす部隊なのです。

この反論に対し、頭に血が逆流された医師は多いかと思いますが、あえて一点だけ取り上げておきたい思います。

ですから、石原都知事が全国に先駆けて「メディカルスクール」をつくり、患者の求めている医療を提供できる医者を養成すると決断したのです。

 柔軟性があれば、今の教育制度の中でも十分改革はできるはずです。しかし、柔軟性がないために話合いができないのです。

 そのためにまったく異なる視点に立って新しい医学教育を行うことにしたのです。

 東京都の決断は患者が望む医療を行うもので唯一正しいものです。東京都の医学教育改革が全国に影響を与えるまでにはそう時間を要しないはずです。

 「患者の希望を無視してきた従来の医学者には期待できない」という東京都民の生の声が具体的な形になるのです。

この部分は通常の読解力があれば、石原都知事がこの自然医学総合研究所の主張を受け入れ、この方針を「メディカルスクール」にて教育し、「がんは自然治癒する」をがん治療の基本方針として東京都民に積極的に行なうと解釈できます。具体的に都知事の名前を挙げられていますので、医学界はこの真偽を都知事に公式に問い合わすべきです。

問い合わした結果、本当に都知事がそういう方針であるならば、医学界を上げて抗議すべしです。東京都民の皆様も、癌になっても「自然治癒」方針が基本の癌治療しか受けられなくなります。

都知事がこれを否定した場合、この研究所は都知事の名前を騙っての虚言を呈した事になります。これはどう考えても大きな犯罪行為であり、詐欺に当たるとしても言い過ぎではないでしょう。私はしがない町医者ですが、日医ルートで石原都知事への問合せの方法を摸索してみます。ここを読まれた方で、この自然科学研究所の主張に同意し難く、さらに都知事への問合せルートをお持ちの方は是非ご協力頂きたいと思います。