御謹製同意書

最近ssd様のところからのパクリ引用が多くて心苦しいのですが、盗作と言うより協賛と御理解願って話を進めます。お題はこりゃひどいです。

ssd様がモトネタとして引用されたのが救急救命士業務拡大に関する会員からのお問い合わせについてです。これは救命士の挿管練習につき、麻酔科学会が会員からの問い合わせに対し理事長名で回答したものです。ssd様は全文引用されていますし、リンク先を参照されても良いかと思いますが、かなり興味深い内容です。少々長いですが、一読の価値はあるかと思います。

内容の細かいところに順次噛み付いても良いでしょうが、ssd様がザックリと切り取った2点のうち1点を取り上げたいと思います。

これについては『総務省と麻酔科学会名でインフォームドコンセント用の書類を配布していただけるとありがたいのですが』とし、『現場の担当者のみの説明でなく、厚生労働省消防庁そして麻酔科学会名の説明書が欲しいのです』という会員からの要請に対してのものです。個人的には「無かったのか」と驚きましたが、あった方が良いだろうと素直に思います。

これに対しての公式回答があります。直接回答したのは厚生労働省医政局指導課北島指導官で、総務省消防庁救急救助課長吉崎賢介課長も同意されておられると言う事です。この回答の前に麻酔科学会は名前を出してよいとのスタンスを示していますから、二人の回答は残りの責任の生じる役所からのものになります。

    インフォームドコンセントについて回答させていただきます。研究班会議の際にも申し上げましたとおり、インフォームドコンセントは医療の一環ですが、取り方については、病院の裁量となっており、役所が決まった様式を出すと医療関係者からおしかりを受けるようです。ですから、研究班でかなり具体的なものを出していただいたのが、ぎりぎりのラインだと思っております。この報告書をぜひご活用いただきたいと思っております」
個人的には前々から疑問があったのですが、いわゆる同意書の書式です。同意書は取ったからといって免責にはならず、無ければ鬼の首を取ったようにバッシングされる書類です。これを取るには相当な手間と時間が必要なんですが、とくに訴訟時にもう少し価値が高くならないかと考えていました。価値を上げる方法を法律関係者に質問した事があるのですが、弁護士を以ってして有効な方法は無いと回答された記憶があります。

法律のプロである弁護士が方法は無いというのなら仕方が無いと思っていましたが、この問合せにある責任官庁の名前を連名で出し、書式をそろえると言うのはうまい手だと感じます。法的にはどれほどの価値に変わるかは私では正確に評価できませんが、医療の同意書に厚生労働省の名前が入れば重みは相当変わるように思います。

ところが今回の救命士の件と同様になるのでしょうが、これは強力に反対されているそうです。厚生労働省医政局指導課北島指導官の回答を読めば、厚生労働省は別に出す分は構わないのニュアンスを漂わせていますし、反対しているのは官庁ではなく「医療関係者」であると明言されています。医療関係者が反対するから厚生労働省の名前入りの公式同意書は作れないとの御回答です。

そうなると医療関係者さえ同意すれば、厚生労働省の名前入り御謹製同意書はいつでも出来上がるわけです。もちろん厚生労働省御謹製となれば、下手すると生命保険の約款ぐらいの凄まじい量の同意書になるかもしれませんし、御謹製同意書有識者会議で猛烈な極論が吹き荒れて、愚にもつかない代物になる危険性もあります。しかし訴訟地獄のこの御時世、手間と時間を食っても同意書の法的価値が高まるのなら、デメリットを補う可能性もあるようにも感じます。

メリット、デメリットの評価が微妙ですが、皆様の御意見お待ちします。