運命の恋

運命の恋(第13話):マナへの相談

諏訪さんの件について相談するにも思いつくのは一人だけ。そうマナしかいない。つうか気軽に話せる友だち自体がマナしかいないようなもの。それはともかく、まず罰ゲームが起こってそうなことを話すと、「罰ゲームは危険なゲームなのよ」 危険と言うより残酷…

運命の恋(第12話):罰ゲーム

陽キャグループが好きな遊びに罰ゲームがある。ある種の王様ゲームみたいなものだが、他愛もないゲーム、たとえばババ抜きで負けたら、予め約束されていた行動を強制される遊びだ。 ボクが知っているのなら好きな異性を教えるもあるが、ああいうゲームはエス…

運命の恋(第11話):時季外れの新入会員

文化祭の準備を除けば歴研の活動はルーズ。とりあえず月・水・金は活動日になってるが、出席義務があるわけでなく、火曜や木曜でも気が向けば図書室に通っているぐらい。活動と言っても机で好きな本を読むだけだし。 ボクは月・水・金の活動日だけ出席して後…

運命の恋(第10話):文化祭

夏休みが明けると歴研は秋の文化祭準備に突入。これに従って道場の方もだいぶ減らさせてもらった。マナがなんて言うか心配だったけど、「文化祭が終われば冬休みも春休みもあるから、だいじょうぶ」 正月もやる気まんまんだ。そんなにボクを鍛え上げて何させ…

運命の恋(第9話):悪夢のカイボウ

道場でのスパルタ稽古に耐え抜けた理由として、幼馴染のマナとの会話の楽しさはある。道場のメシに胃袋を掴まれたのもある。五十鈴さんが強い男が好きだと言ったのもある。でもそれだけじゃない。 それだけでは陰キャのボクでは続かないし、そもそも空手道場…

運命の恋(第8話):夏休み

高校に入学してから、ボクの周囲が変わって行くのを実感している。両親が離婚して一人っきりにさせられたのがどん底で、そこからやっと好転している感じかもしれない。教室では相変わらずだけど、歴研はあるし、諏訪さんとの帰宅の時の会話も続いている。 も…

運命の恋(第7話):波濤館流空手

マナの道場は波濤館流空手と言う。ジャンル分けすれば実戦空手になるそうだ。実戦空手と言えば極真空手が有名だけど、まったく別系統のものらしい。段級も変わっていて、 初級 → 中級 → 上級 → 黒帯 たったのこれだけ。この手の道場経営は段級の試験料とか、…

運命の恋(第6話):出来心

同じクラスにいるから聞こえてしまったのだけど、誰かが五十鈴さんに、「美香さんも男は強い方がイイと思うよね」 「ええ、男は強くあるべきかと。でもその強さは必ずしも・・・」 後の方は聞き取れなかったけど、五十鈴さんも強い男がやはり好きなんだとわかっ…

運命の恋(第5話):歴史研究会

ボクのクラスでの地位はボッチの陰キャ。それは今さらだけど、クラスの女子にもボッチの陰キャがいる。それが諏訪理子さんだ。じゃあ、陰キャ同士で仲良くなるかと言えばそうはならない。 この辺は陰キャもバラエティがある。陰キャでも隠れオタクの同志愛で…

運命の恋(第4話):五十鈴さん

教室に新たな机が運び込まれていた。どうも転入生があるらしい。転校はボクも何度も行ったが高校でも転校があるのに驚いた。翌朝のHRに教師に引き続いて入って来た転入生を見て、『おぉぉぉ』 こんなドヨメキが起こった。ボクだって目が釘付けになるぐらい…

運命の恋(第3話):高校入学

ボクが入ったのは隣町にある旧制中学以来の県立校、田舎なりの進学校ぐらいだ。校内には歴史を刻む石碑があり、それが百周年記念なのはわかるが、他に何が書いてあるかわからないぐらい古びていた。伝統校らしいものはたとえば校歌。『見よ、天高く輝く母校 …

運命の恋(第2話):家族

ボクは一人っ子。一人っ子は寂しくないかとよく聞かれたが、兄弟とか姉妹がいる生活自体を知らないから、その辺は良くわからない。ただ転校を繰り返す中で兄弟姉妹がいれば少しは違ったかと思わないでもない。 両親も一人しか作らなかった理由はわからない。…

運命の恋(第1話):ボッチ

ボクは氷室淳司。ボクの幼い頃は活発なガキだったと思う。今どきならゼロ歳児から保育園に預けられるなんてポピュラーだけど、田舎なのもあって幼稚園に行ったのも、いわゆる年長さんになってからの公立幼稚園だけ。 その代わりに近所の子どもたちと朝から、…