天使と女神シリーズ外伝11

純情ラプソディ:第8話 県予選

ついに迎えた県予選。ヒロコにとっても全国への最後のチャンス。会場は西宮学院附属高校だった。ヒロコたちはこの日のためにユニフォームを作ったんだよ。高校カルタのユニフォームと言っても規定は、『競技時の服装については、対戦者並びに観戦者に不快感…

純情ラプソディ:第7話 段級制

競技カルタの実力判定の目安に段級制があるのよね。 E級・・・無段 D級・・・初段 C級・・・二段 B級・・・三段 A級・・・四段から八段 カルタの世界で段位は実力を現し、級はその実力で参加できる大会のレベルを現しているぐらいかな。もっともE級無段からB級三段ま…

純情ラプソディ:第6話 取り

取り方は六種かな。まずは基本中の基本の払い手。左右に薙ぎ払って札を吹っ飛ばす。ヒロコも最初はこればっかり練習してたもの。札の記憶時間は十五分だけど、最後の二分は素振り練習が出来るのだけど、そこでもみんな払い手の素振りをやってるぐらい。 競技…

純情ラプソディ:第5話 札押し

決まり字を把握するのは戦略だけど、この戦略に基づいて取りに行くのが戦術かな。まず基本中の基本は札の配置を覚える事。「とりあえず自分の持ち札を記憶していないと始まらない」 とはいえ二十五枚もあるから容易じゃない。だから札の種類による並べ方の基…

純情ラプソディ:第4話 決まり字

石村先生にはそれこそ競技カルタのイロハから教えてもらったようなもの。それぐらい明文館競技カルタ部のレベルは低かったんだよ。なんとなく先輩のやり方を見て覚えたんだけど、その先輩もさらに先輩のを見ただけで、まともに競技カルタを知っている人がい…

純情ラプソディ:第3話 明文館高校競技カルタ部

明文館は里崎先生が言った通りにまさにワンダーランドだった。間違いなく高校だし、それも県立の旧制中学以来の伝統校のはずだけど、こんな学校が存在するのが冗談みたいなところなんだ。 どう言えば良いかわからないけど、学校に通ってると言うより、USJ…

純情ラプソディ:第2話 里崎先生

担任の里崎先生は変わり者。言葉遣いはぶっきら棒だし、髪はボサボサで服装はいつも空色の小汚いジャージ。近づくとなんか変な匂いがして、見るからに不潔って感じがプンプンしてた。英語の先生だったけどあだ名は、『なげやりの里崎』 ホントにやる気が無く…

純情ラプソディ:第1話 生い立ち

ヒロコの記憶の始まりは幼稚園時代かな。家は幼心にも大きかった気がする。ただ楽しい場所だった思い出は無いのよね。ひたすら冷え冷えして、陰鬱なところぐらい。そこでは、お母ちゃんだけでなくヒロコも殴られたり、蹴られたりが日常だったのは今でも忘れ…