天使と女神シリーズ外伝11

純情ラプソディ:第38話 達也の誕生日

今日は達也の誕生日。これまでのデートは心苦しかったけど達也の財布に頼ってた。全日本選手権までそうなったのも、さすがに気になってる。だから今日ぐらいはヒロコが御馳走して祝おうと思ってた。 でも、ヒロコの財布も寂しいものがあって、達也に満足して…

純情ラプソディ:第37話 全日本選手権

電車で五時間揺られて勝浦に到着。東京行くのに使った夜行バスより短いけど、特急代をケチらなくて良かったと思った。荷物を早瀬君が手配してくれた駅前のビジネス・ホテルに置いて大会会場のホテル浦島に偵察に。「船で渡るのですか」 「みたいだね」 こり…

純情ラプソディ:第36話 個人戦の展望

カルタの個人戦の全体がどうなっているかだけど、とりあえず俗に三冠とされる大会がまずあるかな。 ・全日本選手権 ・全国選抜 ・女流選手権 いずれも劣らぬメジャー大会で、優勝すれば普通の公認大会の二倍の十六点がA級得点として与えられる。それだけで…

純情ラプソディ:第35話 セレブの家

達也は三歳の時に実母を亡くしてるけど、後妻が来たのは十歳の時。これも、「あれは出来婚だったんだろうな。結婚して三か月で弟が産まれてるし」 どういう経緯で後妻を迎えたのかも意図不明だって。「達也も思春期を迎える頃だから、それで継母と衝突した」…

純情ラプソディ:第34話 家系伝説

あの夜にヒロコは早瀬君の彼女になり、早瀬君の事も、「達也」 こう呼ぶことになったんだ。まだぎこちないけど、なにか嬉しい感じ。もちろんヒロコって呼んでもらってる。サークル室でもそうしてるけど、「見せつけてくれるね」 「羨ましいったら、ありゃし…

純情ラプソディ:第33話 レアアース

やっと出番が回ってきました。エレギオンHD常務の霜鳥梢です。このまま出演無しで終わるのじゃないかとハラハラしてました。「コトリもやで」 「シノブも」 引っ込んでいて下さい。ここはミサキのターンです。「まあエエやんか」 「そうよそうよ」 日本の…

純情ラプソディ:第32話 返事

ヒロコは心を決めたよ。これ以上、早瀬君を待たせたくない。まあ、あのポチを引き連れた先輩どもが、『まだか、まだか』 こうやってウルサイのはあるけど、いくら冷やかされたって早瀬君は平気だし、ヒロコのために尽くしてくれる。あの秋の学祭に勇気をもっ…

純情ラプソディ:第31話 春爛漫

ヒロコも二年に進級。そうなると初々しい新入生も入ってくる。新入生と言えば、「新入会員の募集を頑張るぞ」 新入会員はあった、それも三人も。カルタ会にしたら上出来なんだけど、ちょっとどころでない問題が、「わたしたちカルテは初めてです。宜しくお願…

純情ラプソディ:第30話 全国職域学生カルタ大会

三月は全国職域学生かるた大会。東京で開催されてとにかく交通費がかかるやつ。リニアで行くのが一番早くて便利だけど、交通費だけで三万円超えちゃうのが問題。いくらカルタのためとはいえ学生に日帰り三万円は痛いよ。 青春十八キップも考えたけど、そうす…

純情ラプソディ:第29話 ものや思ふと人の問ふまで

今夜は片岡の下宿に遊びに来た。片岡と初めて会ったのは中学の塾の時。とにかく優秀な奴だった。そうそうカルタの手解きをしてもらったのも片岡からだ。自慢じゃないが一度も片岡に勝ったことが無い。そりゃ、A級五段だからな。 片岡とボクのキャラはかなり…

純情ラプソディ:第28話 女のための護身術

ここで雛野先輩が、「ムイムイも知ってると思うけど、松菱会は波涛館空手の流れだよ」 雛野先輩が空手に詳しいのが意外だ。でも女にも隠れ格闘技ファンが多いものね。まあ強い男に魅かれる女は多いし、エヘヘ、ヒロコだって粗暴な男は嫌いだけど、優しくて強…

純情ラプソディ:第27話 松菱会カルタ

ふと気が付くとみんな来ていて、この試合を見てた。梅園先輩が、「これは玲香クイーン。ようこそ港都大カルタ会に」 ク、クイーンだって。道理でどこかで見たことがあったものね。「ヒロコ、名前と大学で気づかなかったの」 それは我ながら情けないけど、ク…

純情ラプソディ:第26話 道場破り

今年のだいたいのスケジュールだけど団体戦は、 春・・・全国職域学生かるた大会 夏・・・全日本かるた大学選手権 秋・・・関西王冠戦 全国職域学生かるた大会は去年の夏はD級優勝だから、今年の春はC級優勝が目標。問題は全国職域学生かるた大会でこれが東京なのよ…

純情ラプソディ:第25話 関東の新星

正月の高松宮杯はヒロコは欠場。A級四段の免許がまだ届かなかったから。でも会員たちは頑張ってた。梅園先輩も雛野先輩もベスト・エイトに進んだもの。「雛野先輩、これでA級得点が六点ですよね」 「ありがと。でも怨念の運命戦が・・・」 準々決勝でまたもや…

純情ラプソディ:第24話 札幌杯

カスミンをカルタ会に連れて行くのは渋られた。でもなんとか引き釣り込むように連れ込んだんだ。こりゃ、梅園先輩が説得しても無理としか思えなかったけど、それはヒロコの責任じゃないよ。 カスミンが部屋に入ったら、片岡君は目をシロクロさせてた。気持ち…

純情ラプソディ:第23話 ポチ

梅園先輩の変わったところは、ベロンベロンに酔っていても発言を忘れない事。マジかと思うほど覚えてる。それはさんざん経験してるから、片岡君も早瀬君も誰かを騙して、これは失礼かな、詐欺にかけて、これも失礼か。ペテンにかけて、「倉科さん、人聞き悪…

純情ラプソディ:第22話 忘年会

「毎度のことだけど早瀬の店を選ぶセンスは良いな」 「まあ、これだけはちょっとな」 今夜は北野だ。なかなかオシャレで品が良いと思う。「梅園先輩には上品すぎないか」 「しゃべらなければ、ピッタリなんだが・・・」 それは言える。だがそこが梅園先輩の良い…

純情ラプソディ:第21話 困惑

早瀬君は良い人よ。見た目だって悪くない。そりゃ、飛び切りのイケメンじゃないかもしれないけど、背もそこそこ高いし、体も案外締まってるのよね。これも片岡君に聞いたのだけど、大学に入ってから筋トレとランニングを続けてるんだって。「すべて倉科さん…

純情ラプソディ:第20話 パフォーマンス

梅園先輩がみんなの前で、「今年の学祭はカルタ会の存在を全学に轟かせるのが目的」 轟かせたって会員が増えるとは思えないけど。「ヒナ、準備はイイ」 「もちろんよ」 雛野先輩がスマホにスピーカーを接続するとミュージックが流れ出し、二人が突然踊り出し…

純情ラプソディ:第19話 去年の学祭

港都大の学祭は秋にある。六甲台祭が正式だけど学生は台祭、つまり『だいさい』って呼んでるのよね。カルタ会も参加するはずだけど、「雛野先輩、去年はどうしていたのですか?」 「そりゃカルタ会だからカルタだよ」 それしかないか、「初心者向けの教室と…

純情ラプソディ:第18話 学生カルタ界

カルタ会の活動は公認大会への参加。これは二つ意味があって、まずは昇段・昇級のため。必ずしも昇級・昇段するのだけがカルタの目的じゃないけど、競技カルタでは級位によって大会で戦える相手が変わるのでA級四段はやはり欲しいものね。 もう一つはメジャ…

純情ラプソディ:第17話 しのぶれど

ボクは片岡岳、タケルと読む。今日は早瀬に是非相談があると呼び出された。早瀬とは学校こそ同じではないが、中学は塾、高校は予備校で同じだった。親友という言葉を安易に使いたくないが、それぐらい信用できる奴だと思っている。 そうそうカルタも高校で卒…

純情ラプソディ:第16話 第二外国語

カルタ会の方は前途は明るくなってるのだけど苦戦中なのは第二外国語。なんにしようかと思ったのだけどフランス語にしたんだ。英語が出来れば簡単そうじゃない。ところがギッチョン甘かった。 フランス語ってまず発音が難しいのよね。Rの発音とか、英語だっ…

純情ラプソディ:第15話 戦略と戦術

カルタの醍醐味は戦略と戦術が表裏一体になってるところで、読まれる歌への判断と反応が勝負のカギ。たとえば一枚札は七枚あるけど、すべて最初の文字が決まり字だからまさにスピード競争。これがとくに優れているのが梅園先輩。一枚札は、 むすめふさほせ …

純情ラプソディ:第14話 A級五段の価値

梅園先輩からは、「とりあえずヒロコはB級に早くなってね」 競技カルタには将棋や書道、珠算にもある級は無いのよね。他の競技とかなら初級とか十級ぐらいから始まって十階級ぐらい上に初段がある感じだけど、競技カルタなら初心者が無段で次がいきなり初段…

純情ラプソディ:第13話 梅園先輩と雛野先輩

新歓コンパの醜態こそあったけど、梅園先輩は格好の良い人。背も高くて一六五センチぐらいは余裕である。髪はショートにしてるけど、しゃべりさえしなければ知的美人なんだよね。試合の時なんかそうだけど、冴え冴えして冷たいほど綺麗って感じ。ありゃ、ホ…

純情ラプソディ:第12話 辛い思い出

二次会は高架下のカラオケ。大盛り上がりの梅園先輩だけど、ヒロコは雛野先輩とさっきのつづき、「ムイムイもあんまり話したがらないけど・・・」 一人になってまず直面したのはサークルの維持だって。サークルの存続条件はそれほどウルサクないらしいけど、一…

純情ラプソディ:第11話 サークル

大学に進んでサークルをどうしようかと思ってたんだ。貧乏だから入らないのもありだけど、やっぱり大学生活の花みたいなものじゃない。でもカネがかかるサークルは困るし、とくに得意なスポーツはないし、単なる飲み会要員じゃ意味ないしと迷っていたら、「…

純情ラプソディ:第10話 港都大

ヒロコが通っている港都大だけど、六甲山の麓のかなり高いところにある。そこがメイン・キャンバスで、隣接するように三つのキャンバスに分かれてる。法学部はその中でも第一キャンバスと呼ばれてるところなんだ。 そこに通うには阪急からの徒歩。結構な坂を…

純情ラプソディ:第9話 エレギオン愛育園

カルタが終わると大学受験一色の生活に入った。中学までは大学進学なんて夢の世界で、中卒で就職を真剣に考えていたぐらいだったもの。それが里崎先生のおかげで明文館に進学できたから大学進学が現実のものになったんだ。ヒロコが目指したのは港都大法学部…