天使と女神シリーズ7 氷姫の恋

氷姫の恋:二年の春

進級すれば組替えになるんだけど、掲示板の前が騒然となってた。 「こんな夢のようなことが・・・」 「でも、これはいくらなんでも・・・」 「でも現実やんか。どないなるかは怖すぎるけど・・・」 何事かと思って確認すると、ウチは三組だったんやけど、嬉しいことに…

氷姫の恋:三学期

家のリビングには体育祭の氷姫の時の大きなパネル写真が飾ってある。体育祭の後に写真部が小島とウチのコスプレ写真を、 『三大美人のコスプレ』 こう題して売り出したもの。三大なのに二人しかないのは、写真部には加納が入部しており、入部条件が加納のグ…

氷姫の恋:体育祭

ウチは写真とかで知っていたが実際に見る迫力は半端なかった。そろいのTシャツとか法被に身を包み、自分のクラスの観覧席は机を積み上げ仮設スタンドを作り上げていた。あれはクラスの机だけでは足りないはずだから、どこかから調達したんだろうが、驚かさ…

氷姫の恋:二学期

始業式の日に二学期の委員長を決めるんだけど、担任の奴いきなり、 「木村で異議ある者は」 そしたらクラスから一斉に、 「異議なし」 待ってよ、委員長は学期ごとの回り持ちのはずじゃないの。そしたらクルミが、 「委員長が委員長じゃないと、委員長と呼べ…

氷姫の恋:夏休み

七月には希望者対象の補講があるんだけど、ウチは暑いしやめとこうと思ったんだけど、テルミやサチコが誘うから行ってた。パターンとして、午前中は補講で、お昼ご飯食べて午後にプールで一泳ぎ、それから図書館で涼みながらお勉強。 学校の図書館は無暗に充…

氷姫の恋:校風

とにかく変な学校で、校内アイドル騒ぎも教室に押しかける程度じゃないのよ。なにがビックリしたかって購買部行ったら校内アイドル・グッズを売ってるのよ。ここは高校よ、それも県立校だよ、私学だってこんな学校が他にあるとは思えへんわ。それが、まあ結…

氷姫の恋:二組の坂元

テルミとサチコに教えてもらったんだけど、アイドルは男子にもおるらしい。三組や四組には女神様と天使目当てに男連中が相も変わらず押し寄せてるけど、二組には女連中が押し寄せてる。 「木村さん、知らないの」 「さすがは委員長だわ」 なんか褒められてる…

氷姫の恋:アイドル騒動

「木村さん、一緒に食べよ」 昼休みにウチの席に近寄って来たのはテルミとサチコ。明文館には学食もあるが、伯母は弁当を作ってくれる。これは中学からだけど、これまでずっと一人で食べてた。ところが高校では物好きにもウチと一緒に食べたがる人がいる。こ…

氷姫の恋:入学式

入学式は体育館で行われたが、校歌斉唱、校長挨拶、なにやら注意があり、その後に順番に名前を読み上げられるありきたりのもの。少しだけ気になったのは校長の挨拶で、 「わが校の校風は自主性と自由闊達です」 カビの生えたような伝統校だから『質実剛健』…

氷姫の恋:私は氷姫

「おはよう由紀恵さん」 声をかけたのは私の保護者。なにか持って回った言い方だけど実父母ではなく伯母、より正確には実父の兄の奥さん。実父は実母と仲が良かったって話だけど、ウチが覚えてる実父に良い思い出は何一つない。 実母はウチが四歳の時に妊娠…