天使と女神シリーズ1 天使と女神

第3部後日談編:ユッキー様の回想

カズ坊の野郎、だいぶ弱ってるな。時期からして仕方がないんやけど、アイツは天涯孤独みたいなもんやから、こういう時に優しく力づけてくれる奴がおらへん。最初はこのユッキー様がその役したろかと思たけど。あははは、ウチじゃ無理、役が違うわ。それにし…

第3部後日談編:氷の女帝

木村先生は自分の事をクール&ビューティと仰られてますが、私たちの中では氷の女帝と呼んでいます。あれは木村先生が赴任された頃のお話になります。当時の部長先生は腕もイマイチいやイマサンぐらいの上に、男尊女卑のセクハラ野郎でした。私たちも嫌がっ…

第3部後日談編:ある日の木村先生

「木村先生、指示お願いします」 しかしビックリしたなぁ。まさかこんなところでカズ坊に再会するなんて。かなり危なかったけどもう大丈夫のはずや。だいたいやなぁ、医者がスクーターなんか乗ったらあかんやん。今度みっちり説教したろ。ふふ、今やったら言…

第3部後日談編:事故

「ドッカーン」 人生が終わる時には走馬灯のようにその一生が一瞬に見えるっていうけど、まさにそんな感じ。ふっとばされて着地するまでの間に全部見えた気がする。もっとも落ちてからは意識不明になって忘れちゃったけど。後から聞いた話だと、横から飛び出…

第3部後日談編:みいちゃんの10年

「あれが失敗になるとは、人生はわかんないものね」 あの時は正しい選択だと確信していたの。エリートで、将来有望で、実家はお金持ちで、そのうえ優しくて、ハンサムで。そりゃ和雄君も優しかったけど、もっと大人の包容力があったと思ったの。力強く抱きし…

第3部後日談編:コトリの部屋にて〜コトリの休日

■コトリの部屋にて あぁ、今日も忙しかった。ここのところ出張やら、休日出勤やら、研修会やらでゆっくりできませんでした。やっと明日はまともな休日、ちょっと気分転換したいなぁ。こういう時に山本君がいたら、あっちこっち連れて行ってくれるのに。本当…

第3部後日談編:シオリ先生

「先生、スタンバイできました」 シオリ先生は凄いよな。先生の写真は独特のアングルと光の取り入れ方に特徴があるんだけど、光の使い方がとくに凄いんだ。あれだけは誰にも真似できないんだ。写真雑誌に『光の魔術師』なんて書かれたことがあるけど、あれっ…

第3部後日談編:独り酒

「マスター、ホワイト・レディ作って」 それにしても『カズ君』には参ったな。やっぱりシオはイイ女だよ。あんなイイ女があれだけやつれてたら、なんとかしてやろうと思わない男はいないんじゃないかなぁ。それでも転がり込んで来た時にはホントにビックリし…

第3部後日談編:シェリー・バーにて

食事の後に飲みに行こうとコトリちゃんに誘われたけど『クライアントとの顔合わせ会』があるって断っちゃった。ちょっと独りで飲みたくなったの。行ったのは私にシェリーの美味しさを教えてくれたバー、そう今夜はシェリーの気分。 「辛口でお願い」 カズ君…

第3部後日談編:シオリの引きずる過去

今日はコトリちゃんが会いたいとの事でお食事会。 「ところでみいちゃんは何か言ってた」 「えっと、会えて嬉しかったって」 「他には」 「うんと、うんと、次に返事をもらうんだって」 あちゃ、みいちゃん、やっぱり本気だ。 「返事ってやっぱり・・・」 「う…

第3部後日談編:封印された記憶

アメリカの撮影旅行は成功、我ながら良い写真が撮れました。今の成功も山本が助けてくれた部分は大きいの。生活も助けてくれたけど、写真もなんだ。写真ってシャッターを押せば誰でも撮れるだけに競争が激しくて、もちろんプロならはではの構図とか色出しも…

第3部後日談編:旧友〜酒場にて

■旧友 「こら、勝手に電話を切るな」 私は山本が旧友としか呼んでくれない加納志織。みんなからは『シオ』とか『シオリ』って呼ばれてる。職業はアーティストです。売れなくて苦労したけど、ある写真展の成功でようやくフォトグラファーとして軌道に乗りかけ…

第3部後日談編:電話

■プロローグ もてない男山本は、バーで独りわびしく飲んでいました。そこにつかつかと見知らぬ女性が近づき、親しげに声をかけてきます。どうにも見覚えのない女性でしたが、話してみると高校の同級生らしいことがわかってきます。 その女性は山本の事をよく…