天使と女神シリーズ18 エミの青春

エミの青春:温泉長者の夢

お父ちゃんがユッキーさんと何か話し込んでる。 「・・・無理よ」 「いや、温泉は掘ればどこでも出る可能性があるって聞いたことがある」 「それはウソじゃないけど・・・」 昔からの温泉は、それこそ自然にお湯が湧いてるところだけど、最近の温泉は新たに掘削し…

エミの青春:宝仙寺の住職さん

うちのレストランの売りは、 『美味い、早い、安い』 お昼だけでなく夕食も繁盛中。さすがに三時頃になるとヒマになりそうなものだけど、今度は喫茶店みたいな感じになって、近所というか、この地区の人のたまり場みたいに良くなってるんだ。とくに日曜なん…

エミの青春:クラブ建設秘話

北六甲クラブの敷地は借地。お父さんが乗馬クラブを始めるために足を棒にして見つけてきたところ。 「資材置き場やってんや」 北六甲といってもかなり宅地開発されてるんだけど、この辺はそんなものから取り残されたところ。田んぼの奥の奥の行き止まりみた…

エミの青春:気になるお客さん

最初に来たのはシノブさんだった。伊集院さんと一緒だったんでビックリしたもの。続いてシノブさんと一緒にユッキーさんとコトリさんが来たんだ。三人とも二十歳過ぎぐらいに見えたから学生と思ったら会社勤めだって。 この三人は若いのも目立つけど、とにか…

エミの青春:疑惑

エミは高校には合格したんだけど、通い始めてすぐに、家が貧乏な事を理由にイジメに遭っちゃったんだ。最初はお母ちゃんに相談したんだけど、 「お父ちゃんが、エミを高校に行かせるのにどれだけ苦心してるのかわかってるの」 こんな調子で取り合ってくれな…

エミの青春:小林家

お父さんにどうして乗馬クラブを始めたか聞いたことがあるんだけど、お父さんのお父さん、つまりお祖父ちゃんが馬好きだったらしい。もっとも乗る方じゃなくて賭ける方。 「子どもの頃にお出かけ言うたら競馬場やった」 そこで見ていた騎手に憧れをもったぐ…

エミの青春:エミ

「五番テーブルさん、サービスと御飯大盛り、かつ丼に豚汁、あがったよ」 「は~い」 ここは北六甲乗馬クラブ・レストラン。料理を作っているのはお母ちゃんで、エミはウエイトレス兼なんでも屋。とにかく時分どきは目が回るぐらい忙しいんだ。 「エミちゃん…