ツーリング日和8(第15話)今夜の宿

 聖地巡礼が終わったから走るで。結衣が、

「これから、どこ行くのですか」

 言うてへんかった。つうか言うてへんのに付いて来るか。基本はひたすら西に向かうねん。今日はユッキーの趣味で温泉や。そのために竹原からまず東広島に向かう。

「そこから広島を抜けていくのですね」

 広島はパスする。市街地走行はすかんし、瀬戸内沿岸はトラウマでパスや。岩国から新門司に抜けた時にエライ目に遭うたからな。そやから広島市の北側を抜けてく感じになる。ちょうど日本海と瀬戸内海の真ん中ぐらいを走って行くんやけど、千葉の人にはイメージしにくいやろな。

「どれぐらいかかります?」

 ナビ上で百七十キロで四時間ぐらいになっとる。今が十一時やから午後の五時ぐらいには到着したいとこや。後は走ってみんとわからん。まず竹原から国道四三二号で東広島に向かう途中で国道二号に入るで。

 東広島市街を抜けたあたりで今度は県道四十六号で北上や。これは県道五十四号にぶち当たるから、これを南下や。可部で国道一九一号に入って、

「この辺は混んでるね」

 しゃ~あらへん。これ以上の迂回は無理や。広島市内抜けるよりマシと思うて。この道も国道が重複してるけど国道一八六号に変わって、

「市街を抜けたら快適だ♪」

 ここまではエエねん。少々渋滞もあったけど道は間違いにくい。

「周南、錦の方に曲がるで」
「国道四三四号ね」

 国道四三四号やねんけど、これも酷道やねん。この辺は快適やねんけど、

「これって落差あり過ぎじゃない」

 山口の県境で道がゴロッと変わる。これまでの二車線から一気に一車線半、下手すりゃ一車線やねん。結衣が、

「ギャ、路面がこれは・・・」

 KATANAやったらまだマシやろうが、コトリらのバイクやったら吹っ飛びそうやわ。かなり荒れてるで。ヘアピンもキツイわ。この辺が岩国と廿日市を結ぶ松の木峠で標高が七七六メートルあるねん。旧街道を無理やり広げて車道にしたんやろな。

 中国自動車道を潜ったら、こんなとこに集落があるやん。それにしても路面が悪いわ。そやのにそこそこクルマが来るから厄介や。それでもやっと二車線になってくれたみたいや。そろそろあるはずやが、

「トイレ休憩にするで」

 なんやろここ。公衆トイレは整備されとるし、駐車スペースはそこそこある。トイレの両側にある建物は農産物の直売所でもあったんやろか。

「自販機ぐらいあっても良いのにね」

 問題はこの先やねん。国道四三四号は岩国まで行ってまうねん。今日の目的地に行くためには、途中から県道一二〇号に入らなあかんねん。ストリートビューで確認したんやが、道路案内もあらへんねん。

「県道のストリートビューさえないもんね。ナビの罠じゃない」

 可能性は十分ある。つうか、ストリートビューも撮ってへん道をガイドするなよな。とりあえずキャンプ場があるとこまで進むで。

「ここじゃない」

 みたいやな。なんか看板ぐらい挙げとけよな。もうすぐやねんけど、ここやな。結衣が、

「ここを本当に走るのですか?」

 気持ちはわかるが、ここを通られへんかったら、かなり遠回りになってまうんよ。覚悟決めて行くで。こりゃガチの険道やな。そやけど距離はたいしたことないはずや。

「ガードレールまで色が変わってる」

 ホンマや黄色や。錆びてるんかと思たら塗ってあるわ。

「抜けたみたいよ。家がある」

 良かった、助かった。結衣のKATANAもよう頑張った。しばらく走ったら道も二車線じゃ。あとはだいたい一本道のはずや。六日市を抜けて、川沿いに北上して、どっかで右に入るはずやけど、

「松乃湯の看板のところを入るで」
「了解」

 ここやな。駐車場が広いのは嬉しいな。結衣が、

「ここですか?」

 そうや、昨日より宿らしいやろ。そやけどなんて表現したらエエのやろ。

「う~ん、やっぱり田舎の公民館の古いやつ」

 そう見えてまうもんな。あの暖簾があらへんかったら、ただの家、それも昭和の家やな。こんなんも楽しいで。受付で挨拶したら部屋に案内してもうてんけど、新館ってやつやな。小綺麗に整ってるわ。

「ここはなんていうところですか」

 見てへんかったんか。木部谷温泉や。山口の秘湯の一つぐらいに思うたらエエ。

「そうよ、ここの温泉は入る価値ありよ」

 百聞は一見にしかずや。風呂もおもろいシステムやな。ここは正確には温泉やのうて鉱泉やねん。こういうとこは炊いて温めてるもんやが、風呂場で蒸気で温めるみたいや。これがすぐに熱くなるんやが、そこに冷たい鉱泉を流し込んで調節するみたいや。

「ここも炭酸泉だけどお湯の色が良いよ」

 良く言えば金泉、悪く言えば泥水やけど、いかにも温泉って感じは嫌いやない。風呂から上がったら、本館でメシや。

「これはなかなか・・・」

 高級旅館の懐石と違うて、ここの女将の手作りやて。地のもん活かしてるのやろな。結衣が料金を心配しとるけど一泊二食で八千円や。メシ代考えたら民泊とあんまり変らんで。

「全然違うよ。温泉があるんだから」

 山の中の一軒家の秘湯には遠いけど、穴場的な秘湯ぐらいは言うてもエエと思う。とくにあの温泉つうか風呂は秘湯の名に相応しいとして良いやろ。

「食事も合格よ」

 女将の心づくしが伝わってくるもんな。こういう宿は好きや。豪華な食材の豪華料理にも余裕でタメ張れるで。結衣かって、

「ここは良いですね」

 パクついてるやんか。これもツーリングの醍醐味やな。

ツーリング日和8(第14話)聖地巡礼

 向島から尾道は尾道水道を挟んで目の前や。どうやって渡るかやけど、

「一緒に行きましょうよ」

 向島から尾道に渡るには高速の新尾道大橋の他に尾道大橋と渡船があるねん。コトリらやったら渡船が便利やねんけど、結衣のKATANAは乗れんからしょうがあらへんか。尾道大橋を渡るのも一興や。橋を渡って国道二号線に入り山陽本線を右に見ながら走って、

「ここの信号で線路潜るで」
「栗原って方ね」

 すぐのはずやけど。

「ストップや」
「あの時計だ」

 ヒロインがタイムスリップした時に逆回転した時計があれや。映画の時に塗り替えたらしい。ここからは次の角を右に入るはずや。これは細いわ。この辺に停めさせてもらお。結衣のKATANAが邪魔やけど目を瞑ってもろとこ。

 歩いて行って突き当りが艮神社や。ここはタイムトラベル中のヒロインが、両親に連れられた幼い自分に会うとこや。

「そこで思い出すのよね」

 そうや。ここでヒロインは神隠しみたいに一時的に消え失せてまうねん。これは過去の自分に会えないの時間旅行の法則を知るシーンや。

「この大楠のとこだよね。それとこれなんだ」

 そうやここが土曜日の実験室を目指してヒロインが走った小道や。ほいでもって艮神社の隣が金山彦神社で、ここはタイムトラベルをするヒロインが降り立ったとこや。艮神社から引き返して、

「次はタイル小路ね」

 やめとく。あそこはヒロインが地震の後の夕暮れに下駄を履いて歩くシーンで有名や。聖地巡礼のファンも押しかけてたんやが、住民にしたら迷惑やんか。それこそ大問題になって今は剥がしてもたそうやねん。

「そうだったんだ。来るのが遅すぎたか。じゃあ次は深町の家」

 あれもやめとこ。あれは森谷南人子って言う日本画家の御屋敷やってん。映画では上原謙と入江たか子の老夫婦が住んでいて、タイムトラベルのカギになるラベンダーが育てられていた温室もあった。

「あの温室はセットだったのよね」

 そやけどタダのセットやない。廃病院にあったのを運び込んで組み直したものや。それとヒロインの通学路のシーンもこの家の庭なんが多いんよ。そやけど取り壊されて空き地しかあらへんねん。

 この先にヒロインと深町が一緒に歩いた竹藪の小道もあるんやけど、今は面影も残ってへんらしい。さらに言うたらヒロインの家も取り壊されてもとる。

「そうなんだ。まだ聖地巡礼の走りの時代だったものね。場所も場所だし、個人の所有物だったから何もしなかったのね」

 観光から見ればもったいない話や。まあ、観光言うても、それで儲かる人と迷惑する人がおる面がある。寺や神社やったらまだしも、民間の家だとかになると暮らしにも支障が出る。観光客が集まるだけやったっらゼニにならんもんな。

「もしかして聖地ってこれだけ?」

 まだある。学校や。このちょっと先やけど、学校には入られへんから反対側の柳水の井戸のとこに行って、

「あの学校だ・・・」

 これはコトリも調べて知ったんやが、あの学校は高校やなくて小学校やってんよ。そやからロケの時には高校生のエキストラを動員して、あの弓道場もセットでわざわざ作ったことになる。撮影期間は春休みやったから出来たんやろうけど、

「どうして素直に高校にしなかったのだろう」

 そんなもん大林宣彦に聞いてくれ。あえて考えれば、時をかける少女の尾道のロケ地はこの一角だけや。撮影の手間を軽くしようとしたぐらいは言えんこと無いけど、

「あのね。時をかける少女の聖地は尾道だけじゃないじゃない」

 そうなんよな。竹原に移動や。尾道の西隣が三原で、竹原はさらに隣や。一時間もかからんぐらいで着いてくれた。ここは歩いた方がエエねん。

「この街並みって通学路の」

 いかにもって感じの古い街並みが続いてるねん。ヒロインの通学シーンはいくつかあるけど、この街並みのシーンは印象的やった。

「そうかもね。これがなかったら、ヒロインの通学路って路地ばっかりになっちゃうもの」

 それでもって、ここやな。

「そのまま堀川じゃない」

 つうかこっちに合わせたんやろ。筒井康隆の原作やったっら吾郎の苗字は浅倉やし家は荒物屋や。ここもロケに使うたはずや。ここから西方寺に行くで。

「これもヒロインが通う通学路じゃない」

 西方寺から戻ってきて、この街並みの突き当りにあるのが、

「地震のシーンで屋根瓦が落ちて来るところ」

 胡堂というらしい。大林監督が使いたくなる気持ちはわかるな。竹原だけでも映画が撮れそうなもんやけど。故郷の尾道にこだわってんやろか。

「それもあるだろうけど、ここからじゃ海が遠いからじゃない。それと路地のシーンは欠かせないよ。竹原にだって路地はあるだろうけど、大林監督は尾道の路地を撮りたかったんじゃないかな」

 かもな。それとやけど、映画のシーンからすると、やっぱりヒロインの家、深町の家、それに学校がドラマの舞台になる。竹原ロケは短期やったんちゃうかな。早めやけど昼にしょうか。

「ほり川に決まりね」

 堀川醤油の隣にあるから親戚かなんかの店やろな。映画には直接関係あらへんけど、ここで食べるべしやろ。なんか名物あったら嬉しいけど、

「純米吟醸たけはら焼だ!」

 なんじゃそれ。へぇ、生地に酒粕を練り込んでるとは初めて聞いたわ。ソースはお隣の醤油を使うとるのか。これはなかなかやな。もう一枚食べたろ。

「コトリ、ロケ地って残ってる方が良いのかな」

 そりゃ、無いよりあった方がエエやろうけど、映像とロケ地は同じやあらへん。そりゃ、撮られた絵は監督のこだわりがテンコモリ盛り込んであるものな。その辺を脳内補正しながら見て回るのが聖地巡礼やけど。

「小豆島の二十四の瞳が例外的な気がしてきた」

 あそこはセットまで保存しとるからな。そやけど、そんなとこは少ないよな。当たり前やけどセットは撮影が済んだら解体されるからな。残っとっても邪魔なだけやし。あれが残されたのは映画のヒットもあるけど小豆島やからやと思うわ。

 ロケ地は借りものやから時間が経てば変わる。これはしょうがなところがある。古くなれば建て直しやリニューアルは起こるやろうし、持ち主だって変わる。時かけのヒロインや深町の家だって、立派な洋館やったみたいやけど、維持費は半端ないやろうからな。

「映画や写真もそうだと思うけど、その時の時間と空気を写し取ったものなよね。だから同じ場所に行っても同じものを見れる訳じゃない」

 まあそうや。小豆島のセットは綺麗に保存されとったけど、もう活きとらへん。活きとったんは撮影時だけや。

「それでもあれば見たくなるのはわたしも同じだけど、ああやって映像に残された場所は幸せだよね」

 それは言えるな。場所だけやない、写された人々もや。あそこでは永遠に変わらん。

「映画ってそう言う不思議なパワーが生まれるところの気がする」

 かつて映画はテレビに押しまくられた時代がある。テレビかって動画で音声付きやから、タダで手軽に見られるテレビに観客を奪われてもたぐらいでエエと思う。そりゃ、テレビにもエエドラマがいっぱい出来たけど、

「映画は生き残ったものね。試行錯誤はヤマほどあったけど、テレビと映画では表現する世界が違うのよ」

 つうか違う道を切り開いたから生き残ったんやろ。

「でさぁ、時かけは間違いなく名画だよ」

 時代を越えたからな。今でさえアイドル映画と下に見るのは少のうあらへんけど、そんなレッテルをいくら貼られてもそうや。そもそもやで、時かけは単独公開やあらへんねん。

「そうなのよね。探偵物語との二本立てのオマケ」

 当時絶頂やった薬師丸ひろ子の主演作品の刺身のツマみたいなもんや。原田知世かってまだ無名のアイドルやったからな。予算とか撮影期間もその辺の影響は確実にあると見とる。それでも本当の意味で生き残ったんは時かけや。

「とにかく見れて良かった」

 結衣が変な顔しとるな。まあ知らんやろな。知っとるかもしれんが、せいぜいアニメ版ぐらいやろ。時かけをリアルタイムで見た熱気も今となっては伝説みたいなもんで、それを知っとるのはコトリらぐらいのもんや。

ツーリング日和8(第13話)時をかける少女

 後はひたすら走って向島に到着。原付の出入り口は島の南側やから宿のある北側に移動や。島の西側の道を海岸沿いに走って、

「これも前の時の道だね」

 この辺が島の中心街なんやろな。この橋を渡ったら、

「次の信号左に行くで」
「らじゃ」

 あの橋を今度は渡るはずや。

「コトリ、また迷ってない」

 うるさいわ。住宅地の中やからややこしいんや。渡ったら右や。ありゃ、どこや。

「やっぱり迷子になったじゃない。見えてるのは尾道水道だもの」

 いやこの辺はこの辺のはずやねん。ナビでもそうなっとるやん。電話してみよ。海から一つ目の角の家って。ここなんか。出迎えてくれてるわ。そやけどホンマに普通の家やな。バイクの駐車場も普通の家の駐車場やもんな。

「結衣はまだみたいね」

 しまなみ海道で寄り道してるんやろ。これがワンちゃんか。可愛いな。部屋に上がらせてもうたらリビングに呼ばれてコーヒーをご馳走してくれた。気さくそうなオーナー夫婦から晩飯の情報を聞かせてもうた。

「まずお風呂に行こうよ」
「ユッキーが先か?」
「二人なら入れるよ」

 無理あるけど、結衣が来るまでに入っといた方がエエやろ。二人でも狭いが三人は論外やもんな。風呂から上がると結衣も来とった。結衣にも風呂に行ってもうたら時刻も頃合いになってメシや。十五分も歩いたら、

「ここね」

 海鮮居酒屋ってとこやな。まずは生中で乾杯して、おいこれお通しなんか。ヒラメにハマチにチヌかよ。これだけで一品やで。カワハギの薄づくりも美味しいし、

「キモがたまんない」
「えびマヨもえびが美味しいです」

 日本酒にしょうか。あれこれそろえとるな、九頭竜で行こか。地魚白湯肉吸いって、ただの煮魚やないな。

「アサリの唐揚げなんて初めてです」

 あれこれ食べて今日は帰るで。さすがに今日はキツかったからな。

「明日も早いからでしょ」

 そういうこっちゃ。コトリのプランの基本は早立ちで早着きや。その方が少しでも道が空いとるからな。もちろんバイクやから予定通りに行かへん時の余裕のためでもある。結衣が、

「明日も移動ですか?」

 いや明日は観光や。そのために無理して尾道まで来たんや。前の時は尾道観光の余裕なんかゼロやったけど、今回はそのために来たようなもんや。

「時をかける少女だね」

 大林監督の尾道三部作の一つや。転校生やさびしんぼうも良かったけど、コトリもユッキーも時をかける少女が好きなんよ、

「それも原田知世版」

 位置づけはアイドル青春映画になってまうんやろうけど、筒井康隆の原作のエエとこを取り込んどると思う。主演の原田知世はまだまだ大根やったけど、

「脇役陣が締めてたもの」

 音楽も良かったもんな。ユーミンの主題歌が有名やが、挿入曲も映像によう合うとった。撮影期間は学生やった原田知世に合わせて一か月やったとなっとるが、

「拙いところもあるけど、それがあっさり風味になって活きてる気がする」

 もうちょい予算と時間があったら、タイムトラベルのシーンの質が上がったのにと惜しまれるとこや。当時のCG技術やったらあんもんかもしれんけどな。

「ラストシーンが意味深すぎる」

 話の伏線にラブロマンスがあるねん。伏線いうより主線やろな。ヒロインは冒頭のスキー合宿のシーンから深町にどんどん魅かれていくねん。途中まで二人が結ばれるんやないかと思う展開やねんけど。

「あれって騙してたよね」

 深町は未来から来た少年で、トラブルから未来に戻る方法を模索中やねん。とりあえず過去の時代に紛れ込まなあかんから、ヒロインの学校に生徒として入り込むねん。

「あれも今から考えると設定に無理があるね」

 その辺は見た目の年齢が高校生やから大学の薬学部は無理つうか、作者の筒井康隆が高校を舞台にしたかったんやろ。あの頃はジュブナイルが流行しとったからな。

「あれって全部知っててやった事になるのよね」

 深町が利用したのはヒロインの幼馴染の吾郎や。深町は吾郎の記憶を乗っ取ったんや。

「吾郎とヒロインの心の絆の思い出だよ。ひな祭りのシーンが印象的だった」

 あんまりネタばらしも良くあらへんから端折るけど、あれこれあって深町は未来に戻れることになる。その時にはヒロインも深町に夢中になっとるねん。

「すべて知っても愛してるってね」

 コトリはその時の深町のセリフが忘れられん。深町はヒロインと吾郎が結ばれるのを知っとってん。それだけやあらへん。きっとヒロインと吾郎が幸せな結婚生活を送るのを見とったはずや。

「あれはそこまで先に見てから罠にかけたはず」

 そう思う。吾郎はヒロインの運命の相手やったから、吾郎の記憶を乗っ取ればヒロインの好意を得られるはずやって。一応深町は事態の収拾だけはやっとる。深町が過去の世界に入り込んだ技術は集団催眠術や。

「そしてヒロインから深町の記憶を消し去った」

 ここからがラストシーンにつながるんやけど、性懲りもなくまたタイムトラベルをしてきた深町を見てもヒロインは気づかへんねん。そやけど吾郎と結ばれるどころか、幼馴染のままでなんも変わってへん。

「それだけじゃないよ。ヒロインは恋をしなくなった」

 ここもちょっと違う。外からはそう見えるが、心の中の幻の深町しか愛せんようになってもてん。

「それを真実の愛を知ってしまったとまとめちゃうのは無理があり過ぎる」

 コトリもそう思う。SF小説的にはタイムパラドクスにも問題を残しとる。タイムトラベル物で苦労するのはタイムパラドクスにどう説明をつけるかや。深町もヒロインを未来に連れて行かれへん理由にしとるぐらいや。

「幼い頃にタイムトラベルのシーンでも過去と現在の同一人物を存在させないの法則を守ってたもの」

 タイムトラベルによる未来からの干渉の程度もSFのテーマの一つみたいなもんやけど、代表的なのは子孫問題がある。未来人は過去人の子孫やから、そこで子どもが出来なくなったりすれば、未来の子孫が消滅してまうことになる。

 時をかける少女やったら、本来結ばれるべきヒロインと吾郎の子孫が消滅してまうってことや。それだけやない、ヒロインは幻の深町以外に恋をせんとしても、吾郎はヒロイン以外と恋して結ばれるかもしれへんやん。そんなんしたら、新たな未来人が突然出現してまう事になってまう。

「強引に辻褄をつけるのなら・・・」

 子孫問題だけやったらヒロインも吾郎も不妊症にしたら説明だけは付くけど、

「ジュブナイルに出せるテーマじゃないよ」

 つうか、小説の色合いが変わってまうわ。時をかける少女はヒロインと深町の恋があったから話に深みが出てるんやが、ようよう考えたら深町は一時滞在者やから、わざわざ女を入り込むための小道具にする必然性があらへん気がするねん。

「だけどあの恋が無ければ小説は売れなかったし、映画も出来なかった」

 そうなるわ。

「光瀬龍の作品に強烈なタイムパラドクスがあったじゃない」

 話は時間局が舞台や。時間局とはタイムトラベラーが仕掛ける歴史改変を食い止める組織ぐらいと思うたら良い。そこにある強力な歴史改変が仕掛けられて、時間局のメンバーもテンヤワンヤになるんよ。

 文字通り時間との戦いやから、時間局のメンバーも思うわぬトラブルに巻き込まれてまうんよ。それぐらい歴史改変者の策略は巧妙やったでエエと思う。

「レイプされるのよね」

 その描写もコッテリされてた。そやけど、そこまで読んだ時点やったら、なんでここに強烈なシーンが挟まっとるか理解できへんとこがあったんよ。あくまでもSFでエロ小説やないからな。

「かなり生々しい描写で、しっかり何度も注ぎ込まれるシーンまで描かれていたもの」

 そやけど、これがすべてのカギやねん。歴史改変者は、過去の歴史に大々的に介入しとるけど、それはすべて目くらましやってん。目的はただ一つで、時間局員のメンバーが捕まり、その時代のある人物にレイプされ、妊娠して子どもを産むことやってん。

「時間局は大問題を抱えていたのよね」

 時間局は過去と現在の歴史を守るのが仕事やねんけど、未来のある時点に人類文明が破滅してしまうのがあったんよ。

「それを回避するに、この時の子どもの子孫が欠かせない事が判明するのよね」

 その人物の活躍のない未来は、単純には人類文明の滅亡の道やってことや。時間局は歴史を守るのが使命やが、人類文明滅亡の歴史まで守れないぐらいの判断になるんよ。破滅の回避のためには歴史改変を受け入れざるを得なくなってもたんや。

「レイプされた本人はその事実を教えられなかったのよね」

 時間局員は大怪我とかをしても未来の治療で治してまうねん。そやからレイプされてもホンマやったら跡形もなく処理するはずやねん。その女時間局員は恋人もおったから、お腹の中の子は、恋人の子どもやと信じ込んでるねん。

 そやけど人類文明の滅亡を防ぐためには生かさなアカンやんか。下手に事実を教えて流産とかされたら困るの判断を時間局は下すんや。その事実を知っとるのんは、そのチームの中で女性リーダーの笙子だけやねん。

 リーダーかって女やんか。不本意な妊娠の子どもを産ませること、さらに生まれた後に恋人の子でないことが判明した時のショックとか、あれこれ思いを馳せてまう感じや。それでも組織の一員として命令に従うこと、なにより人類文明の滅亡を防ぐ重大性にどうしようもないぐらいに思うてまうぐらいや。

「そんな上司の笙子が印象的なラストだったよね」

ツーリング日和8(第12話)別行動

 メシ食いながら午後の打ち合わせや。しまなみ海道はマスツー出来んからな。まず結衣の意思を再確認や。これからも一緒にマスツーするんか。

「もちろんです。地の果てまでも付いて行きます」

 付いて来んでもエエわ。それはともかく、しまなみ海道を渡るんやが、コトリらは原付道やから尾道まで三時間と見とる。混んではあらへんはずやけど、島を抜けていくのはどうしたって時間がかかるからな。

 結衣は走り抜けるだけやったら一時間ぐらいで行ける。もちろんそんな愛想ないことをする必要はあらへん。途中下車して島巡りやったり、尾道で聖地巡礼するのも自由や。どのみち宿のチェックインは午後の三時やから、急いで行っても時間だけ余るからな。

「落ち合うのは宿ですか?」

 そうや。そやけど尾道やけど市内やのうて向島や。尾道の対岸の島になる。場所やけど、向島のICを下りてやな・・・

「あれ、コトリ」
「こんなんもおもろいで」

 コトリも初めて使うタイプの宿や。

「ライハですか?」

 似たようなもんやけど民泊や。民泊ってなんやになるが、シンプルには家の部屋を貸してくれる宿泊施設みたいなもんや。たぶんやけど小豆島のライハも分類やったら民泊になる気がする。帳場がなかったからな。

「料金は?」

 一人三千五百円や。小豆島のライハより高いけど、あのライハより安いとこになると、

「西成の五百円ぐらいしかないよ」

 やろな。規模も小そうて四人しか泊まれん。これは寝室が二つでベッドが四つの関係や。どうも二階の部屋に泊まるみたいで家の住人は一階に住んどるようやけど、ベランダがあって見晴らしは悪くないみたいや。

 メシは出えへんけど二階にもキッチンがあるらしいから自炊も可能みたいや。それとやが、小豆島のライハより嬉しいのは風呂に入れるこっちゃ。ツーリングの後はやっぱり風呂に入りたいわ。

「シャワーじゃどうしてもね」

 後は、

「結衣は犬はだいじょうぶか」
「好きなぐらいですが」

 家でトイプードル飼っとるらしい。

「おもしろそうですね」

 バイク乗りのツーリングに向いてるかもしれん。とくにコトリみたいな可愛いライダーにはな。

「起きてるように見えるけど寝言なの?」

 うるさいわ。自炊はさすがにメンドウやから外に食いにいくから、五時までに宿に来て欲しいな。これぐらいの打ち合わせを済ませて重松飯店から今治ICまで一緒に行って、

「気を付けて行きや」
「安全第一よ」

 颯爽と走って行きよった。高松からだいぶ下道を我慢させたから、しまなみ海道を楽しんでくれたら嬉しいな。コトリらは、さらに北上して自転車バイク用の入り口や。

「ボチボチ行こか」
「こっちも安全運転ね」

 高速と違って登ったり下りたりが原付のしまなみ海道ツーリングやからな。しまなみ海道は寄り道しながらのツーリングもおもろいけど、走るだけでも気持ちのエエとこでもある。そりゃ、どこを走っても海と島や。高速走る結衣でも景色はエエはずやねん。

「島の中はバイクと言うより、原付に合ってるものね」

 そういうこっちゃ。生口島まで来たから半分ぐらいやな。ちょっとお茶でもしょうか。

「少しだけ寄り道しようよ」

 北回りするんか。たいした寄り道やあらへん。へぇ、ここか、ジェラートが専門みたいやな。メニューはこれやな、

「プレミアムジェラートのトリプル」

 へぇ、三杯もあるんか。一杯目は、

「レモンとデコポンも良いけど伯方の塩がおもしろいね」

 スイカに塩かける応用やな。次があちゃ、もろスイカやんか。組み合わされてるんがチョコチップなんか。ほいでもって最後はピスタチオか。なかなかのボリュームやし、コスパもエエやん。

「結衣はおもしろいね」

 ああ、何者やろ。ダーツのハッタリ勝負も鮮やかやったけど、今日のツーリング中も見事に尻尾出さんな。ありゃ、相当なキツネでエエやろ。

「コトリがそういうぐらいだから相当ね」

 昨日も偶然やないやろ。

「そりゃそうよ。全部計算に入れてたじゃない」

 こういう時は敵か味方になるけど、

「どっちでも良いんじゃない。肝心なのは楽しめるか、楽しめないかだもの」

 そういうこっちゃ。今治の焼豚玉子飯を食べれただけでも、楽しめたもんな。なにか企みがあったとしても、気になるようなもんやあらへんやろ。

「人相手ならそうなんだけど、どう見てる」

 その線か。そんなことやるやろうか。平和共存しとるのにチョッカイ出すとは思えへんけど。そやけどタッグで来られたら少々厄介そうやけど、あいつら組むか。

「もし組まれたら、ちょっとシンドイかな」

 そうなったら時の運や。互角の時は、ちょっとした油断や偶然が生死を分けるからな。ユッキーと組んで負けるのがそうそうはおると思わんけど、あいつらがタッグを組んでになると紙一重やろ。

「負けたってかまわないようなものだけど。ミサキちゃんや、シノブちゃんを残すのは気になるところなの」

 戦うんやったら、その前に記憶の継承を封印してまいたいけど、それだけのヒマがないかもしれん。それやったら勝たなアカンか。

「シオリは放っておいてもだいじょうぶだけどね」

 フォトグラファーやらせといたら勝手にやりよるからな。

「ところで宿を変えたのはわかるとして、前のところと変えたのは」

 そんなもんメシの関係や。前の時は尾道ラーメン食べに行ったけど、今日は昼に食べてもたやないか。

「そうだった。ついでに焼き飯もだよね。さすがに連チャンは避けたい」

 ついでに言うたら、向島には焼き肉屋が多いみたいやが、これもパスや。これも昨日の晩にオリーブ牛を食い過ぎた。さらに言うたら明日の宿は、

「しまなみ海道に来て食べなきゃウソだよ」

 そういうこっちゃ。

「コトリもちゃんと考えてるんだ」

 当たり前やろが。それを考えもなしにKATANAに乗っとる結衣を道連れにしやがって、予定の修正が大変なんやぞ。

「そんなアクシデントも旅の楽しみでしょ」

ツーリング日和8(第11話)今治へ

 今日はとにかく走るツーリングや。観光もクソもあらへん、ひたすら走る。今回の予定やけど昔やったしまなみ海道ツーリングに近いとこがある。小豆島から高松に渡ってどこが似とるんやと言われそうやけど、基本は西に向かうツーリングやねん。

 しまなみ海道の時に懲りたんは尾道までの下道や。あの頃はエンジンの過熱問題があったにせよ、延々と九時間もかかったもんな。

「時間もそうだけど、それより道がウンザリさせられた」

 未だに残るトラウマみたいなもんや。そやから西に下道で向かうのにその次は山陰に回ったぐらいや。マイと出会ったツーリングや。それをやっても良かってんけど、ユッキーが北四国を走ったらどうやと言い出したんや。

 それやったらオレンジフェリーを使う手もあってんけど、北四国を走るんやったら、小豆島に寄ろうって話が出てきてしもてん。コトリもユッキーも行ったことなかったからな。そやけど小豆島に立ち寄った関係で、高松から今治まで走り抜けなあかん羽目になってもとる。

 とにかく計画立てとるうちにグシャグシャになっとるとこがあって、今日なんかは移動しか予定があらへんぐらいやねん。そやから結衣を道連れにしとうなかったんよ。

「それもツーリングじゃない」
「楽しいじゃありませんか」

 今日の移動が新たなトラウマにならんように祈ってるわ。とにもかくにも今治目指すで、まずは高松市内を抜けながら県道三十二号に入る。

「今治までどれぐらい」

 ナビで百四十キロやから四時間か四時間半ぐらいと踏んどる。県道三十二号は国道三十七号に続くんや。そこから観音寺市内を抜けたら今度は国道十一号や。観音寺の次は四国中央市やねんけど、

「それってどこなのよ」

 ユッキーが言いたい気持ちはわかる。大雑把には西が川之江、東が伊予三島や。

「適当な地名つけやがって。四国の中央と言えば白地でしょうが」

 四国中央市はせいぜい讃岐と伊予の間ぐらいやもんな。ほいでも四国中央市を抜けると、

「三島を抜けたと言え」

 へいへい、

「新居浜だ♪」

 高松から九十キロぐらいやけど、ちょっとホッとするな。別子銅山見に行ったもんな。ここから先は前に走った道になる。十時ぐらいやからだいたい予定通りや。新居浜から西条もすぐや。

「結衣、せめて石鎚神社の本社ぐらいお参りしとく」
「予定にないのなら結構です」

 エエんかいな。今日は移動距離こそ長いけど、時間は余裕あるし、ここまでも順調やから寄れるで。

「ついて行かせてもらっていますから」

 ここら辺も懐かしいで。湯之谷温泉に泊まって、石鎚スカイラインからUFOラインまで走ったもんな。言うとる間にあそこやな。

「国道一九六号に入るで」
「らじゃだけど、腹減った」

 たく餓鬼か。

「私もです」

 餓鬼2か。そやけどコトリも餓鬼3や。予定は順調やから昼は今治やな。

「しまなみ海道に入ってからにしないの?」

 なにを寝ぼけたことを。そやから結衣を道連れにするのをあれだけ渋ったんやろうが。しまなみ海道は原付でも自転車でも渡れるのが魅力や。

「クルマでも大型バイクでも渡れるじゃない」

 中型バイクでもな。そやけどコトリらの小型と結衣の大型は走るとこが違うやろうが。コトリらは高速が走られへん。

「結衣のKATANAでもなんとか走れるんじゃない」

 だからそれは禁止や。しまなみ海道はマスツー出来へんのや。そやから今治で昼飯食わんとアカンねん。もちろん今治も美味しいもんはある。基本は海鮮やな。来島海峡で釣れた鯛は明石や鳴門に負けへんはずや。

「だったら鯛めし」

 それも名物ってなっとった。串に刺さへん今治スタイルの焼き鳥もあるそうやが、昼飯やからな。結衣の意見はどうや。

「今治と言えば焼豚玉子飯でキメ」

 なんじゃそれ。聞くとご飯の上に焼豚を敷いて目玉焼きを乗せたもんやそうや。いわゆる焼き豚丼とはちゃうんか。

「基本はそうですが、目玉焼きとタレとの取り合わせが絶品です」

 B1グランプリでも上位に入賞したとかで、わざわざ食べに来るのも多いそうやねん。

「鯛めしなんか神戸でも食べられるじゃない」

 焼き豚丼もそうやけど、ツーリングのメシやったら、

「焼豚玉子飯」

 ハモるな。まあエエわ、コトリも食べとうなってきた。

「結衣、おすすめの店は」
「重松飯店、白楽天、大黒屋飯店」

 即答やな。もともとは中華料理屋のまかないから出て来たメニューなんか。それやったら間違いないかもな。どうせやったら一番の店がエエけど、

「どこが一番かは好みが別れると思いますが、パイオニアとされてるのが重松飯店です」

 元祖か、そこしかないやろ。結衣には四国観光を我慢してもうてるようなもんやから、昼飯ぐらいは希望を叶えなあかんやろ。問題はどこにあるかやけど、えっと、えっと、今治城の北側の方やな。

 西条からは国道一九六号、通称今治バイパスを走って行くんやが、とりあえず国道三一七号を曲がったら良さそうや。今治バイパスは快走や。そろそろ今治に入って来たんやけど、あれやな。

「今治市役所の方でイイの」
「そや」

 こりゃ市街地の道やな。市役所に向かうんやったら、そうなるか。しばらく直進したら突き当りやな。

「左や」
「らじゃ」
「了解です」

 さて問題はここからや。重松飯店なんて案内看板はあらへんやろうからな。どっかで右に入るんやろうけど、こりゃわからんな。たしか神社があったはずやが、宗忠神社はまだ近いからちゃうやろ。また神社かいな。

「ちょっとストップ」
「また迷ったの」

 迷う以前の話や。もうすぐはもうすぐやねんけど、どの角を曲がるかの確認や。

「これわかりにくそうだけど、BIGって衣料品店の次の角ぐらいが目安になりそう」

 そやな。問題はそんなにわかりやすい店かどうかや。行ってみるか。

「コトリ、これがBIGだ」

 そやったらあの信号を右やな。あちゃ、ただの住宅地やんか。こんなとこにホンマにあるんかいな。

「あったぁ!」

 へぇ、いかにも町の中華屋さんでございやな。

「こういう小汚い店が美味しいのよ」

 いつの時代の基準やねん。ほいでもピカピカの新築の中華屋はなぜか不味そうに思えてまうとこがある。なんでやろ。店の中は小上がりの座敷とテーブルか。テーブルが空いとるから座らせてもうて。ここやったら、

「満腹セット」
「わたしも」
「私はCセットでお願いします」

 満腹セットは焼豚玉子飯にラーメンに焼き飯にサラダ。結衣が頼んだCセットは焼き飯が抜きや。

「結衣、このラーメンは今治ラーメンか」
「たぶん違うと思います」

 今治ラーメンはイリコだしらしい。津軽ラーメンに似とるんかな。そこのとこだけ残念やけどこのラーメンもあっさりして美味いやんか。さて目的の丼やけど、なるほどご飯の上に焼豚って言いたいけど、ダブルの目玉焼きで見えへんやんか。

「これは焼豚玉子飯の小だからダブルみたいだよ」

 ホンマやトリプルのもあるやんか。これを崩しながら食べるんやな。焼豚もビッシリ敷いてあってご飯が見えへんやん。

「タレが決め手だね」

 継ぎ足し継ぎ足しの秘伝のタレやろな。これが目玉焼きと焼豚にからまってたまらんな。こういうグルメもツーリングならではで楽しいし、美味しいわ。結衣を道連れにして正解やったかもな。