シオリの冒険:ローマの夜(1)

 ああ、くたびれた。なんでローマくんだりまで来てユダと二回もデートもどきをやらないといけないのよ。ホント、あれこそ世界一危険なデートだわ。あれに較べたら、素っ裸で夜のNYのハーレムを歩く方がよほど安全よ。

 ガチガチの緊張が解けてお腹が空いてきた。でも今から出かけるのも億劫だから、今日はルームサービスで晩御飯を済ましちゃおう。なんにしようかな、あれ、部屋の電話が鳴ってる。

    「小山様、面会希望の方が来られてますが・・・」
    「わかった、部屋に通してくれる」

 程なく、

    「じゃ~ん、ウサギだよ」

 ローマに来てもウサギ耳とはねぇ。バニースーツじゃないだけマシか。

    「あれユッキーえらい疲れてるやん」
    「今週、二度もユダとデートしたからね」
    「そりゃ、お疲れさん」

 それにしてもエライ日数がかかったな。ちゃんと旅費は振り込んだはずだけど。

    「来てくれてありがとう。どうやって来たの」
    「そんなものシベリア鉄道に決まってるやん」

 ああ、やっぱり。

    「晩御飯は?」
    「今日は疲れたからルームサービス」
    「ほならコトリが頼むで」

 それでもグッド・タイミング。やっぱりこういう時にコトリがいてくれるとホッとする。

    「エレギオンでなに掘らせたの」
    「アングマール戦の石碑」

 へぇ、あれを掘らせたのか。コトリのリセット感覚もホンモノかも。前にユウタにアングマール戦の話をした後は大変だったけど、かなり変わったみたい。良かった、良かった。

    「泊って行くつもりでしょ」
    「そのつもりでホテルは予約してへん」

 ちゃっかりしてるわ。ルーム・サービスも来たので、

    『カンパ~イ』

 ビールが喉にしみる。

    「で、撮れた」
    「バッチリよ」

 ああこれだ、これだ。見るのは二千五百年ぶりぐらいかな。

    「コトリ、少しは読めた?」
    「シベリア鉄道で考えてた」
    「で、どう?」
    「だいたい読めた」

 コトリが知恵の女神と呼ばれるのはダテじゃないのよ。コトリこそ天才だと思ってる。たしかに知識の習得能力だけならコトリを上回るけど、発想力は及ばないのよ。ハズレも多いのがネックだけど。

    「とにかく謎の文字やけど、書いてあるのはエラム語やろ」
    「そのはずよ。そうじゃなきゃ、そもそも読めないし」
    「そやから、まず字一個ずつに数字を割り振っていった」

 そこから始めるよね。

    「出てきた文字は八十個やった」
    「多いわね。エラムの表音文字は六十個なのに」

 エラム語は日本語と似ていて表意文字と表音文字を合わせて使うの。

    「そうやねん。表意文字が混じると厄介やねんけど、数字も入ってると考えた」
    「表意文字が入る可能性は?」
    「まあ焦らんと」
    「意地悪」
    「それとやけど神韻で書いてあると思うねん」

 神韻は主に祭祀文で使われるもの。色んな仕掛けが施されるんだけど、まず特定の節回しで読むと、あるイメージが頭に浮かぶようになってる。女神賛歌もそうなんだけど、たとえば、

    『恵み深き主女神に感謝』
 こんな感じかな。さらに本文にも仕掛けがあって、今なら縦読みみたいな感じで別のメッセージも織り込まれるの。このメッセージの読み込みは二重三重の仕掛けが施される事も珍しくないの。

 神韻文は初代の主女神が得意だったけど、コトリも読むのも書くのも上手だった。わたしはどっちかというと苦手。そりゃ出来るけど、コトリみたいには出来ないもの。

    「今でも書けるんだ」
    「博士論文も神韻で書いたるつもり」
    「なんて織り込むつもり」
    「そんなもの『一発やりたい』に決まってるやろ」

 はははは、コトリらしいけど、エレギオン語の博士論文なんて通るのかしら。まあユウタではそこまで読めないとは思うけど。

    「でもさぁ、読み込み文はカギがわからないと読めないんじゃない」
    「そこやねんけど、初代主女神は誰のために書いたかやんか。神韻が読み書きできるのはコトリとユッキーだけ言うてもエエやん」

 アラッタの上位神官クラスなら読めるのもいたけど、エレギオンに移住してからは初代主女神とコトリとわたしだけになったものね。あれは初代主女神が晩年に書いたものだから、二人へのメッセージ以外に考えられないものねぇ。

    「初代主女神は色んな仕掛け使ったけど、コトリとユッキーがわかるもんの可能性が高いと見た」
    「それで、それで」
    「まあ見てえな」

 コトリに見せられたのは数字の羅列。エラム語には大文字小文字の区別は無いし、神韻で書く時は区切りを付けないから、見ただけで頭が痛くなりそう。それでも、

    「特定パターンを見つける訳ね」
    「そうやねん。まず冒頭部だけど初代主女神やったらどう書くかや」
    「ありそうなものだったら・・・」
    「それだったら文末形式も神韻なら・・・」
    「そやろ、そやろ」

 さすがはコトリね。

    「・・・ここでこれぐらいわかるやんか。わかる部分の数字を文字に置き換えるとこうなる」
    「あっ、それならここのところは決まり文句ぽくない」
    「そやろ。そう仮定すると、この文字もこの文字もわかるやん」
    「すごい、すごい」
    「その調子でドンドン埋めて行ったら、じゃ~ん、ほら」

 コトリが一枚の紙を取りだして渡してくれた。

    「残ってるところがあるじゃない」
    「数字か表意文字のどっちかやと思うけど、表意文字の可能性が高そうや」

 さて書いてある内容だけど、たいしたこと書いてないな。

    「ハズレかな」
    「コトリもそう思てんけど、カギずらしで読んでみ」

 神韻文の書き方の一つだけど。

    「えっと、最初のところは
    『そは表にあらず』
    こう読めるけど、後は意味がないね」
    「やろ」
    「後ろから右上がりカギはずしで読んだら」
    「あっ」

 こ、これは・・・

    『安ぜよ、
    戻りし者はイナンナにあらず』

 シオリが主女神として復活するってことなの。でもこれだけじゃ、

    「コトリ、三重神韻の可能性は」
    「見つけた。曲がりカギ外し二段跳びや」

 よく見つけたものね。

    『我○○を倒しけり、
    されど死なず、砕けたるのみ、
    そを○○に託し封ず。
    されど時は永遠、
    甦りたる時は我も甦らん
    我が力、深く封ぜん』
 これは・・・なんてことなの。

シオリの冒険:ラテラノ宮殿

 サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂はローマの四大バジリカの一つとされ、ラテラノ宮殿が隣接している。ヴァチカンの外にはあるけど、まあヴァチカンの飛び地みたいなところでイイと思う。

 ラテラノ宮殿は四世紀初めから千年に渡って教皇の宮殿として使われてた。まさか首座の女神が訪れることになるとは感慨深いわ。ここはルチアの天使にとって敵の大本営みたいなところ。

 シチリア時代はここから使徒の祓魔師が派遣されてたはず。使徒の祓魔師の目的はルチアの天使の排除。真の目的は聖ルチアが隠し持ってると思いこまれていたオリハルコン、つまりプラチナの奪取。

 そいでもってヴァチカン側の司令官がイスカリオテのユダ。もっとも当時はそこまでお互いに知ってた訳じゃなく、断続的に襲ってくる使徒の祓魔師をコトリと二人で始末してた。そうねぇ、特撮シリーズで現れる怪人をやっつける正義のヒーローみたいな役かな。向うから見たら違ったろうけど。

 最後の使徒の祓魔師が現れたのが千年前だったかな。ラテラノ宮殿もクレメンス五世がアビィニヨンに移ってから荒廃し、さらに火事が起って建て直されてるから当時と同じじゃないけど、そこをルチアの第一の天使が訪問するとは時代も変わったもの。

    「どうぞこちらへ」

 来意を告げると案内されたんだけど、

    「ウルジーノ猊下、本日は教皇聖下の特別の思し召しにより御許可を頂き恐悦至極でございます」
    「では案内しよう」

 宮殿の奥深くに入り、やがて目の前には大きな扉が。ウルジーノ枢機卿は、

    「ここから先は教皇聖下の許可を得たものしか入る事は叶わぬ」

 クラシックなカギで扉を開けて枢機卿と二人で扉の向こうの長い廊下に、

    「ユダよ、ここもだいぶ変わったのか」
    「ああ、火災のためにほぼ建て直してかなり小さくなっている」
    「ここは焼けなかったのか」
    「焼けたよ」
    「文献や資料は」
    「アビィニヨンに持って行ってたから無事だった」
 ラテラノ宮殿のこの一角は異教の間とも呼ばれ、ヴァチカンでも限られた人しか知らない秘密の部屋。もともとはキリスト教布教のために、他の宗教の教義を分析していたところとも言われてる。

 教義の分析のために他の宗教の資料が大量に集められ保存されている。キリスト教の布教のために他の宗教の教典とかを焼いたりしているが、実は殆どはここに保存されているとも噂されている。

    「それにしてもユダ自ら案内とは恐縮するな」
    「恐縮じゃなく緊張だろう。それは私も同じだ」

 ユダを以てしてもこの部屋への入室許可を取るのは大変だったようで、ようやくユダことウルジーノ枢機卿の監視の下での閲覧が許可されたぐらいのようだ。

    「こんなところで首座の女神とやりあう羽目になったら、どちらかが必ず死ぬからな」
    「殺伐としておるな。密室でこんな可愛い女の子と二人きりだぞ。デート気分ぐらいになれぬか」
    「世界一危険なデートだな。それにこれでも聖職者だ」

 まあ、わたしもかなり緊張してる。一瞬の油断が生死を分けかねないもの。

    「長いデートはお互いの精神衛生上よろしくないから、少しお手伝いしよう」
    「それは助かる」

 これは掘り出し物があるかもしれない。ユダが手助けをするという限りは隠したいもの、見せたくないものがあるはず。でも、それをどうやって見つけるか。

    「どうせ信用していないだろうが、首座の女神が求めるものはここにはない」
    「それはわたしが決める」
    「悪いが今日だけだぞ」

 正直なところ、これだけの文献や資料の中から欲しい情報を見つけ出すのは難しい。ましてやユダの監視下でだよ。ユダも妨害するだろうし、そもそも、もう他の場所に移しているかもしれない。開き直るか。するとユダが、

    「首座の女神には見えるか」
    「なにをだ」
    「このユダさ」

 何が言いたいのだ。見えるに決まってるが、

    「今日は信用しても良いのじゃないのかな」

 こ、これは迂闊だった。

    「もうそこまでか」
    「大変だ」
    「だろうな」

 ここまでイエスの力が増大しているのか。

    「どうなる」
    「わからん。取って代わられても不思議ない」
    「新キリスト教でも始めるか?」
    「趣味じゃないが、やりかねない」

 ユダはある部屋に案内した。質素だがソファもあり応接室風になってる。

    「ユダよ、今日は信用しよう」
    「何が聞きたい」
    「誰なんだ」

 ユダは少し間を置いて、

    「共益同盟の本部跡に行ってみた」
    「ご苦労様なことだ」
    「そこにあった」

 まさか、

    「それはエンキドゥの秘法の跡か」
    「さすがに察しが良い。実物は初めて見るが、伝えられる通りとしてよい」
    「ユダは知っておるのか」
    「さすがに知らない。しかし研究していた時期があった。お互い時間だけは売るほどあるからな」

 あの秘法は知る限りエンキドゥのみに行われたはず。

    「エンキドゥが行ったのか」
    「あの術はエレシュキガルの内部から使うのは無理だ。基本は外部から作る脱出口みたいなものだからな」
    「となると太陽神ウツなのか」

 ウツの系譜は伝承によるとエンメルカルに伝わり、さらにルガルバンダ、ギルガメシュと続くはずだが。

    「首座の女神はエレギオンに移住したから知らぬのは無理ないが、シュメールから神は去って行ったのだ。それがシュメールの王朝の終焉の原因の一つだ。私もパレスチナに動いた」
    「ではウツはラーに」
    「そういうことだ」

 まさか、

    「ならばクレオパトラもウツか」
    「それはクレオパトラを見たことがないからわからない。たぶん違うと思うが・・・」

 ウツはアッカド神話では男神となっているが、本来は女神。もっとも男性に宿主を乗り換えた可能性はある。

    「話を戻すが、ウツがエンキドゥの秘法を使えるとして、誰を助けたのだ」
    「それが問題だが、残念ながらわからない」

 ホントかな。

    「今言えそうなのは、ウツは生きている。さらにウツは誰かをエレシュキガルの冥界から助け出している。エンキドゥの秘法ではエレシュキガルの軛は外せないが、無くなってしまったと見ることは可能だ」
    「アンはどうなのだ」

 ユダは思い出すように、

    「アンはイナンナにやられた。聞きたいのはアンが取り込んでいた神々であろうが、首座の女神が想像している通り、多くは甦った。甦ったが・・・」
    「甦って、どうなった」
    「短期間の内に消えた。エレシュキガルが動いたのだ」

 ちょっと待て、そうなると、

    「だからシュメールから神は去ったと言うのか」
    「私はそうだった」

 ユダは笑いながら、

    「エレシュキガルは強大だった。エレシュキガルを倒すには外部からでは不可能とされ、内部からのみ可能とされていた」
    「だからイナンナも、エンキドゥも」
    「あの二人が敗れてから無敵と見なされていたが、まさかやられるとはな」

 ユダは時計を確認し、

    「悪いが時間だ。本を読んでもらえなかったことを遺憾とする」
    「どうするのだユダ」

 ユダは笑いながら、

    「生き残って見せるさ」
    「逃げるのか」
    「そうしたかったが、イエスが許してくれそうにない。また会える日を楽しみにしている」

シオリの冒険:ミュンヘン・バトル

 当日は審査会場にサキ先輩と見に行った。公開審査と言っても各国語が入り混じるので同時通訳の都合上で人数制限があり、審査員の推薦者のみの入場。ツバサ先生はサキ先輩とアカネをなぜか選んでくれてた。

 今回は平穏無事で済んで欲しい半面、暴れるならどこまでやらかすかの野次馬根性が半分ぐらいかな。アカネは審査基準とかで荒れると予想してたんだけど、まさかのいきなりだった。

    「審査員の資格に疑問あり」

 言いだしたのはスウェーデンのルーマン先生。なんとツバサ先生が審査員になるのはおかしいと主張しだしたのよ。ツバサ先生は、

    「ルーマン先生。わたしは押しかけで審査員になった訳ではなく、招待されています。資格としては十分でしょう」

 おっとツバサ先生冷静だ。これで審査委員長のミュラー先生が丸く収めてくれれば、ここは問題ないと思いきや、

    「私もミス・アサフキが審査員に呼ばれたことは不思議だった」

 おいおい、審査委員長が煽ってどうするんだよ。

    「ではルーデル先生にお聞きしますが、審査員の資格に必要なものはなんでしょうか」
    「それは実績だ。たとえば権威あるコンクールでの受賞歴とか・・・」

 ここでツバサ先生は、

    「では審査委員長のミュラー先生も、そうお考えでしょうか」
    「必須とまではいわないが、ここの審査員になるぐらいであれば、あって当然ぐらいだ」

 ミュラー先生で有名なのは、

    『ミュラー風写真』

 これで一世を風靡したこともあるし、アカネも真似したことがあるし、アカネだけでなく写真好きなら一度は真似したことがあると思う。それぐらいの有名写真家であり大家でもある。そしたらツバサ先生は冷やかに、

    「ではミュラー先生の輝かしい受賞歴でも、お聞かせ頂きましょうか。なにしろ審査委員長ですから、さぞかしご立派なものがお有りでしょう」

 あれっ? ミュラー先生が困った顔されてる。あれだけ有名だから、いくらでもありそうなのに、

    「あら、ミュラー先生、多すぎてお忘れになられましたか?」
    「いや、その・・・」
    「あって当然ですものね」
    「その・・・」

 なんで困ってるんだろ、

    「多すぎて覚えておられないようですから、わたしが代わってお答えしましょう。エルデン村夏至祭写真展子どもの部の佳作です。他にございましたらどうぞ」
    「ど、どうしてそれを知っている・・・」
    「あら、間違いでもございましたか」

 なんじゃそれ、そんなの受賞歴には普通は入れないけど、

    「他にどんな輝かしい受賞歴がございますか」
    「それは・・・」
    「それは? どうぞご遠慮なされずに」
    「・・・ない」

 えっ、たったのそれだけ。それだったらアカネの神戸まつり協賛写真展高校の部入選の方が上じゃない。目くそ鼻くその世界だけど、プロとして自慢するほどの受賞歴じゃないものね。

    「ではミュラー先生はエルデン村夏至祭写真展子どもの部の佳作が、審査委員長に相応しい権威ある受賞歴とされておられるのでよろしいですね」

 ツバサ先生も皮肉がキツイな。ミュラー先生は黙り込んじゃった。

    「ルーデル先生、他に御意見は?」

 ルーデル先生も俯いたままだ。でも、これは喧嘩じゃなくて議論だよね。ツバサ先生はゆっくりと、

    「写真家に取ってコンクールは一つの目標ではありますが、これが到達点ではございません。あくまでも利用すべきステップに過ぎないということです」
 たぶんミュラー先生も似たようなものだと思うけど、ツバサ先生もコンクール受賞歴はないのよね。だってさ、いきなり衝撃のデビューで大ブレークしちゃって、新進気鋭時代さえ一気に飛び越えちゃってるもの。

 コンクールが必要な写真家は、アカネのようにこれから売り出したい連中が対象。プロの目標はツバサ先生の口ぐせである、

    『食えるようになること』
 写真家にとってコンクールはあくまでも新人戦であって、過去の業績が評価されるノーベル賞みたいなのとは位置づけがちょっと違うのよねぇ。この辺は報道写真となるとまた変わって来るけど。それにしてもツバサ先生、ミュラー先生の受賞歴なんて良く知ってたな。それも子どもの時のだよ。


 これぐらいなら平穏と思っていたら、

    「やはりミス・アサフキの審査員資格には問題があると考えます」

 おいまたかよ、アイツは誰なんだ。

    「トラース先生。理由を伺いましょう」
    「ここはユーロ大賞、域外の人が審査員になるのはどうかと」

 ツバサ先生は何かを思い出すように。

    「ジャック・レモン、アレクサンドル・ミハルスキー、サンドラ・エドワース・・・」

 名前を次々と読み上げ最後に、

    「・・・加納志織。なにかご意見でもございますか」
 これはこれまでのEC域外の審査員の名前に違いない。アカネでも聞いたことがある有名写真家も入ってるもの。でも故人ばっかりなのに良く知ってたもんだ。

 それにしても無礼だよな。ここは公開審査の会場だよ。審査員の資格問題なんて議論するところじゃないじゃない、つうかツバサ先生を呼ぶ前に済ませとく話だよ。よくツバサ先生があそこまで我慢されているのに感心するわ。

 こんな調子で始まったもんだから、この後にどんな修羅場が待ち受けているかとハラハラ、ドキドキしてたんだけど、その後はまるで何事もなかったかのように公開審査が行われて終了。

 でもね、でもね、審査後の受賞者発表の記者会見で質問が一番多かったのがツバサ先生。なんかユーロ大賞より、公開審査冒頭のやりとりの方が余程記者たちの関心を引いたよう。まあ、そうなるよねぇ。ここでツバサ先生が爆弾をさく裂させるかと思いきや、

    「この麻吹つばさの審査員資格に問題が無かったのは、皆さまがお聞きになられた通りです。それ以上の感想はございません」

 ツバサ先生は表彰式もあるから、アカネたちは先にホテルに帰ったんだけど。帰り道からサキ先輩と二人で憤慨してた。非常識にも程があるじゃないの。部屋に入ってからも二人でヒート・アップしまくってたんだけど、そこにひょっこりツバサ先生が顔を出されたの。

    「先生、あの場であそこまで言われるのは無礼にも程があります」
    「そうですよ。先生なら、コップの水ぶっかけて、机をひっくり返すと思ってました」
    「いや、先生の事なら塩を持ちこまれていて、ぶっかけるはずだと」
    「それもバケツに一杯ぐらい」
    「それぐらいじゃ、気が済みませんよ。バット持って・・・」
    「いやダンビラ振り回して」
    「マシンガンをぶっ放すとか」
    「爆弾ドカン」
    「ミサイル乱射」
    「ICBMを雨あられ」
    「全面核戦争だ」

 ツバサ先生はあきれ顔で。

    「おいおい、わたしの事をそんな人間と思ってたのかい」

 サキ先輩と二人で声をそろえて、

    「もちろんです!」

 ツバサ先生は苦笑いしながら、

    「イイ勉強になっただろ。ヨーロッパとかに来るとこんな扱いは普通だよ。黄色人種の上に若い女だからね。これぐらいは、どこでもあり得るってこと。お前らも一人前になって、こっちに来たらあれぐらい覚悟しときな」

 えっ、わざわざそれを見せるために!

    「さて、これから受賞パーティがあるから行ってくるわ。晩飯はスタッフと食べといて」

 さすがはツバサ先生と思ったけど、なにかモヤモヤしたものが。そりゃ、鮮やかに切り返してギャフンと言わしたけど、あまりにも場馴れしすぎてる感じがする。ツバサ先生だってそれほど経験があると思えないのにまるで、

    「ああ、いつもの奴」
 そんな感じで対応していたようにしか感じなかったもの。ツバサ先生はやっぱり・・・

シオリの冒険:撮影旅行

 ツバサ先生に呼ばれて、

    「アカネ、一緒にヨーロッパに行くよ。準備しといて」
 ツバサ先生には海外からのオファーもあるんだけど、国内での仕事がどうしても優先になってて、だいぶ溜め込んでたみたい。この辺はアカネが足を引っ張りまくったコントの影響もはっきり言わなくてもある。それがユーロ写真大賞の審査員に招かれたから、この際消化してしまおうの話になってた。

 行くのはツバサ先生とサキ先輩とアカネと、オフィスのスタッフが三名。女三人、男三人の六人編成。予定はバルセロナ、マルセイユ、パリ、アムステルダムと回り、ユーロ写真大賞が行われるミュンヘンに。そこからロマンチック街道の都市を幾つか巡りながらウィーンに向かい、フェレンツエからローマってプラン。

 アカネも大学時代に香港には友だちと行ったことあるけど、ヨーロッパは初めて。それもこれだけの長期旅行でワクワクしてた。関空からバルセロナに飛んだんだけど、これが二十時間ぐらいかかってウンザリ。

 驚いたのはアカネやスタッフがエコノミーなのは当然だけどツバサ先生もエコノミーだったこと。てっきりビジネス使われると思ってた。とにかく機内が長いからあれこれ話が出来た。

    「ツバサ先生の高校時代は地味だったんですね」
    「鶏ガラで驚いたかい」

 良い機会だから聞きだしてやろうと思ったけど、

    「成長期って遅れてくるのもいるみたいだねぇ。自分でもビックリしたよ」

 そう言われてしまったらツッコミようがなくなっちゃった。度胸についても、

    「あれ? 自信かな。心境の変化ってやつの気がする。ある時に自信が付いちゃって、高校時代の友だちに会うとビックリされるよ」
 これ以上は今の時点で突っ込むのは難しそう。とにかく時間があるからあれこれ話をしたけど、とにかくこういう時のツバサ先生はざっくばらん。写真哲学の話もあったけど、バカ話もテンコモリ。ただだけど、なんとなくツバサ先生は高校時代の話を避けてる感触があるのよね。もちろん高校時代なんかツバサ先生にとって暗黒時代みたいなものだから、避けたいのはわからなくもないけど。


 やっとこさバルセロナに着いてホテルに入ったんだけど、

    「ここ!」

 てなぐらいの安っぽい宿。ツバサ先生なんか、

    「やった当りだ、ちゃんと水が出る」

 そのレベルってところ。でも驚いたのは安宿だからじゃないんだ。アカネやサキ先輩ならそのクラスで納得するけど、ツバサ先生も一緒なんだよ。もっとビックリしたのが部屋割り。二つしか部屋を取ってなくて、

    「今夜は悪いけどアカネはエキストラ・ベッドでね」

 どうも三人ずつの部屋割りみたいで、ベッドも順番に変わっていくみたい。

    「ツバサ先生がエキストラ・ベッドの日もあるのですか」
    「あったり前だろ、師匠を床に寝かせるつもりなのかい」

 食事だって一緒。食事が終われば翌日の撮影計画の最終確認だけど、

    「ここで撮って、ここに回って、そうそう、ここが拾いもののスポットなのよ。ただ光線の向きが大事だから・・・」

 どうしてツバサ先生はこれだけ詳しいのだろう。たしかツバサ先生はマドリードには行ったことがあるけど、バルセロナは初めてのはず。翌日から撮影が始まったんだけど、朝は早い。バルセロナでは風景写真がメインだけど、朝の光って効果的なんだ。

    「アカネ、そっちじゃない、こっちから回って撮って行くんだよ」

 夜明け前からスタンバイして撮っていくんだけど、日が昇るにつれて光線の角度が変わるのを知り尽くしたように動いて行かれるの。この辺はアカネもツバサ先生の意図がだいぶ読めるようになってから、

    「アカネ、やるじゃん」

 褒められちゃった。もっとも直後に、

    「そうじゃない!」

 まだまだ半人前ってところ。十時ごろになって、

    「ちょっと押してるからランチはボカディージョにしよう。悪いけどアカネ、買って来てくれる。わたしはヴィグエタにするけど、好きなもの買っといで。店はコネサでね。支店が近くにあるわ」

 ボガディージョとかヴィグエタって何よと思ったらサンドイッチのこと。言われた通りのところにあったけど、行列が出来てた。こういう事もあろうかとスペイン語のトラベル会話本覚えてたけど、少々苦戦して買って帰ると、

    「お茶を忘れてたけど、まいっか。アカネに頼むと渋すぎるし。トットと食べたら、次行くよ。でも喉乾くから、誰か渋くないのを買ってきておいて」

 今日のツバサ先生は御機嫌みたいで、快調に飛ばされて行きます。アカネは時差ボケも残っていてヘトヘト気分になってたら、

    「よっしゃ、良く働いた。今日はここまで」

 あれ、まだ十四時ぐらいじゃない。そしたら、

    「食事だ、食事だ」

 大衆食堂っぽいところに連れて行かれ、ガッツリ。ビールやサングリアもガンガン。

    「後はホテルに帰ってシエスタ」

 このリズムがスペイン流だとか。それにしてもツバサ先生、どこに行ってもクソ度胸。初めて入った店のはずなのに、まるで十年来の常連みたいに、

    「オゥラ!」

 そりゃ大きな声でズカズカと入り込んじゃうし、他の客に声をかけられるし、ツバサ先生からもかけて回ってる。最後は肩組んで飲んでたものね。スペイン語まで話せるのかと感心していたら、

    「わかんないよ、ああいうものはノリでOK」
 サキ先輩も言ってたけど、ツバサ先生は弟子には厳しい面もあるけど、仕事の時はチーム感覚を凄い大事にするって。なんて言うのかなぁ、同じ目的を持つ同志で熱く燃えられないとイイ仕事が出来ないぐらいかな。今回の取材旅行でチーム・ツバサの端っこにぐらい入れた感じがしてる。


 いよいよミュンヘンってところでサキ先輩がちょっと心配顔。

    「どうされたんですか」
    「ツバサ先生って写真になると鬼になるじゃない」

 それは骨の髄まで知ってる。

    「ツバサ先生は基本的に審査員を避けられてるのよ。これは忙しいのもあるけど、やれば喧嘩になるからって」

 たしかにそういう面はある。とにかく『妥協』の二文字の無い人だし。

    「それをわざわざ受けられてるじゃない。変だと思わない」
    「それはヨーロッパ取材のついでじゃ」
    「そういう名目だけど、やらなくてもイイじゃない」

 言われてみればそうだ、

    「思うんだけど、小さなコンクールならともかく、大きなコンクールの方が喧嘩になりやすいじゃない。とにかくツバサ先生は好き嫌いがはっきりしてるし、嫌いとなれば塩まいて追っ払うぐらいだよ」

 ホテル浦島の時も凄かったって聞いてる。

    「それをあえて受けたのは・・・」
    「誰かと喧嘩する気がマンマンとか」
    「他に考えられない」

 サキ先輩が言う通りタダでは済まなそう。えっ、あっ、そうだ、

    「たしか審査って公開でやるんじゃ」
    「そうなのよ、あそこの特徴で、密室でコソコソ決めるんじゃなくて、各審査員がどう評価しているか筒抜けでやるのよ」
    「だったら、大人しく・・・」
    「してくれると思う?」
 しないと思う。アカネも心配になってきた。

シオリの冒険:アカネの疑惑(2)

 そんな頃にスタッフに密かに呼び寄せられて、

    「アカネちゃんに特別任務をやってもらう」
    「任務ですか」
    「そうだ・・・」

 オフォスの忘年会は盛大に行われるのだけど、その時にツバサ先生の過去を暴く企画をやりたいって。

    「そんなことをしたら」
    「だいじょうぶ、一昨年はツバサ先生がサトル先生の初恋の人まで暴露してたから、社長命令でもある」
 こういう企画になるとアホらしいぐらい盛り上がるのがオフィス加納。去年の仮装パーティだって、どれだけ気合が入っていた事か。スタッフたちはオフィス加納の名を使ってツバサ先生の母校に取材許可までもう取ってるんだもの。

 これもタマタマかどうか不明なんだけど、加納先生も、ツバサ先生も明文館高校出身で、お二人とも写真部。取材の名目もツバサ先生の高校時代を探るにしていて、ツバサ先生の許可まで偽造してた。そこまでやるかと思ったよ。

 オフィス加納からの偽装でも正式取材だから写真部顧問の高木先生が応対してくれた。騙すようで心が痛んだけど、ツバサ先生の高校時代を知ることが出来るワクワク感も強かったのは白状しとく。

 話を聞くと高木先生はツバサ先生が卒業された後に赴任されたらしく、会ったことはないそうなの。だから気を使ってくれて、ツバサ先生を知っている藤本先生まで同席してくれてた。藤本先生は、

    「麻吹君ねぇ。悪いけど印象が薄くて・・・でも今とはだいぶ違う気がする」

 顧問の高木先生が写真部に残っていた、ツバサ先生が写っている写真を見せてもらったけど、

    「これがツバサ先生ですか」
    「そうなってるけど」

 そしたら藤本先生が、

    「うん、間違いない。高校の時の麻吹君はこんな感じだった」
 他にも卒業アルバムでも確認したけど、はっきり言って別人みたいだった。これも高木先生がわざわざ探し出してくれて、ツバサ先生の写真部時代の作品も見せてくれたけど。申し訳ないけど、ごくごく平凡。

 それとこれはアカネが頼んでたんだけど、加納先生が写ってる写真も探してもらってた。さすがに六十年以上前だから卒業アルバム程度しか期待していなかったんだけど、

    『ドン』

 なんじゃ、この雑誌の山は。表紙を見ると加納先生の特集雑誌みたい。それもだよ二十冊ぐらいあるじゃない。内容は加納先生のスナップ写真がテンコモリ。ザッと読むと高校時代の加納先生は『女神様』と呼ばれるぐらいのスーパー・アイドルだったみたい。高木先生は、

    「この三倍ぐらいあったらしいのですが、学校に残ってるのがこれぐらいで・・・」
 バックナンバーを見るとトビトビになってた。でもだよ、ここは高校だよ、それも県立の伝統名門校じゃない。どれだけの進学校かはアカネでも知ってるぐらいなのに、どうしてこんな雑誌が発売されるのよ。

 加納先生はさすがに若い。でも高校の時からこんなに綺麗だったんだ。そりゃ特集雑誌の一つも出ても不思議無さそう。普通は出ないけどね。変わった高校も世の中にあるもんだと思ったもの。

 高木先生や藤本先生にお会いしたのは応接室だったんだけど、ふと見上げると一枚の写真が額に入れて飾られてるの。これもかなり色あせしてるんだけどキャプションに。

    『県大会決勝進出記念』
 高木先生や藤本先生も聞いただけの話だそうだけど、かつて夏の甲子園の県予選の決勝まで進んだことがあり、その時の記念だそうなの。でもさぁ、こういう写真ってナインの集合写真ぐらいが定番のはずじゃない、それがなんと応援風景。

 写真はスタンドの応援席を写したものだけど、最前列に机を並べ、その上でボンボンを持ったチア・リーダーが三人写ってる。というか、この三人をメインに撮ったものとして良さそう。よくよく見ると右側のチア・リーダーは、

    「こちらは加納先生ですよね」

 それにしても三人とも美人だ。加納先生は特集雑誌が出るぐらい綺麗だったのはわかったけど、残りの二人も勝るとも劣っていない。だから記念写真に残っているのかもしれない。それにしても、この学校ってどんだけ美人が集まる学校だったんだろ。

    「後の二人はどなたですか?」

 残念ながら知らないって。仕方がないよね、六十年以上前の話だもの。後は許可をもらって校内の撮影させてもらった。これも今どきのことで、

    「くれぐれも生徒が特定できる写真は撮られませんように」
 帰りの電車の中で考えてたんだけど。一番の謎は写真の技量。高校時代の麻吹つばさは正直なところ高校写真部のそれも並レベル。にもかかわらず、たった三年後に、あのブレークするほどのテクニックを身に付けたことになっちゃう。これはあまりにも不自然過ぎる。大学三年間で突然の才能開花で説明するには、どう考えても無理がある。

 次にツバサ先生の容姿。高校時代の麻吹つばさと今のツバサ先生は別人って言うほど変わってること。もちろん高校生から大学生、さらに社会人になって変わる人は男も女もいるのはいるけど、それにしてもの変わりようってぐらい。

 高校から大学・社会人になって変わるのがいるのは知ってる。一番多いのは、高校時代はポッチャリを越えてデブだったのが、ダイエットとシェープ・アップで変わるタイプ。アカネの友だちにもいるから知ってるけど、あれは贅肉を落としたら本来のボディが出てきたぐらいで説明可能と思ってる。

 逆もある程度はいる。高校時代に痩せっぽち過ぎたのが、適度に肉が付いて魅力が出るタイプ。ツバサ先生の高校時代は鶏ガラ・タイプだから強いて言えばこっちだけど、これだけでは説明するのは無理がテンコモリ。

 今のツバサ先生はグラマー。ポイントは豊満なバストとヒップになるけど。間違ってもデブじゃない。お風呂も一緒に入った事があるけど、そりゃ見事なボディで贅肉なんてどこにもない引き締まった体なのよね。まるでギリシャの女神の彫刻みたいな感じ。

 わかるかな。鶏ガラ・タイプに肉が付くと、ヒップぐらいは豊満になってもバストは変わらないのよ。そもそもヒップが豊満になるぐらい肉が付いたら、体全体がデブになるじゃない。いくらまだ成長期だからと言っても、高校から大学でバストが洗濯板からホルスタインにまで成長することはありえないもの。


 もう一つ出てきた謎は加納先生。あんな特集雑誌が何十冊も出されるぐらい綺麗だったのはわかったけど、オフィスに残されている写真より明らかに若い。そうなると高校時代からいくつか歳を取られてから、ある時点で歳を取らなくなった事になる。

 加納先生は写真で見る限り死ぬまで二十代半ば過ぎだったみたいけど、高校時代からそこまで歳を取って、そこで突然止まり不老化したことになる。これも説明も理解も不能だけど、事実であることだけは間違いない。

 ツバサ先生が加納先生と同様に不老化しているかどうかは、もう少し年数が経たないとはっきりしないと言うものの、高校時代の麻吹つばさからツバサ先生への大変身が大学時代に起ったらしいのは確認できたと思う。


 忘年会の暴露写真は大受けした。ツバサ先生が、

    「やめてやめて、それだけは見せちゃダメ」

 そう叫んで大暴れするのをスタッフ全員で抑え込んでスクリーンに、

    「じゃ~ん、高校時代の鶏ガラ・ツバサ先生です」

 怒られなかったかって? この手の悪ふざけは大好きだから、

    「覚えてろアカネ、来年はオネショの写真を探し出してやる」
 これぐらいのリアクションで盛り上がってた。


 忘年会での乱痴気騒ぎの帰りにふと思いついたの。ツバサ先生のスタイルは加納先生そのものじゃないかって。例の特集雑誌には水着の写真まであったのよ。あったどころか一冊丸ごと特集だった。今だったら問題になりそうだけど六十年以上前だからね。

 加納先生もナイス・バディだった。高校時代からナイス・バディだった。オフィス加納に残されている写真でもナイス・バディだった。加納先生は高校時代からナイス・バディだったから、そのまま死ぬまでナイス・バディだったのはわかる。

 ツバサ先生が加納先生の生まれ変わりなら、そのナイス・バディも受け継いだんじゃないかって。そうなのよ、加納先生が亡くなったのはツバサ先生が大学一年の時、それも前期の間。

 麻吹つばさの鶏ガラ・ボディがナイス・バディに変わったのは大学時代に特定しても良いはず。藤本先生の言葉が頭に甦って来る。

    「麻吹君は大人しくて、ちょっと上がり症というか、緊張過剰なところがあって・・・」
 それなのに今のツバサ先生のクソ度胸はなんなのよ。これも大学時代に変わったとしか考えようがないじゃない。だったら、だったら・・・